≪九節;父の仇敵―――≫
〔しかも―――この監査の騎士は、因縁めいた事まで言い始めたのです。〕
監:(フフフ―――・・・)それにしても・・・数奇なめぐり合わせ・・・だな。
ド:うん?!
監:以前にも―――あんたとよく似た人相の“男”を斬ったことがあるが・・・
ド:(な―――・・・?)なんだと?!! オ・・・オレと同じ―――人相の・・・男?!
監:ああ・・・それにしてもよく似ている、特に―――ドブ川のように濁った眼は・・・なぁ。
ド:(く・・・くうぅぅ〜〜―――)ど・・・どこでその男にめぐり合わせた―――・・・
監:・・・そうだな―――確か・・・『ハンザ高原』だったか?
婀:(ナ・・・ナニ?!)
ド:ハ―――ハンザ・・・オ、オレの・・・
そ―――そこでキサマは一人の男を斬ったというのかあ!!
監:そういえば―――確か・・・透翼刃の遣い手だったなぁ。
あれには少しヒヤッとしたが―――(ゴソゴソ)ほれ・・・これだよ。(カラァ〜ン☆)
ド:あああ―――ッ!! こ・・・これは確かに、オレの親父が愛用していた・・・
じ・・・じゃあ〜〜―――キサマが・・・オレの親父をオ――――ッ!!
監:ほぉ―――・・・あの男、あんたの親父だったか。
世の中、広いようで、案外狭いもの―――・・・だよなぁ。
ド:くぅぉのおお―――!! 親父の仇!! 斬り棄ててくれるわあ!!
〔そこで明らかにされた事実―――とは・・・。
それは、ドズルの父を斬った者が、この監査の騎士―――だったということなのです。
しかも・・・その時の事を明確かつ詳細に話すことが出来ようとは―――・・・
でも、ドズルにはそんなことはどうでも良かったこと・・・なぜならば、今、ここに、父の敵が存在しているのだから・・・。
そして―――仇をとるべく、自らの剣の柄に手を掛け、剣身を鞘から抜こうとした刹那―――!!〕
ザ シュ―――――・・・・
ド:あ―――・・・ぐわ!!
騎:あああ・・・・・
婀:(ま――――また??)
〔ドズルが・・・鞘から剣を抜くより迅く―――黒鋼の鎧ごと別たれた胴体・・・
逆袈裟に斬られたとき―――彼は何を思い・・・そして、何を感じて逝ったのか・・・
それは知るべくもないのですが、あとに残された二人は、はっきりと見てしまったのです。
剣の柄のようなものから突如発生した、蒼白き光の刃が・・・
ドズルの身体を通過し、彼の生命力を断ってしまった―――ということを。〕
騎:うぅ〜〜・・・お、おのれぇええ―――!!
監:――――むぅうん――――!!
騎:ぐはあぁ・・・・