〔二節;迷い人〕
〔しかし―――この時、また同じようにして、かの“杜”の方角から、この村に近づいてきた存在があったのです。
しかも、その存在は・・・足取りも重く、歩くのでさえやっと―――と、言うような状態で・・・
そして、やっとの思いで、この村の家の一軒に辿り着き・・・・〕
――ドン ・・・ ドン ・・・・・ ドン――
迷:すみませ・・・・ん――― お願い ・・・・ 助け――――て・・・・
〔力なく扉を叩き・・・あらん限りの声を絞って、助けを乞う姿――――
それは、余りにも哀れであり・・・・
でも、しかし―――その家主は、のぞき窓でその存在を見た後・・・・〕
家:・・・・・誰なんだい、お前さん――――
迷:あぁ・・・お願い―――です・・・助けて・・・・下さい・・・・
家:・・・生憎だが、余所を当たっとくれ―――
うちには、他の誰かを泊める余裕なんざ―――ないんだ。
迷:あっ・・・・そんなことをいわずに・・・・
――ピ☆しゃんッ!――
〔その・・・・身を包みたる黒衣より出されたるは―――か細くも、青白い腕(かいな)・・・・
その顔を見てみれば・・・・まさに、命かながらとでもいえるような程、青白く―――
しかも・・・全く生気が感じられないような、顔色・・・。
それだから―――だったのでしょうか・・・この家主は、無下にも断り、その存在を追い返したのです。
そして、その家に匿ってもらう事を諦め、次々と家々を渡り合っていくその存在・・・・
でも、自分が“何者であるか”の証しが立てられない理由から―――断り続けられたのです。
しかも・・・やがて雨が降り出し――――ずぶ濡れになってしまうその存在・・・
すると、偶然か否か―――ナオミとマキたちが泊まっている、あの家へとやってきたのです。〕