≪六節;謁見≫
〔その女は、長い回廊を、一人の・・・この国の将校と共に歩いていました。
その長い回廊は、帝國の皇帝が居城としている「皇居」にあり、その女が、この国の将校と一緒に―――と、云うのも、
どうやらこの国の皇帝に「謁見」するのが目的だったようです。
その長い回廊の突き当たりに、雄々しくも重々しい扉が待ち構え、大佐と呼ばれる将校の一人が、皇帝に謁見の許しを願いたい・・・由を申し出ると、
その扉は、重厚な音を立てながら開かれたのでした。
そして、その先には―――〕
佐:お目通りが叶い、恭悦の至りでございます―――陛下。
帝:挨拶はよい・・・して、ワシに用があると云うのは―――
〔以前、杳として得体の知れない巨魁―――「ロマリア帝國・皇帝」・・・
しかし、ユリアは、この得体の知れない者を、既に須らく把握をしていました。
この「皇居城」の玉座に鎮座しているのは―――ただの・・・なんの力もない、老人・・・。
この国の、名のある将校にすら、その実態を掴めさせず、裏からこの国を支配下に置いている、元は自分達の組織の下で、「雑魚」以下に取り扱われている者達・・・
そんな者達に担ぎ出され、この国の「傀儡の主」として君臨させられている、哀れなる君主・・・
それでもユリアは―――〕
ユ:この度、皇帝陛下の偉大なる覇業をお扶けいたしたく、参上仕りました・・・ユリア=F=クロイツェル―――と、申し上げます・・・。
〔本当は・・・こんな目的で、皇帝とやらの下に傅く目的できたのではないのだけれど、
そうしないことには、この国のどこにいるとも知れない「傀儡使い」を探り当てられない―――と、云いたくもない辞を述べるユリア。
しかし、不思議なもので、本心では述べたくもない辞が、まるで水が流れるかのように、口から吐いて出てしまうのは、
自分がそうした技能で、「ブラック・ウィドウ」の首領として君臨し、数多ある星間国家を破滅に導いてきたからではないだろうか。
それが、こんなところで役に立ってこようとは―――・・・
事の奇妙な成り行きに、ユリアは思わずも、ほくそ笑みそうになるのでしたが、それは決して表情に表わされることはなかったのです。〕