≪二節;先行する同志≫
〔しかし―――とは云え、いくらなんでも不案内な土地に赴くと云うのは、流石のヱニグマも躊躇われたようで・・・〕
ヱ:あの・・・一つ聞いてよろしいでしょうか―――
ガ:ああ〜心配ならしなくてもいいよ、そんなこともあろーかと、もう既に向こうにはこちらのシンパサイザーを送ってあるから。
それも・・・とびきりの奴を―――ねw
〔そしてその事をガラティアに訊ねようとしたところ、何も彼女も着の身着のままでヱニグマをそんなところに赴かせるのは考えてはおらず、
もうすでに何者か派遣されている異国の地に、云わば助手的な立場でヱニグマを派遣させようとしていたのです。
そしてここで―――現在の地球がどうなっているのか・・・粗方の大まかな部分が知れて来ようと云うもの・・・
今までは―――主に「ガルバディア」や「ランド・マーヴル」など、中央や西側について詳しく語られたのですが、
どうやら今回のお話しは・・・東側が中心ともなって行くようです。
そんな期待に胸を膨らませつつ、ヱニグマは東の大陸―――「ロマリア」に降り立ったのでした。
高まる期待と不安・・・自分より先んじてこの大陸に入っている「同志」は、今の自分を見て何を感じるだろうか・・・
嘗ては激しく対立しあい、互いの犠牲も決して少なくなかった―――・・・
それなのに―――或る時を境に、自分達の同志だと、そんなにも聞き分けが好いモノなのだろうか・・・
「マエストロ」であるジィルガは、自分の「主」ともなったガラティアの「妹」だから、ある程度の聞き分けがあったものの、
やはり彼女達の部下レベルでは、自分を赦しておけない・・・信用ならないとするのではないか―――
でも―――あの当時と今とでは、完全に容姿も雰囲気も変わり、だとしたなら巧くやって行けるのではないか・・・
そうした思惑交々に駆られながら、女はアンブレラを差して人々が集まる「集落」を目指したのです。〕