<第八章;異郷の民>
≪一節;不法侵入の報を受けて≫
〔皇城シャクラディアのとある場所―――地下酒類貯蔵庫(ワインセラー)に何者かの侵入あり・・・と、の報告を受けた婀陀那とタケルは、急遽その場所に向かっていました。
皇城内に侵入者―――・・・いや、それよりも、よりによってその場所がどうして酒類貯蔵庫なのか・・・と、訝しみながら、タケルとその妻は足早に向かっていたのです。
すると―――・・・
蔵の内から陽気に聞こえてくる何者かの囃子(はやし)・・・
―――まさか賊は、本来の目的を忘れてこの場所で小宴会を催している・・・?
いや―――そも、賊本来の目的とは・・・?
タケルは逸(はや)る気持ちを抑え、蔵の扉を開けはなったのです。
―――すると・・・〕
タ:こっ―――これは・・・
婀:一体どうしたと―――あ、皇女様??
ジ:あ~~タケルに婀陀那ひゃんろ~~よ、四人ひれ・・・ろうひたにょ?
タ:(呂律が回らなくなるほどまでに・・・)しかし・・・それにしても誰なのだ! 齢10にも満たぬお方にお酒を飲ませたのは!!
婀:む・ん―――? あ・・・あなたあれを―――あの紅い髪の女性を!! それに・・・あの巨漢は!!?
タ:莫迦な・・・そなたらは確か、コキュートスで―――・・・
ガ:おぉ~や―――元気にしてたかい、坊やにその奥方。
婀:・・・まさか―――皇城内に侵入し、またもや世を混沌に導くため・・・
タ:―――待て、婀陀那・・・それにしては様子がおかしい。
婀:はあ? ですが・・・以前は敵国の中枢―――首脳としていた人物が・・・
タ:―――ならばどうして、ジョカリーヌ様やエルム・ヱリヤのご両人までもが酔いつぶれているのだ・・・
婀:あっ―――・・・云われてみれば・・・
ガ:ン・フフ~ン―――♪ さぁっすが―――いい処に目をつけるもんだね。
ほれ・・・あんたたちも飲みな、景気づけの一杯だ。
〔そこには考えられない光景―――パライソ国の次期後継者に、帝国の双璧・・・しかも、以前まで敵国の首脳陣にいた者達までもが、
揃いも揃って酔いつぶれていたことに、タケルも婀陀那も驚きの色を隠せなかったのです。
そんな彼らを見た―――恐らくこの小宴会を企んだ紅い髪をした女性は、未だに手酌酒を煽りながら、この夫婦にもお酒を勧めたのでした。〕