≪八節;煌く光の軌跡≫

 

騎:ふっふっふっ―――・・・また来てやったぜ・・・。

  今度からは、この者も参加するそうだ。

 

婀:―――――・・・・。(ギロリ)

 

ド:フッフフ―――そんな怖い顔で睨むなよ。

  キサマには、これからもオレらの憂さを晴らしてもらうために―――・・・

監:・・・・もういいだろう―――

 

騎:(あ゛??)な、なん―――だと??

 

監:もういいだろう・・・ナゼにそこまでする必要がある―――

ド:ナニを今更―――・・・全く持ってワケの分からねぇことを言いやがる。

  こうでもしなきゃ、吐きやしねぇじゃあねえか。

 

監:・・・・哀れだ―――今、楽にしてやるからな・・・。

 

 

〔本来ならば、婀陀那に尋問をするべく、この牢獄に来た三人の騎士。

 

ですが、そのうちの一人―――監査の騎士が述べた、周囲にとっても不可解な言動に・・・今更ながらの説明をするドズル。

 

しかし、そのことは耳に入らなかったのか、この監査の騎士が次にいい置いた言葉は『楽にしてやる』・・・。

 

そう―――その言葉の意味をそのまま捉えるのなら、虜囚に成り果ててしまった婀陀那を、

これ以上苦しめることなく、涅槃へと旅立たせるという事に・・・

 

でも、それでは、この二人には都合が悪いのです、それゆえに制止に入ろうとするドズルの部下が・・・〕

 

 

騎:まっ―――待て・・・ちょっと待たんか!!

  今、こやつを始末してどうしようというのだ!!(ガッ―――)

 

監:うん―――? 何をしている・・・離さんか。

 

騎:まあ・・・待てといっているだろう!! こいつからは未だ重要なことを聞き出して―――・・・

 

 

〔そう・・・未だに重要なこと―――今の世に『女禍の魂を持つ者』とされている、あのアヱカの所在を明らかにしていない・・・

そのことを婀陀那の口から聞き出していないため、その者達は大いに焦りを覚えだし、

重要参考人である婀陀那を始末しようとしている監査の騎士を制止すべく、肩に手を掛け、

何とか思い留まってもらおうとしたところ・・・〕

 

―――いきなり!!―――

 

                                                          

 

騎:(・・・な??・・・・え!!)うぅっ――――・・・・

 

う゛っぎゃぁああ~~―――!!

 

ド:なっ――――なにィ??

 

婀:(な―――なんじゃ? い・・・今、一体・・・ナニが起こったというのか―――・・・)

 

 

〔監査の騎士が振り向いた・・・その瞬間、 ぼとり と落ちる人間の腕(かいな)・・・。

それから間もなくして搾り出される叫び声―――・・・

 

そう・・・なんと、ドズルの部下の片腕が、監査の騎士の手によって斬り落とされてしまったのです。

 

 

しかし―――不思議に思いませんでしたでしようか、

そう・・・その監査の騎士、ここに来たときには、帯剣していないことをドズルより咎められたのに、

ではどうして、部下の騎士の腕が斬り落とされていたか・・・と、いうことなのですが―――〕

 

 

騎:なぁッ・・・・なにをしやがるかあぁぁ・・・・

 

監:・・・穢らわしい手で、ワシに触れないで貰おうか・・・。

ド:そ―――それより、まて・・・い、今お前・・・何でそいつの腕を斬り落としやがった??

 

監:・・・・そいつを、聞きたいか―――

ド:あ―――ああ・・・確か、お前・・・ここに来た時には、剣など佩いていなかった―――

 

監:・・・・はずか? まあ―――普通の刀剣の類は・・・な。

ド:な、ナニ―――??

 

監:だが、全く武器は携帯してはいない・・・と、まではいわなかったが。

 

婀:(ナニ―――? では・・・すると、一体どうやって人間の腕を斬り落としたというのじゃ・・・?!)

 

 

〔そう・・・その時に一番の怪異性を持っていたのが、当にそれなのです。

当初この砦に来たときには、確かに監査の騎士は、剣を佩いている様子など見えなかった・・・

だというのに―――唯一はっきりしている事実としては、明らかに鋭利な刃物で切り落とされた人間の腕―――

それに間違いはなかったのです。

 

 

けれども、監査の騎士の言い分としては、『普通一般の刀剣の類』は、帯びてはいなかったが、

何も“丸腰”でここには来ていない―――何か代わりになる別の武器を帯びていた・・・と、していたのです。

 

そう・・・別の武器―――見かけは、ただの『剣の柄』にしか見えないという・・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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