≪五節;反政府組織≫
〔そして少年は―――自らが所属をしている「反政府組織」のアジトに戻り・・・〕
少:―――すいません、遅れました。
長:遅いぞ・・・ヨハン、何をしていた―――
男:へへヘッ―――まぁた憲兵にでも追っかけまわされていたんだろ、そう云う面ぁしてるぜ。
ヨ:そりゃないよ―――兄貴ィ・・・
女:そうよセルバンテス―――あなたも、ヨハンの事を云えないでしょうに・・・
セ:―――るせぇよ、ルカ・・・
ル:ウフフ―――それにしても無事・・・(?)なに、この匂い・・・ヨハン、あなたからしているわ―――?
ヨ:えっ・・・? 匂い―――って、なんの・・・
セ:・・・フフン〜なるほどなぁ、確かにこりゃいい匂いだ、仄かな香水の匂いに混じって―――こいつは乙女の匂いだな・・・。
ル:やだ―――セルバンテス、私達の弟はそんなんじゃないわ。
長:・・・尾けられたようだな―――
ヨ:えっ―――ぼ、僕が??
セ:なるほど―――そう云う事か・・・つまりお前は、憲兵じゃなくて女に追い回されてたってわけだ。
ル:またぁ・・・
ヨ:(女・・・)―――あっ、そう云えばあのお姉さん・・・
ル:心当たりがあると云うの―――? ヨハン・・・
セ:へっ―――どうやらこいつも、親父の血を色濃く継いでたようだなぁ、オレ達・・・ヴァンパイアの―――な・・・
〔その建物の内では、この少年の帰りを今や遅し―――と、待ちわびている者達がいました。
しかも、驚くべきことにこの者達は・・・先程の語り部の内にもあったように、「ヴァンパイア」の一族達だったのです。
しかし―――このお話しで、「ヴァンパイア」だと認知された者はたった二人・・・
それが―――これまでの時間の経過で、その二人以外にも宇宙から飛来してきたのでしょうか・・・
そして―――なんの目的で・・・この地球にある一つの国家を転覆させようとしている、「反政府組織」を立ち上げているのか・・・
謎が謎を呼ぶばかりなのですが―――・・・
一つに、このヴァンパイア達の正体が、これから明らかとされるのです。
そのきっかけともなったのが、「ヨハン」と呼ばれたあの少年に纏わりついていた、「いい匂い」―――・・・
元々が好戦的な種族である為、基礎能力とも云える「五感」に優れているヴァンパイア達は、それがすぐに「女性用」のモノであることが判ると、
幼いヨハンに対してもそんな傾向があるモノだ―――と、囃したりはしたのですが・・・
ただ一人―――彼ら三人を纏める「長」役の人物は、自分達のアジトを突き止めるために、ヨハンと接触を図り・・・彼にその案内役を務めさせた―――
そしてヨハンも、近い過去にそう云う事があったことを思い出したのです。〕