≪二節;七人の魔将≫
〔では―――・・・この、昔話の国名と、現在ある同名の国――――カ・ルマ――――
すると・・・やはりここの国主とは―――〕
ビ:(ビューネイ=グリード=サルガタナス;驚くべきことに、この者は“人間”ではない。
七万年前にも、同じ主に付き従っていた、七魔将の一人。)
大王―――・・・いかがされたので?
ア:(アウナス=ヅェゲラ=ベルゼビュート;この者もビューネイ然り・・・魔将の一人)
フフ・・・ビューネイよ、今、大王閣下は、考え事をなさっておられるのだ。
ビ:考え事―――・・・だと?
べ:(ベリアス=カスクート=オードル;同じく、魔将の一人)
ククク・・・これから、いかに積年の怨みを晴らそう・・・か、というなぁ。
ビ:ほう―――(フフ・・・)成る程。
フ:(フォルネウス=クシィ=ダグザ;魔将の一人)
それにしても・・・憎むべきは、あの女禍とかいう者と、その足下の者共よ。
キ:(キュクノス=アムド=オズモ;魔将の一人)
確か――――・・・あやつら、なんといいおったかな。
ザ:(ザルエラ=タナトス=スービエ;魔将の一人)
帝国の双璧と、マエストロとぬかすヤツらよ!!
ワ:(ワグナス=グゥエイン=アラケス;魔将の一人)
あの・・・三人か!!
フ:その通りよ―――!! しかも彼奴等、我等と同じ“人外の者”にして、女禍に加担しただけでなく、
我等さえ葬り去ろうとしたではないか!!
ア:おおよ! まさに、忌々しき存在そのものだ!!
―――ワイワイ・がやがや―――
サ:(サウロン=カルマ=アドラレメク;この世に、復活を遂げた畏るべき“魔皇”)
――――・・・ビューネイよ。
ビ:は―――。
サ:静かにさせろ・・・考え事が、まとまらぬではないか。
ビ:承知しました・・・。
諸卿よ、聞いての通りだ、大王閣下は、もう少し静かにされる事をお望みである。
キ:むう・・・・そうだな。
サ:フッ―――・・・しかし、まあ・・・今は、その片割れであったロード・マンサーの魂を、こちら側が有しておる。
フ:・・・・と、なると・・・。
ビ:後はその器――――肉体・・・と、いうわけですか。
サ:(ククク・・・)そういうことだ。
〔七万年前に、一度滅んだはずの彼ら――――・・・
その彼らが、今になって、どうやって復活しえたのか・・・それは未だ不明のようですが、
畏るべき事には、その顔ぶれは全く変わっておらず、
しかも、前世にて倒された時の、怨恨まで抱いていたというのです。〕
ザ:それで―――その器の候補は?
ビ:うむ・・・実はな、奇遇なことに、同名なのだよ。
ワ:同名・・・。
ビ:そうだ、しかもその者は、以前に女禍の魂を所持していたというのだ。
キ:・・・・と、いうことは、故人か。
ア:それで、いつ死んだ?
ビ:(ニヤ・・・)14年前・・・ここより南方の列強、ラー・ジャで・・・だ、そうだ。
フ:(14年前・・・)そういえばザルエラよ、その時・・・丁度あの辺りで、狩りをしていたそうだなぁ。
ザ:うん?ああ・・・(ククク・・・) そうか、あそこに女禍の魂を持っていたヤツがいたか・・・
余りに些少だったので、気付かなかったぞ。
べ:ククク・・・貴公は、趣好に走ると、見境がなくなるからな。
ワ:ところで・・・どういう名のヤツだ。
――――その者の名は――――
ビ:ジィルガ=式部=シノーラ。
ア:ふん・・・・癇に障る名だ・・・。
べ:ああ――― 確か・・・マエストロも、そういう名だったな。
〔そう・・・14年前にあったとされる、悲劇を起こした張本人たちは、紛れもなく彼らだったのです。
それは――― その当時に、女禍の魂を持っていた(で、あろうとされていた)“聖女”の死を、目の当たりにし――――・・・
その護衛役は、彼女を護るどころか、逆にその身を呈されて護られてしまったのです。
そのことを、護衛役は己の不甲斐なさを恥じ――― 当時、最年少で就いたばかりの老中職を返上し、
自らを閉門蟄居・・・・竹林の庵に住まう者となったわけなのです。
(ここでいう、その“護衛役”とは、清廉の騎士―――タケル=典厩=シノーラ・・・・・で、あり、
“聖女”とは、巫女――――ジィルガ=式部=シノーラ・・・・の、こと。)
ところで―――・・・彼らはこうも言っていたのです。
七万年前、皇・女禍と結託して自分達を滅した存在の中に、この14年前の悲劇の主と、同名の者がいる・・・と、
そして、その者こそ、ロード・マンサー<大魔導師>であり、『マエストロ』という呼称までついていたのです。
では、その者の名は―――・・・・?(それはまた後ほどで・・・)
しかし、恐るべきは、このマエストロの魂を、暗黒の集団が有してしまっている・・・と、言う事なのです。
一体、ナニを企んでいるのでしょうか・・・・〕