≪六節;貮蓮の作者≫
〔では―――気になる、この『貮蓮』の作者とは、一体―――?〕
ジ:と、ところで―――この剣の作者たる、あなた様の妹―――・・・って。
謎:あり??聞いた事ない? 『マエストロ』っていえば、大概が知ってるんだけどもねぇ・・・。
ジ:(えぇっ?!)あ・・・あの、女禍様の治世の頃、その辣腕をして、よく補佐していたという―――あの??
謎:そうだねぇ――― そ言えば、『王佐の才』としても知られてるか・・・
ジ:(そ、そんな方がこの剣の作者―――)そして、あなた様の妹――――・・・
〔このとき、ジィルガの予想は、この謎の人物の応答により、一層核心に近付いていきました・・・。
『古えの昔に、次元の狭間に、その身を貶めた事』
『“神鋼”ジルコニアで出来た、大剣・グラムを携えていた事』
『古えの有能の士、“マエストロ”とは、実の姉妹であるということ』
そしてそれは――――
この謎めいた人物が、
死せる賢者・リッチー=ガラティア
その人で、あることを・・・・。〕
ジ:(こ―――・・・この方が、今の、この混迷とした世に甦っているということは・・・この世に何か変革が―――?
も―――もしかして・・・あの『黒き軍団』と、少なからずの兼ね合いが在るのでは?!!)
すると―――
ガ:≪随分と・・・勘繰りを深くするもの―――だねェ。≫
ジ:(えぇっ?!わ、私の頭の中で・・・もしかすると、これがテレバサイズ??!)
ガ:≪その通り――― だけども、余り深読みをするものじゃあないよ、あんたの、その身にも障るしねェ。≫
ジ:(し・・・しかし、これが心配せずにおれるものでしょうか―――??)
ガ:≪あ゛~~―――、そういうところは、あの子とちぃとも変わんないねぇ~。≫
ジ:(あの子―――??)
ガ:≪そ―――・・・、あの子は、いらない心配をいつもしてて、それで際限なくあったはずの寿命をも削っちまったんだ・・・。
私みたいに―――もう少し、気楽に物事を捉えられなかった・・・生真面目すぎたのさ。≫
ジ:(で―――では、そのお方が、女禍様??)
ガ:≪ミ゛~~――― はっずれぇ~。
誰―――ってねぇ・・・デルフィーネの事なんだよ。≫
ジ:(デル・・・フィーネ・・・・)
ガ:≪そ、またの呼び方を、『マエストロ・デルフィーネ』とも言う・・・。
さっきも言った名と、同じ存在なんだよ・・・。≫
〔そして、またここで一つの事実が明らかとなったのです。
それは―――『マエストロ』とは“デルフィーネ”のことであり、リッチー・ガラティアとは、血を分けた実の姉妹・・・
しかも、巫女・ジィルガともよく似た存在であったようです。〕