≪二節;関破りの、意外な素顔≫
〔そして、公主は――― かの大罪人の首実検を行うべく、その者が捕らえられている部屋まで出向いてきたのです。〕
公:公主、ナタラージャ=ヴェルノアである・・・入るぞ。
――――・・・この者か・・・犯罪人は・・・。
阿:はっ―――。
公:面をあげさせよ―――
阿:はっ―――!(ぐいっ!)
犯:・・・・・。(ジロ)
公:・・・・なんじゃ、その眼は・・・気に喰わぬな・・・・。
ナゼに妾をそのようにねめつけるか・・・かの罪を犯したるはそのほうであろうが―――!!
えぇい!気に喰わぬ! この者を牢にブチ込んでおけい―――!!!
阿:ははっ―――承知いたしました。
さ・・・来るんだ。
犯:・・・・。
〔その時、そこに伏せられていたのは、青紫の髪の毛と―――同系色の瞳を持ちたる者・・・だと、いう。
しかし――― この時、公主はその者の放つ視線が、余程に気に入らなかったと見え、
この罪人がかけられていた嫌疑も定かにしないまま、牢獄に入れることとしたのです。
それにしても・・・公主は、自分自身が持つ『エメラルド・グリーン』と、『ピジョン・ブラッド』の瞳で・・・・
その者にナニを垣間見たのでしょうか―――
しかし、それから奇妙な事が続くもので・・・・あれから数刻後、胃の刻<午前1時半前後>・・・
よく見ると、城内地下牢に、松明(たいまつ)が・・・? ひょっとすると、牢番の交代なのでしょうか―――
と、そう思っていたら・・・・〕
公:これ―――・・・中の罪人は、いかがしておるか・・・
獄:あっ―――!!? こっ・・・これは公主様??
どっ・・・どうされたんですか? 一人の共もつけずに・・・
公:(ギロ)そのようなこと・・・何もお主が、心配する事ではなかろう・・・・。
妾は、中の罪人がどうしておるか・・・聞いておるのじゃ。
獄:(うグッ・・・)は―――・・・はぁ・・・それが、静かに処刑の刻を待っているとしか〜〜・・・
それにですよ? こちらの出す食事にも手を出さない・・・ってな有様でして・・・
公:そうか―――・・・
ふッ・・・さすがに、相も変わらずといったところね・・・(ぼそ)
獄:はいっ―――??? あの・・・公主様? 今、何か―――・・・
公:ぅんっ?! あぁ―――いや、失敬・・・単なる戯言じゃよ、気にするでないぞ。
(ふぅむ・・・)そうか―――よし、相分かった、妾はこれよりかの者と会う事にするからな、
お主は少し休憩でも取っておれ。
獄:えっ?? でも―――いや、しかし・・・
公:・・・・妾の、命が聞けぬ――― と、申すのか。
獄:うい゛っ! あぁ〜・・・いや、そうじゃなくて・・・・・分かりました。
公:(フフ・・・)ああ、そうそう・・・牢獄の鍵は、置いておくがよい・・・妾が代わりに預かっておこう。
獄:ェえっ?? は・・・はぁ・・・・。
〔なんとも―――・・・この牢獄を預かる獄吏の前に現れたのは・・・他でもない、公主自身だったのです。
しかも―――奇妙な事に、彼女はしきりに、かの罪人に会いたがっていた・・・と、いうこと。
ナゼ――――・・・どうして――――・・・・
そんな疑問も定まらないまま――― この獄吏は、牢獄の鍵を公主に手渡し、その場を去った・・・・いや、去るしかなかったのです。
そして――― この公主と罪人が、真に相対峙するとき・・・・
実に、目を疑うような光景を目の当たりにしようとは・・・・〕