【補章Z<第三十七章>―――アヱカの教育方針】
≪一節;自然(じねん)の中で・・・≫
〔本篇にて―――正式にホウ王子の“教育係”、『太傅』に就任したアヱカ。
すると―――・・・彼女は、まづ何よりも先に、城の窮屈な部屋を抜け出し、
外苑へと、幼い王子様の手を引いて出てきたのです。
でも・・・それは―――ただ単にそれだけが狙いだというばかりではなく・・・
彼女のもう一つ意図とするところ・・・それがあったからなのです。〕
ア:王子様―――よく御覧になってください。
これは“お水”―――『川のお水』・・・です。
ホ:うん―――そのくらいの事なら、ボク知ってるよ。
ア:そうですか・・・ならば、この水は一体どこから来たのでしょう―――
ホ:えっ? どこから―――?うぅ〜〜ん・・・
ア:・・・それではもう一つ―――
これからこの水は、一体どこへと行くのでしょう。
ホ:えっ?? どこへ?? うぅ〜〜―――ん・・・ちょっと判らないや。
ア:今は―――それで構わないのですよ・・・。
これから判るようになってください。
〔初めは・・・場内へと引いているせせらぎを指し―――『川の水』・・・と、教えました。
けれど、そこまでは幼い王子様でも知っていたこと。
そこで、アヱカは次の段階―――“その水はどこから来たりて、何処へと去るのか”・・・と、問うたのです。
するとやはり―――それは王子様も知りえないこと。
だから、これからアヱカが判りやすく説明をしてあげるのです。〕