≪二節;ハイランダーの闘争≫

 

 

〔大佐の拳銃から放たれた銃弾は、標的の身体に到達するどころか、それ以前で「分子分解」―――霧のように消えてなくなってしまったのです。

そうした、有り得ない現象を()の当たりにしてしまった大佐は、この謎の女性の名を、思わず訊いてしまいました。

 

すると、この女性こそが、あのスターシアだったのです。

 

そして、(いにし)えよりの同胞たちを可愛がってくれたお礼にと、ハイランダー特有の戦闘形態へと移行したのです。

 

しかし・・・未だ、自分すら見たこともない形をした鎧を纏う者目の前に、大佐は―――〕

 

 

佐:ううっ・・・く―――う、撃て・・・な、何をしている!撃て!撃つのだ!!

  決して、ここから生きて出させてはならんぞ!!

 

  ど―――どうだ・・・()ったのか・・・?

  ―――っっ!!

 

 

〔その種族独特の重装甲を目の前にした時、大佐は半狂乱となって、ただ闇雲に一斉砲火を浴びせる命令を下したモノでした。

 

その大佐の命令を受け、帝國が自慢としている重火器―――「百式重機関銃」で武装した装甲兵が、重たく響く砲火を、その女騎士に向かって斉射したのですが・・・〕

 

 

ス:・・・耳元で、小うるさい蠅共だ、少し黙っていて貰おうか―――

  ―――『アーク・サンダー』

 

 

〔先程と同様・・・喩え、機銃の弾丸と云えど、その女騎士の身体まで到達するモノは、一つとしてありませんでした。

それどころか、女騎士は・・・耳元で騒ぐ、小虫の羽音程度にしか捉えていなかったのです。

 

だからなのか・・・最早、これ以上煩わしい者達をのさばらせておく道理も見つからないので、

彼女が得意としていた「荒業(あらわざ)」の一つを紐解くことになったのです。

 

それに、この(わざ)は―――スターシアが持つ、数々の戦闘スキルの(なか)でも、もっともポピュラーなモノだと云え、

しかも、最も円熟した時期だっただけに、一般の兵卒は云わずもがな・・・あの、大佐でさえも、立つのがやっと―――と、云う状況だったのです。〕

 

 

佐:ぐっ・・・ぐうぅ〜〜―――こ、これ程の雷撃を、簡単に操れるとは〜〜・・・

 

ス:ほう―――多くの者が、立つことすら儘ならないでいると云うのに、中々見上げた根性だ・・・な、賞賛に値する。

 

佐:う・・・おのれえぇ〜〜―――こ、このまま・・・貴様達の好い様にはさせんぞ!

 

 

〔けれど、いくら大佐と云えども、そうすることで精一杯でした。

 

スターシアの(てのひら)の上で(くすぶ)り、球状となった雷光は、地面に接触すると、激しく拡散放電し、やがて雷は天へ―――

この電流に触れる者があれば、立ち所に感電し、しばらくは動くことすらできないままに、その場にへたり込むしかなかったのです。

(しかも、この時垣間見せたスターシアの御業は、後世に「地より立ち昇りし雷(ア ー ク ・ サ ン ダ ー)」と呼ばれ、伝説にまでなったと云います。)〕

 

 

 

 

 

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