≪二節;養父と養女≫
〔そして――――マキ達は、この自警団を束ねるクー・ナ国軍の、一将の下に集まってきたようです・・・。〕
マ:たっだいま〜戻りましたっ―――☆
マキ与かる13番隊、一人の落伍者もおりませんっ―――☆
ギ:(ギャラハット=シャー=ザンフィル;38歳;男性;クーナ国軍の将軍の一人であり、マキ達が所属する、計13ある自警団を束ねたる者)
うむ・・・・そうか、ご苦労。
ヒ:(ヒヅメ=アトー=キュベレイ;19歳;女性;この将軍ギャラハットの副将であり、彼の養女でもある。)
でも―――相変わらずだね、マキ。
お養父(とう)さん―――― いや、将軍と一緒に、アタイも見てたけど・・・あんた一人が突出してちゃダメじゃないか。
マ:あ゛〜〜〜それね―――― さっき部下A君にも言われたばっかなんだよ〜〜
だから、今度から気をつけるからさぁ〜〜〜―――カンベンしちおくりよ〜〜〜・・・・って、こんなんじゃダメ?
ヒ:(はぁ〜〜〜・・・またこの喋りだよ・・・なんていうか、精神年齢が低い―――とでもいうか・・・・
本当にこいつ、アタイと同い年??)
マ:およ? どったの?ヒヅメちゃん・・・・。
そんなくらい表情(かお)しちゃっちゃあ〜、黒い顔がますます暗くなっちまうよ―――☆
ヒ:なッ・・・なんだとおぅ〜〜―――!#
(ひっ・・・人の一番気にしてることを゛お〜〜〜っ!)
マ:あいっ―――☆ お〜〜こっちゃった?
フンじゃあ―――どう言えばいいのかな・・・あっ!そ―――だ☆
じゃ、さ、こんなんでどぉ?
―――野獣、死すべし―――
ってとこかね―――ニャは☆
ヒ:(こっ・・・こいつ―――)(ヒク)
ギ:ははは―――これは完全にしてやられたというところだな、ヒヅメ。
ヒ:しっ―――しかし、お養父さ・・・・わ、分かりました―――
〔確かに、彼女―――マキは、13ある自警団の中でも、異彩を放っていたようです。
それというのも、たった一人で、大勢の略奪者をキリキリ舞いさせられるだけの、武を持ち合わせていながらも――――
それとは相反するような幼い言動―――― 一見すると、他人を小莫迦にしたかのような言動でもあったわけなのです。
でも、未だにあどけなさが抜けない表情と相成ってか、周囲りの者は、彼女を本気で怒れはしなかったようです。
その一方――――
クー・ナの穀倉の襲撃に失敗した略奪者達は・・・・〕
ワ:(ワグナス―――ご存知七魔将の一角)
全く・・・・何をやっておるのか、一つの穀倉をも襲えないでいるとは・・・・使えぬヤツ等めが。
盗:い―――・・・いえ、しかし、あの自警団に、えらく強いヤツがいてまして・・・・
い、以前のようにた易く、襲えようもなかったんでがすよ・・・・
ワ:言い訳をするな! 愚か者めが・・・
盗:ヒっ・・・ひいっ―――
ワ:(チ・・・ッ)ふうぅ・・・む。
(とは言ったものの・・・・これからどうするか・・・・)
〔彼等は一様に、自分達の拠り処でもある、カ・ルマの一拠点に戻ってきていたようです。
――――と、いうことは・・・
そう、この略奪者共は、カ・ルマの一兵卒だったのです。
そして、今の会話から判かる事は、兵士達の食料―――兵糧―――の確保であり、
これから、ガルバディアの総てを、自分達のモノにするためには、第一に憂慮しておかなければならない事項でもあったのです。
その上での、幸先悪い報らせ―――穀倉の襲撃の失敗―――とは・・・
すると――――〕
―――なに、心配する必要は、ない―――
ワ:むんっ?! ―――・・・なんだ、ビューネイか・・・どうした、お主ほどの者が、このようなところに・・・・
ビ:フッ―――・・・・
〔この・・・・カ・ルマの拠点の一つのこの城に、現れていたのは、『七魔将』の一人であり、その“筆頭”と目されている
ビューネイ=クリード=サルガタナス
だったのです。〕
ワ:それにしても――― 『心配する事ではない』だ・・・と?
現に、穀倉の襲撃に失敗しおったのは事実―――・・・
ビ:だったのなら、手の者を動かせてしまえばよいことだ・・・・
ワ:なんだと?? だが・・・・そうしてしまえば・・・・
ビ:私が――― 言っているのは、“正規の”軍のことだが・・・・
ワ:なに?正規の―――? だが・・・・しかし―――
ビ:(フ・・・)なぁに、よもやゴブリンやグール共が、我等の『正規軍』だとは、努々思うまいよ・・・・
何しろ、あやつらは 魔界の者 なのだから・・・・な。
ワ:まあ、確かに・・・な。
だが、知恵のないあやつらは、真っ先にここに戻ってこよう・・・・
そうすれば、勘のいい奴なら、我らが正体を――――・・・
ビ:なんだ、そんなことを気兼ねしていたのか、他愛のない・・・・(ククク―――)
ワ:な、なんだと―――?!
ビ:ならば、先に知恵をつけさせておけばいい事ではないか。
『穀倉を襲った後は、迂回をして戻ってくるように―――』とな、
そうだな・・・ここら一帯で言えば、ゴ・モラかソ・ドム辺りが丁度いいか・・・・
ワ:成る程な――― だが、そう上手くいくかな?
ビ:行くさ――― それに、そこまで気が廻る者でも、あの2つの小国ならば・・・・と、いうこともある。
ワ:そうか――― そういえば、その二国、お主が内偵を進めていたのであったな―――
それで―――・・・・どうなのだ。
ビ:なぁに、あと一息―――と、言うところだ。
何も、武力を使わずとも、堕落しきっているかの国々を堕とすには・・・・・た易きことだ。(ククク――――)
〔ナゼに、このビューネイという魔将が、他のどの魔将よりも一目置かれているか・・・・今のやり取りで分かった事でしょう。
他の魔将は、自らが誇る武力にて、他の勢力を攻め滅ぼす事を、その信条にしていたものを・・・・
このビューネイなる者は、―――武力は(なるべく)使わない―――、―――兵力を削がない―――と、言うことに重きを置いており、
そりヤリ口も、『内々から崩していく』という、狡猾さも兼ね備えていたのです。〕