<第八章;Forget me not≫
≪一節;状況終了の報告≫
〔万物が生きとし生ける惑星―――「地球」・・・
その東半分で起こっていた騒乱は、ロマリア帝國の解体によって、一応の幕は閉じられました。
しかし、この大陸の行く末を、善き方向に導こうとする者達にとっては、これからが正念場になるところでした。〕
ユ:『ツアラツストラ』よ―――我が思念に触れ、伝える言の葉となれ・・・
ガ:≪はいよ〜なんだろう。≫
ユ:盟主でございましょうか、ユリアでございます。
ガ:≪おお〜あんたかい、それで・・・。≫
〔今、自らが持つアーティファクトの機能を使い、自分の盟主であるガラティアに報告をするユリア。
この大陸の属性を、「善」なる方向に導きゆく為の障害となっていた、ロマリア帝國を取り除き、
その象徴として祭り上げられていた「皇帝」や、まさしく「恐怖」の代名詞ともなっていた「軍部」の各主要人物などを、処罰の対象としたこと・・・
そして、更には―――・・・〕
ガ:≪ふぅ〜ん、なるほど・・・と、云う事は、順調に進んでいるようだねぇ〜♪≫
ユ:・・・あの、盟主―――
ガ:≪あんたの・・・云わんとしている事なら判っているよ。
そのことで、マグラの奴とひと悶着起こしたそうじゃないか。≫
ユ:ひと悶着・・・と、云うほどのことでは―――
ですが、しかし・・・一時的とは云えども、「傀儡政権」を置くと云うのは・・・
ガ:≪・・・「アヱカ」の時に、多くのことを見てきてしまったようだからね、そう思ってしまうのも、当然のことだったか―――
だったら・・・あんたが、その役目を演じてみるってのかい。≫
ユ:その事は・・・マグラからも云われました―――
しかし、わたくしはもう・・・歴史の表舞台には立ちたくはないのです。
ガ:≪(ふんん〜・・・)・・・「国を治めると云う事は、なまじ綺麗事では収まりきれない」―――
あの子が常々口にしてたことだったからねぇ〜・・・≫
ユ:・・・女禍―――
〔ユリアは、この報告の最中、エルムドア大公爵が推し進めようとしている方針を、奏上しました。
するとガラティアは、あの時エルムドア大公爵がユリアに云わんとしていた事そのままを、ユリアに付きつけてきたのです。
ですが・・・ユリアも、そうする「意義」を、判っていないわけではなかったのです。
けれども、以前の存在でもあった「アヱカ」の時分に、非常に多くの・・・そうしてきた事を見て、学んできた―――
「悪政」だとは知りながらも、自分に国の将来を託すために、わざと手を染め・・・亡くなった者―――
遙かなる理想を抱きながらも、次第に失道し、やがては国そのものを破綻させようとした者―――
そんな者達を叱咤し、人々の暮らしが平穏・平等であるように、尽力をした・・・もう一人の自分―――
それに、国内が不安定になろうとしているこの時、「傀儡」だと喩え後世にて指摘されても、「無い」よりかはまし・・・
だからこそ、そこの処をユリアは、一応は理解していたのです。〕