【補章\−2―――『第四十二章』;サヨナラ・・・大好きな人】
≪一節;舞い降りた兇悪≫
〔一進一退を繰り返す両軍を見下ろす形で、その双眸に捉えていた“彼”は、
苦々しくも、内心では北叟笑(ほくそえ)みながら・・・こう、つぶやきました。
―――ホホぅ・・・中々活きの良さそうなのがいるじゃあねぇか・・・
―――やはり・・・ここはこのオレ様が出ねぇと・・・
―――もったいねぇ・・・よ、なぁ・・・
“彼”こそは、七人いる 魔将 の一人であり―――
この方面に出向いていたというのも、いわば気まぐれ同然・・・退屈しのぎに来ていたのでした。
ところが―――ここ最近、この戦線が騒がしくなってきた事に、一体どうしたことか・・・
―――と、外を覗いてみれば、自分たちの味方であるヨミ・ヨキ兄妹と互角以上に渡り合っている相手勢力に・・・
これで・・・ようやく自分の、日頃溜まっていた鬱憤を晴らす事が出来る―――
そう・・・思っていたからなのです・・・。〕
リ:わが剣―――デュランダルの威力を思い知れ!!
敵:う・・・・わわぁぁ〜〜―――!
ド スゥゥ――――ン・・・
リ:う―――ぁっ・・・?(グラ・・・)一体―――ナニ??
〔突如として―――今、カ・ルマ兵の一人に止めをさそうとしていたリリアの背後に、
その大音響とともに降り立った存在こそ・・・“彼”―――
カ・ルマ七魔将の一角・・・
キュクノス=アムド=オズモ
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でも、彼らはこれが初対面・・・故にお互いの事など分かろうはずはなかったのですが、
即座にリリアも判った事―――それは、この“魔将”が、今までに対峙してきたどの敵よりも、並外れている―――と、いうこと・・・
それだとしても―――リリアは、果敢にも眼前にそびえる“敵将”に、立ち向かっていったのです。〕