≪四節;命、かながらに―――≫

 

 

〔そして―――やおら、その娘は意識を取り戻したらしく・・・〕

 

 

娘:ぅ・・・(ぼ〜・・・)

  こ――――ここは??!

 

マ:(あっ!気がついた!!)ナオさん―――この人、気がついたよ!!

ナ:おっ・・・と、そうか―――

 

娘:だ・・・・誰―――?(ビク!)あ、あなた達・・・・

  いや・・・助けて!誰か―――助けて!!

 

ナ:落ち着いて―――・・・(ひどく狼狽しているな・・・)

  ここには、あなたをどうにかしてやろう・・・って言う存在はいない、だから落ち着いて―――

 

娘:えっ―――・・・(オドオド)ホ・・・ホントに??

 

マ:(うっわぁ〜〜―――可愛いなぁ・・・この人・・・

  今、一体いくつだろ?もしかして―――アタシより年下だったりして??)

 

娘:あぁ―――・・・良かった・・・。

  私・・・ある連中に追われてて―――それで、ここまでたどり着いたんです。

 

老:追われて――――って、誰にだい?

娘:はい―――? ・・・・あの〜この人は・・・?

 

ナ:ああ―――この家の主の人なんだ。

  実を言うと、あたし等二人も、今夜一晩だけ、ここに泊めてもらっているだけなんでね―――

 

娘:そ―――そうだったんですか・・・ゴメンなさい―――

 

ナ:あははは―――それはいいッこなしだよ。

  元はといえば、こいつが不用意に返事をしたのが悪いんだから。(コヅキ――☆)

 

マ:(うぃで・・・)でぇ〜〜もっさぁ〜〜〜―――・・・

 

娘:この人―――あなたが? そう・・・ありがと。(ニコ)

マ:えッへへ―――でも・・・さ、あんなに弱弱しい声出されちゃ、ほっとけないっしょ―――☆

 

 

〔その娘の容姿―――まさに、花をも恥らいそうな乙女のそれ・・・

しかも、まるであわせるかのような、いじらしいまでの仕草に―――そこにいたナオミたちは、すっかりと警戒を解いてしまっていたのです。

 

そうして―――少しばかり落ち着いてきたのか、この娘は、ここまでに至った経緯を話し始めたのです・・・。〕

 

 

娘:私は―――あの杜の奥深くに棲まうという・・・ある者の手から落ち延びてきたんです。

ナ:(えっ・・・)あの“杜”の――――・・・って

マ:ま・・・ましゃか、『吸血鬼』の゛ぉ〜〜――――??

 

娘:・・・・はい―――

  そこから、命かながら逃げてきたのですが・・・すぐに見つかってしまって―――

 

ナ:・・・追っ手に―――?

娘:・・・・はい―――

  でも、上手く撒いて、どうにかここまでたどり着くことが出来たんです。

  どうも、助けていただいて、有り難うございました。

 

マ:(テヘヘ〜〜)まァ―――・・・よく言うぢゃあないよ。

  『旅は道連れ〜世は情け―――』ってね☆

 

娘:(うふふ・・・)面白いこと言う人ね―――お名前は?

マ:えっ―――アタシ?? アタシはぁ〜〜マキっていうのよさ。

 

娘:そう・・・(ス―――)

  マキちゃん―――っていうの、あなた・・・・(ニ・・・)

 

ナ:オイっ―――見ず知らずの人に、自分の名を喋るな!!

マ:い゛っ――――は、はぁぁ〜〜〜い・・・

 

 

〔どうやら―――その娘は、かの杜の奥にあるという、渓谷にひっそりと佇むという―――ある者が棲まうという場所から、

命ながらに、逃げ延びてきたようなのです。

 

でも―――獲物の逃走の報は、そのある者の耳にすぐさま入り・・・宜しく、追っ手を差し向けてきたようで、

しかし、その追っ手をようやくのところで撒いて、ここまで逃げてきた・・・と、いうのです。

 

 

そして―――あとで御礼をするためなのか・・・その娘は、助けてくれた者の名を、知ろうとしました―――

けれど、諜報を生業とする者が、『実名』を明らかにするのは、“敵を道連れにする時”か、“自分が死ぬ時”にするというもの―――

 

このとき・・・つい、うっかり・・・自分の名を言ってしまったマキを、ナオミが窘めたのには、そんな理由があったからなのです・・・。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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