≪五節;「敵」か「味方」か≫
〔しかし―――・・・
大佐と女ヴァンパイアが、互いに闘争を繰り広げようとしている時―――
その間隙を縫うようにして、ある者の攻撃が、女ヴァンパイア・ルカを襲ったのです。
而して、その「ある者」と云うのも―――・・・〕
ル:あ・・・ぐっ―――・・・
ヨ:あっ! ルカ姉ちゃん!
なんてことをするんだ・・・姉ちゃんは、あんたのことを―――
ユ:お休み・・・坊や―――
ヨ:う・・・うわぁあ〜っつ!
セ:お前は・・・やはり―――っ!
ユ:「彼」に・・・ウフフフ―――良く伝えておくことですね。
わたくしは、再び・・・蘇ったと。
〔女が発した、何らかの攻撃手段により、女ヴァンパイア・ルカは、灰となってしまいました。
そして、弟分のヨハンにも、その女の毒牙が―――
元来、魔法防御能力の方も、他の魔者達と比べて、高い能力値を誇るヴァンパイア達を、こうも容易く、その女は圧することが出来ていたのか・・・。
その疑問も宛らに、ユリアは、残ったセルバンテスにも、彼らと同等に―――
けれども、本来は、滅殺する前に捕え、「あの組織」などと云う不特定なモノを、聞き出そうとしていた者は・・・〕
佐:誰が―――滅してよい・・・と?
この場にて、命令を下す権限は、私にある。
お前が今したことは、越権行為である―――と、そうは思わないのかな。
ユ:それは出過ぎた真似を致しました。
とは云え・・・一人を捕えた処で、残りの二人に逃げられては、後に禍根となってしまうと思いましたので。
佐:・・・フン―――まあ良いわ。
それにしても、「あの組織」・・・などとは、なんとも気になる言葉を残してくれたものだな。
〔ユリアの、「出過ぎた」とも思える行動に、厳しい追及をする大佐―――
対してユリアは、さらりと追求を躱し、その場をどうにか切り抜ける事が出来たのです。
しかし・・・このこと自体が、ある事象の前触れであることなど、当人以外には知る術などあるはずもなく―――・・・
こうして、大佐の信任を得たユリアは、帝國の一員となるべく、皇帝に拝謁をする為、大佐と行動を共にするのでした。
そして、頃合いをほぼ同じくして―――・・・
その者は、自らの身に起こった、僅かなる違和を感じ取ると、横臥させていた棺桶より身を起こし、
元に戻っていた「左手の指」を確認すると、闇の中で嘯くのでした・・・。〕
大:フフフ―――・・・相も変わらず・・・と、云った処の様だ、な。
予想以上の働きで、内心、心苦しい限りだが・・・
さて―――もう一働きして貰うとするか、わが「分身」達よ・・・