【補章\−1――――『第四十二章』;暗雲立ち込める東】
≪一節;ある知らせ≫
〔7つある“列強”の一つである、クー・ナ国が滅亡した―――と、時を同じくして・・・
やはり東方に位置する“列強”ハイネス・ブルグにも、国を揺るがす一大事が起こりつつあったのです。
そのコトの発端は―――クー・ナ滅亡より、時間軸を遡ること三週間も前のこと・・・
ハイネス・ブルグ王都、ハイレリヒカイト城にて・・・〕
兵:ご注進に御座います―――
イ:・・・何事です。
兵:―――は。
ただいま北東の国境付近に、何者かが率いる軍勢が集結しつつある模様に御座います。
イ:(ナニ・・・)“北東”に―――? ひょっとするとその軍勢とは・・・
兵:―――は。
物見からの報告によれば、“漆黒”の軍団だそうで・・・
イ:(“漆黒”=カ・ルマ!!)・・・そう、分かったわ。
〔伝令の兵士より伝え聞いた事とは、北東の国境近くに集結しつつあるカ・ルマの軍勢―――という事でした。
その第一の報告を聞くに及び、“雪”のイセリアは、一時(いっとき)は色めき立ちはするのですが、
すぐさま対策を練るべく、残りの“月”と“花”の二人を呼び集めたのです。〕
リ:そう・・・あの黒き噂しか立たなかった渦中の国が、とうとう私たちの国にも・・・
セ:それじゃあ―――やはりここは・・・
イ:ええ・・・私たちだけで何とかしないと。
他の連中には任せてはおけないわ。
では、そういうことで―――北東の国境の前哨の砦『クレメンス』に出兵の用意を!!
〔実際には、その当時は、自分たちの真北に位置するクー・ナ侵攻騒ぎで、話題は持ちきりでした。
しかし――――それとほぼ時機を同じくして、今度は自分たちの国が・・・?
とは、もはや『対岸の火事』どころの騒ぎではなくなってきたのです。
それゆえに、今はナニはなくともカ・ルマの侵攻に備えるべく、三将揃っての出陣―――
でも・・・このときから、事態は思いもよらない方向に向かっていったのです。〕