≪五節;世の理(其の弐)≫
ア:今・・・私は、助けなかったんじゃあない―――寧ろ、自然の摂理、あるがままにしたんですよ。
ホ:(え・・・?)自然の―――摂理?何の事??
ア:それはね―――・・・
この蟷螂も、蝶や他の虫達を食べていかなければ、活きてはいけないという事―――。
それに、この蝶も、幼虫の時には植物の葉を―――成虫の時には花の蜜を・・・
その糧としなくては活きていく事は出来ない・・・。
これはね―――王子様・・・私たちにも言えること。
今朝の朝食に出てきたゆで玉子にしたって、あれは鳥の卵・・・
野菜にしても、畑に活きてきたものを収穫し、食卓に並ぶ・・・
弱者は常に強者の“肉”となって活きている―――・・・
確かにそれは、一見すると不条理な事のように見えるけれど、強者とてそのままではいられない・・・
やがては寿命が尽き、土に還る刻―――その屍骸を苗床に、新しく植物が芽を吹き、
そしてまた、新たに食物の連鎖となっていく・・・・
これは、誰かが決めたことではない―――太古の昔から、連綿と続いてきた事なんだよ・・・。
〔それこそは―――自然あるがままの『弱肉強食』の世界。
しかしこれは、太古の昔から連綿と続いてきた、“暗黙の上での了解”・・・。
個体数では少ない“肉を食ム者”は、次に個体数の多い“草を食ム者”を啖らう・・・
その“草を食ム者”は、この自然界で最も多いとされる“植物”を啖らう・・・
しかし―――“肉”食だけに留まらず、“草”食の者も、いづれ死を迎えれば、“植物”達の肥やしとなる・・・
とどのつまりは、こういうことだったのです。〕