≪四節;その男の名、「ニド」≫

 

 

〔その、当のユリアは・・・と、云うと―――

今回最大の目的である、「ヴェロー・シファカ」の一派に会い、現在の首領である、「ニド」と呼ばれる人物に会うのでした。〕

 

 

ニ:この私が、ニコライ=ドヴォルザークだが・・・一体どう云うつもりなのだ、ゲブよ。

ゲ:ヌフフフ・・・いつまでもボス猿面をしていられるものと思うなよ、今日はなぁ・・・お前さんにいいモノを見せに来てやったのだ。

 

ニ:なんだと。

ゲ:グフフフ・・・さあ―――お入りください。

 

 

〔「ニド」と呼ばれる人物こそ、この国の宰相として君臨し、皇帝の次に憎むべき民衆の敵であった、「ニコライ=ドヴォルザーク」その人でした。

しかし―――・・・本来の自分の立場を忘れ、「表舞台」にて、悪事の数々を働いているのでした。

しかも、自分が元来所属している組織の、他のメンバー達には適当なポストも与えず、あたら道具の様に使いこなし、使えなくなればそのままゴミのように棄てるのみ・・・。

 

それに、そう云う事が出来たのは、彼自身が単純に「優秀」だったから。

それは、ゲブを含める他の「ヴェロー・シファカ」達とは一線を画しており、その事は頭脳だけに係わらず、容姿にもあったのです。

 

前述した通り、他の「ヴェロー・シファカ」達は、ゲブを含め、総じて醜い小男の容姿をしていたのに対し、

ニドだけは、均整取れた顔立ちをしていて、しかも長身だった―――

つまりは、何を措いても優秀に過ぎたから、「ヴェロー・シファカ」の(おさ)に収まることが出来ていたのです。

 

だとしたら、ユリアがこちらへ来たのを機に、ニドを(おさ)の座から引きずり下ろそうと画策したのですが・・・

哀しきは、哀れなる道化を演じてしまった、ゲブなるか―――

いずれにしても、ニドにとっても、滑稽なものだったに違いはなかったでしょう。

 

ともあれ、茶番同然の丁々発止(ちょうちょうはっし)は繰り広げられ―――〕

 

 

ゲ:いいか、聞いて驚くなよ・・・。

  このお方こそ、ワシらの間で伝説となっている、あの「ヱニグマ」様の魂をお持ちなのだ!!

  ワシは・・・一目会った時から、そう確信した―――これで、お前も・・・

 

ニ:フッ―――フフフ・・・この方が・・・な。

  なるほどな、そうだとすると全ての辻褄も合うし、我々・・・いや、この私にとっても、有益なモノになってくると云うモノだ。

 

ゲ:な・・・ナニ―――? お前、まさか・・・この方をワシから取り上げようと云うのではなかろうな?!!

 

ニ:そうしても構わんが? それだとお前には不利になるだろう。

  だから私は、一つの提案を申し上げる。

 

  さあ・・・魅惑の君よ―――あなた自身の意思で、選ぶがよい。

  この、過去の栄光を引きずろうとする愚か者か―――その未来には、この惑星(ほし)の総てを掌握することを約束されている男を選ぶか・・・を、な。

 

 

 

 

 

>>