<第七章;ツアラツストラは斯く語りき>

 

 

≪一節;破滅への序曲≫

 

 

〔某日未明に起こった、ロマリア帝國内部での反乱・・・

その首謀者は、意外にも『帝國の狗』として知られていた、宰相のニコライでした。

 

しかも、その彼の豹変ぶりに、ただ周囲(まわ)りは狼狽(うろた)え、たじろくばかり―――・・・

 

そんな周囲(まわ)りを落ち着かせる為、冷酷にして冷静沈着な「大佐」が、周辺の兵士を統率・指揮し、大逆人・ニコライを逮捕する為に取り囲むのですが・・・

このような窮地に追い込まれた状況に陥っても、当のニコライは、まだどこか余裕すら見せていたのです。

 

その余裕の表情は、当然大佐から見ても(しゃく)(さわ)るモノらしく、兵士達の持っていた銃の照準を大逆人の方へ向け―――引鉄(ひきがね)を引かせようとしたその瞬間―――!〕

 

ククク・・・ハハハハ―――!

 

佐:何者だ―――!

 

謎:少しばかり・・・パーティーの時間に遅れてしまったようだ・・・。

 

ニ:なんだと?「パーティー」?

  フフ・・・まあ確かに、私がこの国を掌握し、この惑星の新たなる主となる、記念すべき日・・・なのだからな。

  そうした催しもあって然るべき―――なのだとは思うが・・・少しばかり気が早すぎやしないかな。

  いや、その前に・・・「遅れてしまった」―――とは?

 

謎:おやおや・・・ククク―――とても愉快な奴がいるようだな。

  だが、私は言葉の選択を間違えてはいない。

  もうすでに、お前達の破滅へのシナリオは始まっているのだ。

  だからこそ・・・私は、「パーティーに遅れてしまった」―――と、云ってやったのだ。

 

佐:おのれ・・・言葉で嬲りおるか! 女ァ―――!

 

 

〔その場を、騒然とさせる・・・高らかなる笑い声―――

それと共に、不敵なまでの発言をする、女性の声色―――

すると、その場に現れたのは、見た目も華やかな服を纏った、一人の貴婦人なのでした。

 

しかし―――この女性が発言した、自分達の「破滅へのシナリオ」が、余程に気に障ったのか、

大佐は、自らが携帯していた拳銃を、その女性に向け―――発砲した・・・

 

ところが―――〕

 

 

佐:フフフ―――・・・

  ・・・うっ?! な、なに―――?!

 

謎:おやおや・・・怖い怖い―――この淑やかな私に、おはじきの弾を当てようとするなんて、怖くて泣いてしまいそうだ。

 

佐:き・・・貴様ぁ〜〜っ―――! い、一体・・・何者だ!

 

謎:薄汚いお前達に、名乗る名など本来持ち合わせてはおらん―――と、いつもならば云っていた処だが、今回だけは大盤振る舞いだ・・・

  この私の名を、冥府への手形代わりに持って行け!

 

  我が名は・・・スターシア=ラゼッタ=アトーカシャ―――お前達クズ共の専用処理係と云った処だ・・・。

 

ニ:ナ・・・ニ―――? スターシア・・・「アトーカシャ」だと?? た・・・確か、その名は―――

 

ス:フ・・・お前達には感謝をしなくては、な―――

  今まで、この私の同志達と、その血肉を分けたる者達を(もてあそ)んでくれて―――

  これで、心置きなく―――平等に、冥府へと送ってやれると云うモノだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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