≪二節;それぞれの飲酒の経歴≫
〔それからというものは―――盃を傾けながら訥々(とっとつ)と今までの経緯(いきさつ)を話していく死せる賢者に、
納得がいかなかったまでも、話を聞いていくうちに、今までに起きた世の事象の総ての辻褄が合い、理解していく夫婦・・・
そして―――リッチーが柏手を一つ打つと、それまで酔いつぶれていた者達は、一斉にその酔いから覚めさせられていったのです。〕
ジ:〜〜―――・・・あ・・・そうか、私は今まで・・・って―――た、タケル・・・さんに、婀陀那―――さん??
タ:ジョカリーヌ様、人間の飲酒適齢期は齢20からだ・・・と、制定されたのは確かあなた様―――でしたよ、ね。
婀:そうですぞ・・・女禍様、喩え親族からのお誘いがあったとしても、今のあなた様はお断りをしなければ・・・
ジ:あ゛あ゛〜〜いや〜〜その〜〜―――・・・
タ:・・・お母上であられる女皇陛下がお知りになるとなんと云われるか―――
・・・と、云いたいのは山々なのですが―――ところで婀陀那、お前はいつ頃この味を知ることとなったのだ。
婀:ふぅむ・・・あれは確か―――まだ妾が12・3の砌(みぎり)でしたか、乗馬をしていた際に落馬して・・・その時に膝を擦り剥きましてな。
応急処置として傷口の消毒に蒸留酒を使用したのですが―――その時甚(いた)く染みたものでしたので、あわてて舐めて拭き取ったところ・・・
タ:言い知れぬ旨さについ惚れこんでしまった・・・か―――フ・・・ワシの勝ちだな。
ワシは八つの折、オヤジ殿がふざけ半分に「旨い水だから一口飲んでみろ」・・・と、云われてな、
そこで勧められるままにお猪口を一杯―――と、そこまでは覚えているのだが、そこからの記憶が乏しくてな。
ただ―――お袋様が云っていたのには、あのあとの勢いで一気に五本は空けたそうだ・・・
婀:ほぉう・・・それはお銚子で―――ですか?
タ:フ・・・ッ――― 一升瓶。
エ:え゛え゛〜〜っ? 五升?? 信じらんなぁ〜い!
べ:ほう、中々に飲(い)ける口のようですな―――二人とも。
ジ:〜と云うより、君たちも相当前からこの味を知っていたのか。
ガ:ン〜♪ そんなことより、私ゃ倖モンだよ―――なにしろ一気にこいつを愉しめる仲間が増えたんだからねぇ〜♪
ジ:姉さん・・・程々にしといてくださいよ―――
〔てっきり、幼いうちからアルコールを口にしてしまったことを咎められるものかと思えば、
場の雰囲気を読んでくれた夫婦が濁してくれたお陰で、またも和気藹々(わきあいあい)なものへとなったのです。〕