≪四節;=梟=vsヴァンパイア≫
〔かの魔獣・トウテツが、マキを無事保護した―――と、同じ頃・・・
一方のナオミは・・・〕
ナ:よ―――・・・ようやく撒いたか??
―――ばいぃ〜〜〜ん―――
ナ:ぅわうっ!!(ズデ!)
ヴ:ハぁ〜〜―――い、追いかけっこはここでおしまい・・・。
こっから先は、入っちゃいけないんだよ―――
ナ:うっ―――!えっ??!(い・・・いつの間に―――)
〔『禽』のリーダー格である=梟=のナオミは、ヴァンパイアの手から逃れるために、闇雲に走り続けた・・・
走り―――奔り―――・・・やがて、どのくらい奔走(はし)り続けたろうか・・・
そのヴァンパイアの気配が薄れてきたので、かなりな距離をとった―――・・・
そう思っていた矢先に、急に前から衝撃が・・・
そう―――ナオミは、今、“何か”にぶつかってしまったのです。
でも、その“何か”も、予測の範疇を超えることなく、件のヴァンパイアだった・・・
しかも、遥か後方にいたはずなのに・・・一瞬にして、自分の前に―――?!!
そのことに、焦りと動揺を隠しきれないナオミは―――・・・〕
ナ:(くっ―――・・・)そぉおお――――っ!!
ピュン――― ピュッ―――
ヴ:(うおっ・・・と―――)あぶッ・・・危ないやっちゃなぁ〜〜―――
こちとら、あんたの事を思ってやっとるっちゅぅ〜に・・・そっちがその気なら―――こっちだって考えがあるンだかんね!!
〔何とか自分の得物、両刃苦無(もろはくない)『乾坤』にて、この窮地を逃れようとするのですが・・・
このヴァンパイアも然る者、すぐに対抗するべき手段をとってきたのです。
それは―――〕
☆〜〜カシュィィ――――――ン〜〜☆
ナ:な・・・ナニっ?!(弾かれた??!)
(それにしても・・・いつの間に太刀を―――さっきまでは丸腰だったのに・・・)
ヴ:(フ・・・)そのカラクリなら、実に簡単―――
この太刀は、アタシ自身の・・・身体の一部だからさ―――
〔その―――・・・まるで、血のように赤黒い、一見すれば“太刀”にも見えなくはない それ こそは、
そのヴァンパイア特有の得物・・・≪怨獄刀≫『魔斬リ』―――
そして、ここで=梟=とヴァンパイアは、図らずも相対峙してしまったのです。〕
ナ:(ふぅ・・・ふうっ―――)(さ・・・さすがに、太刀相手では分が悪い―――)
ヴ:(向こうでの・・・争いの形跡が、今途絶えた―――)
(フフッ―――・・・)こっちは、もう少し愉しんでいたかったのにねぇ〜〜―――
ナ:クッ―――・・・(逃げなければ・・・)
ダッ―――・・・
ヴ:あっ―――そっちいっちゃダメだって!(ヒュ―――・・・ガッ!!)
何度言ったら分かる・・・・
ナ:ううっ―――!!(も・・・もうダメ―――??)
〔でも・・・やはり―――そのヴァンパイアの方が、ナオミより一枚上手(うわて)だった・・・。
太刀捌き―――・・・身のこなし―――・・・そのどれをとっても・・・
そのことに、身の危険を感じたナオミは、とっさに避ける動作を採り、またもや“迷いの杜”の方角に逃れようとしたのですが―――
その道は、またもこのヴァンパイアの手によって阻まれ・・・剰えに、近くの木へと追い込まれてしまったのです。〕