≪六節;顕現の成分≫
〔しかし―――どうして、そのアーティファクトが持つ顕現は、それほどまでに・・・行使者自身の身を焼き尽くすまでに、強力だったのでしょうか・・・
それは、アーティファクトを構成する、「成分」にも関与があるのでした。
では・・・そのアーティファクト、「ツアラツストラ」を構成する成分とは―――
それは、銀河の果てにある恒星系の内に存在している、「恒星」―――「アバドン」と云う、太陽系にある太陽よりも灼熱とされる天体の成分。
その恒星を構成する成分を、そのまま凝縮し、「携帯化」にすることに、ガラティアは成功していたのです。
ですが―――・・・
困ったことには、余りにも強力すぎて、扱える者が誰一人としていなかった・・・
けれど、自分の妹が、「ヱニグマ」なる強敵を前に苦戦を強いられていると云う事を聞き、助ける為の手を差し伸べに、地球へとやってきたとき、
同じく、自分の妹であるジィルガが、ヱニグマのデータのサンプリングをしていたので、見せて貰った時に・・・
ふと、彼女は思ってしまったのです―――
「こいつなら、いけるかも知れない」―――と・・・
そして、ガラティアの思惑通り、ユリアへと生まれ変わったヱニグマは、自分の部下達でさえ手に焼いていたアーティファクトを、自在に操る事が出来ていたのです。〕