≪六節;研ぎ澄まされたる殺気≫
〔そして―――虜囚の婀陀那がつながれている、地下の牢獄へと、カ・ルマの騎士三人が・・・
するとそこには、度重なる拷問で、気力体力ともに消耗しきっている婀陀那の姿が。〕
騎:見たまえ―――この者がそうだ。
婀:―――――・・・。
監:・・・・・・・・・・しゅ。(ぼそ)
ド:うん?何か言ったか―――?
監:・・・・いや、なんでもない。
婀:(ピクッ!)・・・・・・ぅぅ・・・・・。
騎:おっ―――と、どうやら気がついたようだな。
ド:そうかい―――ようやくお目覚めかい。
どうだ―――ここ数日で働きづめにされた感想は、ようやく喋る気になったか?!
〔ようやく気が付き、未だ頭がふらつく感のある婀陀那に対し、またもや口汚く罵(ののし)るドズル。
しかし―――このとき、婀陀那が気がつき目覚めた・・・と、いうのも、
何も自然とそうなったわけではなく、―――ある者が醸し出していた殺気―――、それもよほどに鋭く、まるで肌に突き刺さるような・・・
しかもそれは達人の域まで達しており、凡人如きではおいそれと気付かないほど深いモノ―――・・・
痕の浅きは、その傷みより気付かされるものを―――、それが“死”に至らしめるほど深いモノなれば、
すでに神経までもが麻痺している事により、被傷者は気付かない・・・
そのことに―――婀陀那は気付いたのです。
それゆえに戦慄してしまう婀陀那が・・・〕
婀:(な・・・何者じゃ、こ・・・ここまで、研ぎ澄まされた業物のような殺気を醸し出しよるとは・・・。
わ―――妾でさえ、ここまでのモノを感じたことはない。
い・・・いよいよ最期(おわ)り―――と、いうことか・・・。)
―――――ううっ・・・・うぅぅ・・・。(ワナワナ)
騎:(フッ―――フフフ・・・)まぁ〜〜そんなに怯えるなよ・・・と、いっても無理はないか。
これから、キサマを責め立てるのが、もう一人増えたんだからなぁ。
〔こうして―――またも拷問が展開されてゆくのですが・・・
このとき、婀陀那の双眸は、二人の騎士に―――・・・ではなく、もう一人の・・・・
そう―――この七尺はあろうかと言う、監査の騎士に向けられていたのです。
なぜならば・・・ここまでの殺気を出せる者―――その者から眼を逸らした途端に、弑(と)られる・・・そう直感したから。
いわゆる、その監査の騎士に対しての、牽制の意味合いを含んでいたのです。
ですが、その監査の騎士、なにもこの拷問に参加するという風でもなく、
この者達の所業を じっ と見据えていたのです。〕
騎:ところで・・・どうだ―――そなたもやらんか?
ド:そうだぞ―――お主も嫌いではないだろう。
監:・・・いや、ワシはいい―――
ド:あん?“いい”・・・だと? まあ、いいじゃあねぇか。
監:いや―――ワシにはそんな趣味など毛頭ないのでな・・・構わないでいてもらおう。
騎:ぁあ?!なんだ・・・そなた、出世に慾がないのか、そいつは・・・・(ククク)可哀想になぁ。
監:・・・・・・・・・・あんたらほどではないよ。(ボソ)
ド:あんっ?!今―――なんか言ったか・・・?
監:ぅん?(フッ・・・)いや、気の所為だろう―――
それより、長旅で疲れた・・・部屋で休ませてもらおう。
ド:(ケッ―――)惰弱な・・・
騎:―――そうか、分かった。
今日そなたが泊まる部屋へは、部下を通して案内させよう・・・と、言うわけなのだが―――
ドズル殿はどうなさいますか?
ド:ふふ・・・オレか―――オレはもう少しいい思いをさせてもらうとする――――ぜ!!
〔こうして―――その監査の騎士は、長旅の疲れを癒すべく泊まり部屋に・・・
ドズル含む二人の騎士は、婀陀那の口を割らせるべく、地下の牢獄に―――・・・
これが、普通一般の者から見た、ごく普通・・・当たり前の光景だったのです。〕