<第九章;異郷への旅立ち>

 

≪一節;女皇からの下命≫

 

 

〔ガルヴァディア大陸を統一したパライソ国の当主、女皇陛下の部屋の前にて・・・

その国家の黎明期から歴史の表舞台ではなく、主に一般国民の知られざるところにて暗躍していた情報収集集団と、

パライソ国当主である女皇を護る立場として部屋の前に侍立する近衛の二人―――・・・

 

一見して味方同士と見られる彼女たちが、敵国であるカルマ国が滅んだ今・・・どうして対立しなければならなかったのか、

而して、=禽=達は非常に焦っているようにも見受けられたものだったのです。

 

すると―――部屋の前が殺伐とした空気になり始めたのを、見計らっていたかのように・・・〕

 

―――葵、茜、その方達をお通しして差し上げなさい。

 

葵:陛下―――! ですが・・・しかし・・・

茜:事前の手続きを踏まえず、陛下に会おうとしている者達を・・・

 

―――女皇たるわたくしの命が聞けないというのですか・・・

 

葵:・・・畏まりました―――

茜:ご下命―――承ります・・・

 

 

〔部屋の内から、国家の主である女皇の命令が下りました・・・。

 

日頃は臣下に対し、命を下すのを遠慮しがちと見られた方が・・・よりによってこの時には強権と思えるモノを発動させた―――

いや、そればかりか・・・=禽=の誰もが焦っている理由を、あたかも須らく知っていたかのように―――・・・

 

しかし、近衛の二人は、女皇からの直接の命が下ったという事で、入口の扉を開けたのです。

 

すると・・・実に驚くべき言葉が、女皇アヱカの口から発せられたのでした。〕

 

 

ア:ようやく来られたようですね―――お待ちしておりましたよ。

マグレブの民たち―――・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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