≪三節;異説―――大悪滅びゆく時≫
〔しかし―――・・・姉妹涕の邂逅も、次第とそう云うわけにもいかなくなり・・・〕
ガ:〜やれやれ・・・聞き分けがないったらないねぇ――― 一体誰に似たのやら。
少なくとも私は、こんな風になるように育てた覚えはないんだけどね。
ア:いいえ、そうはおっしゃいますが、あなた様の教えはこの方の所々に垣間見えますよ。
それに―――丁度お時間となったようです・・・。
ガ:ん? あの子たちは―――・・・フフ、そうかい、デルフィーネにラゼッタ・・・それにヴェンダーの奴は敗れたようだ。
女:な―――・・・なんだって?! 姉さん!あなたは何と云う事をしてくれたのですか!
安らかに眠る姉さんや、あの子を―――・・・
サ:フ―――・・・それを知るには吾を倒すしか外はあるまい。
ア:そ―――そんな・・・
タ:(アヱカ様―――なぜここに・・・)
敵、カルマ総大将―――魔皇サウロンとお見受けする! お覚悟!!
―――あ・・・あなたは・・・
婀:あなた? あの女に見覚えが―――
タ:ああ・・・婀陀那―――お前も見ただろう、先ほどワシ達の前に立ちはだかった、ワシの義姉を・・・。
以前お前にも話したことがあるように、今のワシがあるのもジィルガ様がその身を挺してわが身をお守りしてくださったからこそ。
そして―――義姉の葬儀の夜・・・同じ色の髪をしたガラティアと名乗る女性から、この剣の本来の使い方を教えてもらったのだ。
ガ:フフフ・・・オヤオヤ―――ちょいと油断してたらバレちまったようだよ。
それにしても久しぶりだ―――坊や、その剣はうまく使いこなせるようになったのかい。
タ:・・・なるほど―――つまり、今までのことは、総てあなたの思惑通りだった・・・と、云うわけですか。
〔姉妹涕の邂逅の最中(さなか)、中途乱入と云う象(かたち)で割り込んできた二人―――
それは、コキュートス城最上層にある「玉座の間」に通ずる大広間にて、行く手を遮っていた「黒き宰相」ジィルガなる者を斃した、タケルと婀陀那だったのです。
それに―――・・・「玉座の間」にて展開されていた光景に、タケルは目を疑ったのです。
本来ならば、皇城シャクラディアにて、自分たちの生還を心待ちにしているはずの女皇が、なぜこの場所に来て・・・
いや、そればかりか、もう一人の女性―――
過去・・・タケル自身が若すぎた折に犯した過ち―――自分の代わりに生を終(つい)えた義姉の葬儀の場に、一度だけ姿を見せたことのある熾緋色をした髪の女性がいると云うこと・・・
その時にタケルの内で何かが氷解したのです。
どうして―――義姉のジィルガが、生前の姿のままで、自分たちの前に立ち塞がっていたのか―――・・・
どうして―――また、もう一度死に逝くとき、自分の名を口ずさみながら果てて行ったのか・・・
それは、今、自分たちが目の前にしている「ガラティア」と云う名の女性の仕組んだことに他ならない・・・と、そう感じたから―――
こうして―――本当はどちらも望まないであろう対決は、幕が切って落とされ・・・
裁きの剣の一振りである「斬獲剣グラム」は、その持ち主と共に・・・他の十聖剣の協力を得た「緋刀貮漣」と、女禍の持つ「カレイドクレスト」によって消滅させられた・・・
―――と、ここまでが、<本篇>で描かれていた「魔皇サウロン」との対決と、その勝利の場面の詳細の部分であり、
そしてこの後、女皇の高らかなる宣言がなされて「第一部」は「完結」―――その幕を下ろしたのです。〕