≪六節;『聖剣』たちの煌き≫
〔その一方―――カ・ルマ側の出城となっている、ここガウロンセンでは・・・〕
ヨ:くう―――・・・私としたことが・・・つい熱くなってしまったようだ。
ョ:(フフッ――)・・・では、兄サマの仇を、私がとってきてやるよ・・・
ヨ:気をつけろ―――ヨキ・・・相手は思った以上にやるぞ。
ョ:なぁに―――私は兄サマのように下手は打たないサ。
〔この度の戦闘で、手傷を被ったヨミは、傷の治癒に専念をするため、この出城に残り・・・
代わって今度は、妹であるヨキが戦場に立ったのです。
そして―――前回とは違い、今度はヨキの方からクレメンスへと進攻し、
生来からの口の悪さを持って揶揄するのですが・・・〕
ョ:ほらほら――――どうしたんだい?! アダマンタイマイのように縮こまってちゃ、戦にならないじゃあないか!!?
イ:―――――・・・・・。
〔ですが・・・しかし――――
砦内から現れたのは、“雪”のイセリアだけ―――・・・
―――か、と思ったら、すぐ背後からは・・・・〕
リ:フフフ―――まんまと釣られてきたわね・・・
前回の雪辱、ここで晴らさせてもらうわよ!!
ョ:な――――なにっ?!! お・・・おのれぇ〜〜―――!伏せていたのか!
だが、私は兄サマのようにはいかない―――わがラプチャーローズよ!!
リ:わが剣・・・デュランダルよ―――私たちの今倒すべき敵は、ただ一つ――――!!!
〔この・・・カ・ルマ側の戦術を、先読みしていた三将の一人“月”のリリアは、
クレメンスを包囲している敵の背後に忍び寄り、逆にヨキを窮地に追い詰めたのです。
このことに、自分たちが得意分野としている『計略』で、手厚い歓迎を被ったヨキは、
もうこれ以上相手を付け上がらせないために、自分の得物である“イバラの鞭”<ラプチャーローズ>で応戦をするのですが・・・
さすがに純然たる 騎士 であるリリアには歯が立つはずもなく―――・・・〕
ョ:く―――くそっ!退き上げるぞ!! 覚えているがいいぞ―――!!
〔一旦―――彼女もガウロンセンへと退き上げるのですが・・・
――――と、このとき、クレメンスからは“雪”のイセリアが・・・〕
イ:向こうは退き始めたようですね・・・・追撃をかけますわよ――――!
リ:そうね―――ここで終わらせましょう!!
〔今回の戦略を要約すると――――
前回の敗退によって、自己の汚名を返上すべく、この砦に攻撃を仕掛けてくるに違いない・・・そう踏んだリリアは、
イセリアだけをクレメンスに残し、自分はクレメンス攻略部隊を迎撃するべく兵を伏せておく・・・
そして―――その部隊が撤退をすると同時に、砦に残っていたイセリアと共に追撃をかける・・・
これが、今回打ち立てたリリアの戦略――――
ですが・・・あとの二人―――“花”のセシルと、イセリアの許婚であるジュヌーンは・・・?
実は―――・・・もうすでにこの二人は、クレメンスには留まってはおらず、ヨキの退路に―――!!〕
セ:(フフフ―――・・・)覚悟していただきますわよ――――
ョ:うっ―――く・・・こ・・・ここにも兵を伏せていたか〜〜―――・・・・
ジ:ハ〜〜―――ッハハ! このボクがいるからには、もう逃げられないよ〜〜!
ョ:(・・・なんだ、あの勘違い男は―――だが・・・あそこから抜けられるな・・・)
――――怪我したくなかったら退きな!坊や!!
〔そう―――三将の一人と、イセリアの許婚をして、ヴェネフィックの退路を阻んだ・・・
―――まではよかったのですが、ジュヌーンが 穴 と見たヨキは、そこへ突撃をかけるとともに、
兄や仲間の待つ、ガウロンセンへと退いていったのです。〕