<二節;女皇寝所―――にて>
〔その前に―――だ、としたなら・・・今そこで・・・つまり女皇の寝所では何があったと云うのでしょうか。
そこには・・・有り得ないかもしれないけれど、かと云って全く考えられなくもない事態が、そこではあったのです。〕
誰:(・・・この女が―――私の・・・あの子を!
でも、お姉様は、穢れを払っていると云っていたけれど―――・・・面白い、ならばこの私がお前の化けの皮を・・・!)
ア:・・・・ジィルガ―――エスペラント=デルフィーネ・・・ですね、それともそのお姿―――やはり今は、ジィルガ=式部=シノーラ・・・と、お呼びした方がよろしいのでしょうか。
ジ:(ジィルガ;第一部では不本意な形で復活を遂げ、最終的にはタケル達に討ち取られた悲運の女性。
しかもデルフィーネは女禍の姉であるとし、式部の方はタケルの義姉でもある。)
くっ・・・!気付いていたと云うの―――? 一体いつから・・・
ア:あなた様がこの場に現れた時すでに―――・・・
・・・わたくしが憎うございますか、けれども―――今わたくしを弑逆すれば、あなた様も責を免れ得ませんよ。
ジ:フ・・・私が、お前のそのような脅しに怖じると思っているのか―――ヱニグマ!!
〔その存在こそは―――蒼い髪を靡(なび)かせた女性・・・
その存在こそは―――自分の実妹のことを一番に愛し、また尽くしてきた者・・・
自分の妹の倖(しあわ)せがあるのならば、自分はどうなろうと構わない・・・
他人はそれを過保護―――だと云うかもしれないけれど、妹と云う存在は自分の内では何物にも代えがたいものであり、
それに害をもたらすような存在は、喩え神であろうとも対峙することを辞さない・・・そんな人なのでした。
それに・・・今、女皇の寝所にて、のうのうと惰眠を貪っているのは、遙けき過去において自分たちに抗ってきた畜生にも劣る存在―――
それが―――今・・・パライソ国の女皇に収まって、各国の頂点に君臨している・・・?
こんなバカげたことがあって良かろうはずはない、元々この惑星を統べるべきなのは、自分が愛している実の妹―――女禍でなくてはならない・・・
喩え・・・それが復活させてくれた直後に、実の姉に言い聞かせられたことであったとしても、今の自分はこの女を赦すことが出来ない!
女皇の寝所に突如空間転移をし、剩(あまつさえ)そこでアエカの命を奪おうとしていた存在・・・
それこそは―――古(いにし)えの皇国シャクラディアの最高政治顧問官「丞相」でもあり、古(いにし)えの皇女禍の実姉でもあった・・・
ジィルガ=エスペラント=デルフィーネ―――その人だったのです。〕