≪五節;あわや―――流血の大惨事≫
〔そして―――ベェンダーもその方の名を挙げようとしたところ・・・
丁度この時、一組のお客が入店してきたのですが―――それがどうやら・・・〕
ジ:あっ―――お前は・・・
ヱ:―――ビューネイ?! おのれ・・・彼岸に旅立ったものと思えば!!
ヤ:い゛い゛っ?! な・・・なんだってぇ〜?!
ビ:フッ―――フフ・・・どうやらようやく姿を現せたようですね・・・
この瞬間をどれだけ待ちわびたことか―――覚悟をしていただきましょうか。
〔お墓参りからの帰りに、小腹も空いてきた―――と、いうことで、皇女一行は国営の食堂に入っていきました。
するとしたところ―――なんとそこには、あの魔皇・サウロンの腹心でもあり魔将の筆頭でもあったビューネイの姿が・・・
そのことに一番驚き、腰を抜かしそうになってしまったのは、彼(か)の者の一番近くにいたヤノーピルだったのです。
それもそのはず―――彼は一時期、カルマ国の人間だったのだから・・・
それが―――カルマ国に所属していた当時でも、滅多とお目にかかれなかった大物中の大物がどうしてこんなところに・・・
いや―――そうではなく、カルマ国が滅亡した際に、関係していた主だった者は討ち死にした・・と、報じられていたのに―――それがどうして、今・・・ここに?
いや、それよりも、もっと驚かされたこととは―――・・・〕
エ:あっ―――すいませ〜ん、ここモンブラン一つお願いしまぁ〜っすv
ヱ:あら・・・ くぉら!シュターデン!! お前―――状況と云うものが見えんのか?!
よく見ろ・・・あいつを―――私たちが合力して斃したはずの魔将筆頭が・・・どうして皇城のお膝下であるここに・・・!
ビ:―――どうぞ・・・お待たせをしました、ご一緒にカプチーノなどいかがでしょうか・・・
エ:ああ―――そいつは遠慮しとくとするよ、何せ摂取しすぎると眠たくなくなっちまうからね〜w
それに・・・ん゛〜〜ほっぺが蕩け落ちちゃいそ〜! やっぱ疲れた時には、甘いもんが一番〜み゛たいな゛!
ヱ:おおおい―――お前ら! 何をそこで和んでいるんだ! わ、私たちは敵同士・・・
エ:いいじゃんか〜―――お前サマも♪ あっ―――ブッシュ・ド・ノエル1ホール追加・・・お願いね〜♪♪
ビ:お言葉でございますが、お客様―――そろそろ甘いモノは控えて頂かないと・・・
エ:え゛〜〜いいじゃんかよ―――いいじゃんかよ〜〜! 今日はそれだけで我慢するからさぁ〜〜!
ビ:―――だ、としても、糖分の摂取しすぎです。 よろしいのですか、行きつけのお医者様に・・・
エ:〜ん゛だよ全くぅ―――イケずなことを云うもんじゃないよ・・・ベェンちゃんも!
ヱ:(なぬ?)・・・ベェンちゃん??
エ:この子ベェンダーだよ―――お前サマったら気付かなかったのかい?
〔・・・気付きませんでした―――orz
それに良く見てみれば、不倶戴天の敵がいるにも拘らず、皇女やデルフィーネは何一つ反応すらしていなかった・・・
加えて―――永年の同志でもあるエルムは、そのことが判っていたのか・・・好物である甘いモノに舌鼓を打っていたのです。
・・・ともあれ―――そんなことがあってからと云うものは・・・〕
ジ:全く・・・お前も人騒がせだなぁ―――
べ:ハハ―――創主があの性格ですから・・・それに、私自身もこの姿(ビューネイの)が気に入ってしまいましてね。
デ:でぇも〜〜そうは云うけどね―――昔をよく知る私たち・・・それに、あの一戦であんたの姿を見た者達の反応は、ヱリヤと同じだと思うのよ。
べ:そのことを一部考慮して、城下町に出たのですが・・・まずかったですかね―――
ヱ:まずいぞ―――斯く云う私も、この方たちと一緒でなかったら、間違いなくバトルってただろうからな。
エ:まあ〜まあ―――今はそうだと判ったことなんだし、お前サマも機嫌を直しとくれよ。
ジ:ヤレヤレ―――・・・それよりガラティア姉さんは?
べ:―――ああ、あの方でしたら・・・
デ:(つか、行く処〜っつったら大体限られてるんだけどね。)