≪九節;侵入者<イントルーダー>≫
〔彼女―――ナオミの異名は=梟=・・・。
時に、梟とは、獲物を捕獲する際に、羽音を一切させず・・・
つまり、獲物に自分の気配を気取られる事なく、一切を済ませてしまうという禽・・・。
そう―――つまり、建物内に侵入をしての情報の収集とは、ナオミの最も得意とするモノだったのです。〕
ナ:(フ・・・城郭の景観は一流だが、警備の方は目に付くところしかやっていない―――
これじゃあ、アタシみたいなのに『どうぞお入りください』・・・って云っているようなもんだ。)
〔城内の、見回りの兵士など、どこ吹く風か―――と、言ったところか・・・
まんまと城内に潜入をしたナオミは、自分の仲間がいるところを探すために、
天井を上手く使って、くまなく探すのですが――――〕
ナ:(参ったなぁ〜〜―――・・・一階だけでも、兵士の詰め所が40もあるじゃあないか・・・
虱潰しに探すしか・・・・ないか―――)
〔ここでナオミが実感したコト・・・それは、この景観が美しい城郭の警備が“手薄”だと感じたのは、
この城そのものが、堅牢な『城砦』だからであり、むしろ警備などに手を廻すよりも、城内に兵を詰めさせておいて、
いつ“迎撃”や“防壁”にかかってもよい―――そのムダのなさを、痛感したのでした。
こうして、少々面倒ながらも、虱潰しに兵の詰め所を見て廻っていたところ――――〕
ナ:(はぁ〜〜あ、ヤレヤレ・・・あいつが無事で、今ここにいてくれたんなら、アタシの苦労も半減できただろうに・・・)
ん――――? おや?!・・・・あれは―――!!
〔城内の・・・一角のある部屋から、何かしらのようで出てきた人物の―――見覚えのある髪飾り・・・
そう―――・・・伝説上にある『鳳凰』の尾羽をモティーフにしたか・・・の、ような―――
そして、それを見つけるや否や、その人物の背後をつけていき、人影が見当たらなくなった場所に来た―――
その瞬間に、音もなく、その人物の背後に降り立った=梟=――――〕
梟:・・・・動くな――――
誰:(ひっ??!)わ・・・・私はまだ何も〜〜―――
梟:喋るな―――・・・お前、この城に潜り込んで、何をしている・・・。
誰:そっ・・・それはぁ〜〜―――(ん?この声・・・)
(チラ)あ゛あ゛〜〜―――っ!!
ナ:よっ!こ〜んば〜んわ♡
レ:(レイカ=エルブ=ハイラル;20歳;女性;『禽』の=鳳=であり、弓の名手。
前(さき)の紹介でもあったように、髪飾りに『鳳凰』の尾羽によく似たものをつけていることから、仲間内でもそう呼ばれている。)
お――――お頭だったんですか・・・。
(はぁ〜〜・・・)やめてくださいよ、寿命縮まったじゃあないですか――――
ナ:ハハっ―――悪い悪い。
レ:それより―――お一人ですか?
ナ:うん・・・あ、いや―――途中までは・・・な。
レ:・・・・・何か、あったんですね―――
ナ:ああ―――そのことも含めて、ちょっと話があるんだ・・・。
〔その人物こそ、ハイネス・ブルグに潜入をし―――そして今、『森の衛兵』として城中に駐屯をしている、
=鳳=こと、レイカだったのです。
そして、早速今回のミッションに取り掛かろうとするのですが―――・・・〕
レ:えっ?マキが―――??
ナ:ああ・・・あいつ、昔ッから喧嘩ッ早かったからな―――・・・
それを、アタシが止めに入る前に、奴さんと闘リあう羽目になってしまって―――
レ:しかも・・・あの怪異の杜の―――ですしね・・・・。
ナ:すまない―――この通り・・・。
レ:分かりました、あの子も数少ない“同志”の一人ですからね、見捨てるというわけには――――
ナ:悪いな。
それで〜〜―――どうしよう?
レ:(フフ・・・)ここは一つ―――この国の軍の一つに協力を要請しましょう。
ナ:・・・・えっ??今なんて―――??!
ここの・・・ハイネス・ブルグの―――軍??
レイカ―――お前、いつからそんなほら吹きなんかに・・・
レ:(クス)そう思われるのも無理はないかもしれませんが・・・
私がどうしてここにいるか、近所の人に聞いてきたんですよね。
ナ:ああ・・・そりゃあ、まあ――――・・・確か、『三将』の一人・・・って言ってたなぁ。
レ:・・・そう、“雪月花”の『三将』といいまして、そのうちのお一人・・・
セシル=ベルフラワー=ティンジェル
と、言われる方からのお誘いを受けてなんです。
お頭にも紹介ついでに、今から会いに行きましょう―――
〔そう―――今最も重要なのは、仲間の一人が行方不明となり、その予測の場所が、
最も避けなくてはいけない『ヴァルドノフスクの杜』だったわけなのです。
そこでレイカは、一人が二人となったところでは、どうにもならない―――と、そう感じ、
この国の“武”の要である『三将』の一人を動かそうというのです。〕