【補章U−3――――『九章』;農業大国】
≪一節;自警団≫
〔この地は―――二大河の一つ“レテ”が、その上流ヴァーナム山脈より、流れ出てくる土砂が堆積してできたところ――――
しかもその土砂は、植物にとっての栄養を多く含んでいたものでもあり・・・・
結果―――――この地を肥沃で豊饒な土地にしていたのです。
それ故に、この国の主産業は『農業』であり・・・・
しかも、その生産量は、自国の義倉の備蓄だけにとどまらず、他の六つの列強に分け与えても、有り余るほど――――
だったようです。
その国の名は――――
『クー・ナ』
ですが、近年・・・・かの新興国“カ・ルマ”が台頭してきた事により、
自国の穀倉襲撃事件も多発し、目に余るところがあるというので、余った人手をかき集め、『自警団』が組織される―――・・・など、
この国を取り巻く事情というのも、少しずつ変わりつつあったのです――――・・・
そして、いまここに――――
まさに穀倉の襲撃をしようとしている集団と、自警団の一隊が衝突をした模様です――――・・・・〕
警:へへ〜〜――――ンっ! まぁ〜ちなっ!
人様のモノを掠め取ろうってな魂胆、カミサマが許しても、このアタシが許しちゃおかねぇ〜〜〜ゼッ☆
警:おいっ――!コラッ!マキ!! そんな大見得張らなくてもいいから――――
マ:(マキ=ヘキサ=キンメル;19歳;女性;元気で活発な女の子、男勝り―――・・・ではあるが?)
ヘヘへッ――――― ども〜〜☆
盗:くぉの〜〜っ! ふざけやがって―――!
マ:おおっ――――と、人を傷つけんのにさぁ〜、そんな大振りじゃあ、だぁ〜〜〜めだぁ〜〜〜めだよ!ちみ!!
アタシがちょッくら、手本というものをみしてやろ〜〜〜〜 そりゃ――――!
盗:う・・うわっ! こっ・・・このぉ〜〜〜!! い、意外とやるぢゃねぇか・・・
マ:へッへぇ〜〜ンだ! このマキ様を傷つけようなんざ、あんたの腕じゃ10万光年早いってとこだね――――ニャは☆
盗:チッ・・・チッキしょおぉ〜〜またふざけやがって・・・・。
(だっ・・・だが、この女の言うように、オレ達だけじゃどうにもなんねぇ、一体どうすりゃあ―――・・・・)
〔この自警団に混ざり、まさに縦横無尽に活躍する女戦士・・・・その名を、マキというようです。
しかし――― 彼女・・・マキは、この略奪者や、仲間の団員が思っているように、
他とは一線を画した素早さと、並外れた体術で、周囲(まわ)りを圧倒していたのは事実だったのです。
そして、この略奪者達、この一人の女戦士によってキリキリ舞・・・・文字通り、手も足も出ないお手上げ状態になっていたようで―――・・・
すると、そこへ―――――〕
ピィ〜〜〜――――― ピィィ〜〜〜―――――――
盗:(おっ?!引き上げの合図だ・・・・)
確かに――――・・・命あっての物種だからな・・・・ここは一旦退くに限るぜ・・・・あばよっ――――!
マ:おや〜〜ッ?! 逃げんの〜〜〜っ?
だったらさ―――― 今度来るときは、ママンにオシメ代えてきてもらいなよっ―――☆
盗:う・・・うるせえっ! おッ・・・覚えてやがれッ―――!(逃走)
マ:にヘヘへ――――― 撃退完了―――☆
〔この自警団の一団員に過ぎないマキの活躍のお蔭で、かの略奪者達は逃走・・・・つまりは、勝利したのです。
そして、マキが所属する隊の隊員達も、彼女の下に集まりだし・・・・〕
隊:隊長〜〜〜っ! ご無事でしたか―――!
マ:おっ――――君達も無事だったか〜〜〜うんうん、よしよし。
こぉんな一文の得にもならない事で、命落っことすなんて、ばっかバカしいからね――――ニャは☆
隊:もぅ〜〜〜隊長強いの分かってるんだから・・・
一人で突出して闘ってる分にはいいっすけど――― 後でついてくるオレ達の身にもなって下さいよう〜〜〜
マ:あ゛〜〜〜すまんスマン、そんなに気を落とすでないよ、部下A君。
でもねぇ・・・アタシ―――ってさ、カッとなって、頭に血が上りやすいタイプなんだ、
だから――― 仕方がないんだよ・・・・
隊:(えっ??)た・・・隊長??
マ:へっ?! あ・・・っ、あっははは―――― 冗談だよ、冗談。
さっ、それより・・・報告にいくよ☆
〔彼女以下――――計5名。
これがマキ所属する隊の全容なのですが、今まで見ていても、マキの武が抜きん出ていたが故に、
彼女はこの小隊の『隊長』だったようです。〕