【補章]―――『第四十四章』;非道なる者達】
≪一節;拷問に継ぐ拷問≫
〔ここは―――かの、兇悪の因といわれた、カ・ルマの一拠点・・・
元は小国家だったものが、今となっては、諸悪の元凶であるカ・ルマに屈し、拠点の一つ―――
つまりは、カ・ルマの手足と成り下がった『同じ穴の貉(むじな)』・・・。
その拠点―――ゴモラの・・・薄暗く冷たい地下の牢獄に、
この度、やはり同じくカ・ルマの拠点の一つカデンッアより移送されてきた、
とある虜囚がつながれているようです・・・。
では、その虜囚とは――――
亜麻色の長髪に・・・エメラルド・グリーンと、ピジョン・ブラッドの眸を持つ女性―――
そう・・・カ・ルマに、以前所属していた『ギルド』を強襲され、奮闘善戦するものの、
惜しくも敵の術中『陥穽』にはまり、敗れ捕らえられてしまった・・・・『女頭領』の婀陀那だったのです。
しかし―――敗軍の将が、未だにその頸を刎ねられずに、
その身を、この暗く冷たい場所に晒けていた理由とは、一体何なのか―――
それは・・・多からず、少なからず―――
彼ら・・・カ・ルマの連中が、未だ躍起になって探している、“ある者”の所在を、
詳らかにせんがため―――だったようです。
そして―――今、また・・・
この、貝のように固く口を閉ざした虜囚から、“女禍の魂を有する者”が、今どこにいるか―――・・・
それを・・・ただそれだけを聞き出すためだけの拷問が、なされようとしていたのです。〕
騎:おう―――オラぁ・・・どうだ、吐く気になったか・・・
婀:――――・・・。
騎:(ち・・・)やれ―――
獄:へい〜〜―――
ビシッ―――☆ ドガッ☆ ボグッ☆☆
婀:うっ!ぐっ・・・がはぁっ!!
〔容赦なく、その身に加えられる獄吏の仕置き・・・
しかも、気を失ったとて、無理矢理目を醒まさされ、またも続けられる同じ言葉―――〕
ザ パァ〜〜―――
婀:(うっ・・・)げほっ―――げほっ―――
騎:おい・・・キサマ、いい加減吐いちまえよ。
キサマとそいつとは、何の関係もありゃしねぇンだろ?!!
婀:・・・・フッ―――・・・クックックッ・・・・
騎:ぁあ?!ナニがおかしいか・・・
婀:お主――――
騎:(ぅん?!)
婀:息が臭いのう・・。
騎:(ムカ#)やかましい!!ナメた余裕見せられるザマか!!
〔言われようはずもない―――・・・この現世に、再び現れたという、“現人神(あらひとがみ)”を・・・
この、人を人とも思わない、悪魔どもに売り渡してなるものか―――・・・
この一念だけで、婀陀那はその傷みに耐えていたのです。〕