≪四節;窮地≫

 

 

〔しかも、その女の隣りには、お誂え向きに―――・・・〕

 

 

佐:ふむ、お前の云う通り、この場に姿を現せたようだな。

ユ:・・・いかが―――で、ございます。

  これでわたくしのことを、信用して頂けましたか。

 

ル:あなた〜・・・なんて恥知らずな!

  私達を油断させる為に、羊の皮を被ってくるなんて!

 

ユ:あら・・・ウフフフ―――あなたたちも、わたくしの正体をご存じなんでしょう。

  そんなわたくしの前で、とても重要なことを話して頂いて・・・お陰で、この方たちの、わたくしへの心証も良くなりましたわ。

 

ヨ:そ・・・そんな―――お姉ちゃん、改心したんじゃなかったの?

 

ユ:ウフフ・・・坊や、大人にはね、大人の事情と云うモノがあるのよ。

  子供は・・・黙っていなさい。

 

 

〔この国の、冷酷なる軍人―――「大佐」・・・

その彼とユリアとが、その場にいたと云う事実は、ユリアが今回の「情報漏洩者(ディープ・スロート)」であることを意味していたのです。

 

それに、その言葉内には、また元の鞘に収まろうとしている意思すらも、垣間見せていたのです。

その証拠として、その女が遙かなる過去、その女の代名詞として知られていた、薄ら厭らしい笑みを湛えるに至り、

ここに、ユリア・・・いや、「ヱニグマ」が―――またもや「フロンティア」の最大の障害となって、立ちはだかってくるのを感じずにはいられなかったのです。

 

しかも―――・・・〕

 

 

ル:く・・・っ―――このままでは終わらない!

  折角、「あの組織」の全貌が判りかけてきたと云うのに!

 

佐:・・・何? 「ある組織」―――だと?

  なんだそれは・・・吐け!女!!

 

ル:そんな必要はない・・・ここは、あの「要塞」の結界が及ぶ「範囲外」―――

  だからこそ私達は、この場で落ち合う約束をしていたのよ。

  今こそ、その身に刻みなさい―――私達が、お前達人間の、「天敵」であることを!

 

佐:フン―――無駄なことを・・・あのような結界がなくとも、私くらいの階級ともなれば、貴様達の術式など・・・

 

 

〔ルカが、独自に調べ上げたと見える「ある組織」に、大佐はまた違った反応を示したものだったのです。

 

それに、その「情報」は、どうやら大佐でも把握しきれていなかった様子・・・。

 

窮地に陥ったが故の、女ヴァンパイアの騙りか―――とも思ったのですが、

その事は、この場で殺さずに、捕えて調べ上げれば済むこと・・・

 

第一、将校などの、階級が付く幹部レベルの者たちともなれば、「生体強化」を行っている事もあり、

ヴァンパイアの術式にも(あらが)える事が出来ていたと云うのです。〕

 

 

 

 

 

 

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