≪三節;“黒き”『禽』(とり)≫
フ:ところで――・・・その貴重な情報、一体何者から?
ビ:(フフ・・・)知りたいか。
ア:なんだ・・・勿体つけずに、全部話せ。
ビ:ふぅむ―――・・・いや、実はな、その者・・・
なんと、マエストロの魂を、献上しに来た奴と、同じなのだよ。
キ:(ナニ??!)
ワ:(なんと―――!!)
ビ:では、この私から、直々に紹介してやろう・・・
さぁ、入ってくるがいい――――
〔そして――― この七魔将の中でも、一番の発言権を持つ者から、入室するように促された者――――とは・・・
この国の総ての官吏がそうであるように、黒き衣でその身を被(おお)い――――
その顔も、表情が見えづらくなるように、鼻っ柱から下を黒い布で覆い隠した――――
(つまりは、目だけ覗いて見えるという感じ)
者だったのです。〕
誰:・・・・・。(コク)
ビ:まず・・・官姓名から名乗れ。
誰:・・・・シホ=アーキ=ガルテナーハ・・・・。
べ:ほぉう――― 女・・・・か。
ア:確か・・・に、殊勝な心がけではあるが―――・・・
ワ:うむ・・・得心がいかんな。
シ:信じる―――も、信じない―――も、お前達次第・・・・それ以上は、語らない。
フ:言うな、女。
キ:しかし――― お前が、あの14年前の事を知っている・・・と、いうことは、
ラー・ジャの者か。
シ:・・・・そう、とってもらっても、構わない・・・。
ザ:(フン―――)気に入らぬな・・・今、ここでたたっ斬って――――
ビ:まぁ、待ちたまえ・・・・
シ:(フ―――)長生きは、できないな・・・・お前。
ザ:ナ・・・ニぃ!# この下女めが!!
サ:止めろ・・・ザルエラ。
ザ:し―――・・・しかし、大王。
サ:(ギロリ)
ザ:ッっ――――・・・クッ!
サ:(フッ・・・)しかし、この猛将達が居並ぶ中で、眉一つ動かさんとは・・・
中々にできるようだな。
シ:恐悦に存じ上げまする。
大王におかれては、益々のご繁栄のあらんことを――――
〔この者――― シホ=アーキ=ガルテナーハ・・・。
年齢は不詳ではあるものの、女性ではあるようです――――
が、カ・ルマの国主が言い置いたように、七人もの猛将が居並ぶ中であっても、
一つも臆せず、逆に言いたい事を言い放つ―――とは、かなりの度胸の持ち主のようです。
しかも、その出身は ラー・ジャ ・・・・で、全身を黒い服で覆い、その素性が分からない者・・・・とは・・・・
それはともかくも、このシホなる者、カ・ルマ国王―――サウロンの前では、実に従順な姿勢を貫いていたようで・・・
この、大王賛辞の言葉の後、さっさと退出してしまったのです。
問題は、その後で―――〕
ザ:なんなのだ―――! あの、慇懃無礼な態度は!!
ビ:まぁ・・・そう怒るな、せっかくの情報提供者なのだ。
ザ:し―――しかし!!
ア:どういう・・・つもりなんだ、ビューネイ。
ビ:んん―――?! なぁに・・・別に、大した事ではない―――
いつものように、必要な情報(モノ)だけ、取り入れてさえおけば・・・・なぁ。
まあ、役に立たなくなれば、その場で処分すればいい―――・・・・
べ:そういう算段であったか・・・(ニヤ)いや、貴殿も中々に・・・・よなぁ。(ククク・・・・)
〔用済みになれば、すぐさま処分―――とは、真にもって、この者達のそのドス黒い性分が、伺えようというところのようです。〕