【補章[―――『第四十一章』;滅亡した列強】
≪一節;砦を臨む者≫
〔ここは―――“列強”が一つ、クー・ナ国・・・その、三大兵糧庫の一つである『ジュウテツ』。
この砦を臨むようにして対峙しているのは、元々この国の将軍であったギャラハットと、その養女ヒヅメ。
一体―――彼らは、今、どのような胸中でその場にいたのでしょうか・・・〕
ギ:(三日目の夜が明ける―――・・・)
砦の様子はどうだ、ヒヅメ。
ヒ:・・・はい―――・・・。
とりあえずは、別段に騒ぐことなく、冷静に対処できているようです。
―――とりあえずは・・・
ギ:・・・そうか―――“とりあえず”は、襲撃時の手法に倣っている―――と、いうことだな・・・。
ヒ:・・・・はい――――
〔なぜか―――と、いうよりは、やはり・・・ヒヅメの返事は重たいものでした。
つい四・五日前までは、同じ釜の飯を食べ、共に笑い・・・共に泣いていた存在が・・・
今はこうして、正面向き合って対峙をしている存在同士になろうとは・・・
でも、それが“戦”という不条理であることには、違いはなかったのです。
そうこうしている間にも、両軍間での戦端は開かれ・・・
しかし―――守備側のジュウテツの兵は、攻め手の中に、明らかに見知っている二人がいるのを見て、
それが見る見るうちに、動揺の色合いは守備側全体にまで蔓延していったのです。〕
兵:おぉ――――おい・・・あ、あそこにいるのは・・・
兵:ギ・・・ギャラハットさんに―――
兵:ヒヅメさん―――??
兵:な・・・なぜあの二人が・・・・
兵:あの二人は・・・チンソーにて捕らえられ、刎刃にかかったんじゃ―――
兵:い・・・いや―――それよりも、じゃあ何でカ・ルマの軍の中に・・・??
〜うわわぁ――――・・・〜
ヒ:・・・それっ―――! 相手は浮き足立ったぞ!!一気に突き進めぇ〜〜―――!!
兵:う・・・うわわ―――も、門だ・・・門を閉めろ〜〜―――!!
ギ・・・ゴゴゴ・・・・・・
兵:あっ・・・・お、おい!! ちょ、ちょっと待って!!
ズゥゥン―――
兵:あ・・・開けて―――開けてくれぇぇ〜〜――――!!!(ドン☆ドン☆ドン☆)