【補章Ⅵ―――;遭遇】
≪一節;追尾される『禽』≫
〔それは―――ある日の夜更けでした・・。
草木も眠りにつき、しんとしたしじまの中・・・―――と、それを破るかのような走音が二つ・・・
けれど、それは紛れもなく―――〕
―――ナオさん、ナオさん―――・・・
ナ:≪・・・・お前の方でも気付いたか―――≫
マ:≪ちょっと―――ヤバイんじゃないッすか?≫
ナ:≪・・・・このまま―――速度を落とさず、抜けるぞ!!≫
マ:≪合点―――しょうちのすけ!!≫
〔その走音とは、紛れもなく、『禽』の=梟=ことナオミ・・・と、=鵙=ことマキの二人・・。
では、どうしてこの二人がこの地―――クー・ナのヤーデー地方に?
しかし、それは間違いなく、今のこの二人は、ツーマン・セル(二人一組)での“情報収集”の任にあたっていたからなのです。
ですが―――そう・・・あれは、この地に足を踏み入れた時からだったのか・・・
ある得体の知れないモノの存在が、この二人につかず離れず、追尾していた・・・と、いうのです。〕
マ:≪ナオさん―――・・・≫
ナ:≪しっ・・・静かに―――≫
マ:(うヒ・・・)≪―――ま、撒いたんすか?≫
ナ:≪・・・判らん―――(だが・・・今動けば―――)≫
〔しかし―――そこはサスガに、近くの林に紛れ込み、すかさず『すくみ』を使って、その存在をやり過ごそうとしていたのです。
すると―――・・・先ほどから気になっていた、その存在が・・・あちらの方から正体を見せてきたのです。
でも・・・・その正体は・・・・〕
~グ・ゴルルルル・・・~
マ:≪(うっゲェぇ~~~っ!!)ナ、ナオさぁ~~ん!アレ・・・アレ―――ッ!!≫
ナ:≪(な・・・っ)あれは―――トウテツ!!? ナゼ・・・あんなのが―――?!!≫
〔なんと・・・その存在の正体とは、その体毛が、今までに啖らってきた者達の返り血で染め上がったかのような、赤黒いもの―――
しかも、既存の・・・それも、各家々に番犬として飼われている種族と、容姿(すがたかたち)こそ似てはいるものの、
明らかにそれらとは比べ物にならないほどの巨躯――――・・・
それに、性格も、獰猛かつ残忍で、よく他の者を捕らえては“捕食”しているという魔獣・・・
=トウテツ=
それが、ナオミ達を追尾していた者の正体だったというのです。〕
魔:(クン・・・){この辺りで・・・気配もにおいも途絶えている―――すると、あの者達はかなりの手練の者・・・と、言うことか。}
〔ナオミと―――マキが、未だ知らずにいた“幸福”・・・
それは、彼女達を追尾していた存在が、“人語”を解していた―――と、いうコト・・・。
ですが―――・・・〕
―――どうした・・・―――
魔:{ああ・・・・これは―――
いえ、実はテリトリーに、二人ばかり入り込んできたようですので、それを追尾していましたら・・・}
―――撒かれたっていうのかい・・・―――
―――仕方がないねぇ・・・それじゃあ、この私も出撃(で)るとしよう・・・―――