≪五節;哀れなる者の末路≫

 

 

〔一方が(はや)し立てれば、敵も()る者。

 

元々は、この組織の(おさ)を代々引き継いでいた家系の人間が、過去に何かしらの不手際をやらかし、その座を奪われてしまった・・・。

そして、臥薪嘗胆の思いをして苦節の年月が流れ、過去の栄光の日々を取り戻せるかもしれない、一人の女性と出会った・・・。

 

この女性の後ろ盾があれば、或いは―――・・・

 

その(はや)る想いを、すぐに実行に移した当人は、この後に起こることなど、思いも寄らなかったことでしたでしょう。

まさか・・・自分が拝み、敬っていた存在が―――自分を棄てる・・・だ、なんて。

 

そう・・・「ヴェロー・シファカ」の(おさ)の家系に産まれ、永らく(おさ)の座に収まっていた者は、寸での処で自分が信奉していた女神様にそっぽを向かれてしまったのです。〕

 

 

ゲ:(!)そ・・・んな―――・・・そんな莫迦な!? ど・・・どうして―――

ニ:クハハハ! これは傑作だな!ゲブよ。

  見るがいい、現実とは、斯くも残酷なモノなのだ。

 

  まあ・・・貴様は、ヴェロー・シファカの(おさ)の座を追われた時から、ツキが回っていなかったのだがな。

 

 

〔また、(おさ)の座に収まり、良い思いが出来ると思い込んでいた―――

けれども、現実とは斯くも厳しい試練を、彼に課したモノでした。

 

そして、頭に血が昇り、前後の見境がなくなってしまった、哀れなる道化師は、現在の(おさ)の手により処断されてしまったのです。

 

この内部紛争の一部始終を、傍目(はため)で見ていた人物は・・・〕

 

 

ニ:・・・これは、済みませんでしたな。

  お見苦しい点をお見せいたしました。

ユ:・・・いいえ―――

 

ニ:フフ・・・いやはや、それにしてもあなた様がそうでしたか。

ユ:なにがでしょう。

 

ニ:いやなに―――大佐の紹介で、皇帝陛下と謁見なされたそうですが・・・

  なるほど、ゲブ―――ああいや、惨めな道化師の謂れのように、我々の頂点に立ち、()くべき(みち)を示してくれる存在なれば・・・

 

  フフフ・・・これは何かの啓示に違いない。

  今こそ、頭角を現す絶好の機会だと云う・・・な。

 

 

〔哀れな道化師は、処断された直後、いかにも恨めしそうな眼差しを女に向け、口元も何事か云いた気に、打ち震えているようにも見えました。

 

が―――・・・

 

女は、冷たくあしらうと、その視線すら合わせないようにしていたのです。

 

そうした冷淡な面に惹かれたのか、今度はニドがユリアに興味を示し、(あまつさえ)ユリアを出汁に使い、自分がこの世界の頂点にのし上がろうとさえしていたのです。〕

 

 

 

 

 

 

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