一つの惑星が丸ごと・・・技術や学問―――いわゆる、知識を得る為に集う有志の場・・・「研究施設」になっている場所を訪れたリリア達。
(以前このお話しでは、一つの惑星が丸ごと、犯罪者達を収監する「監獄惑星」の事を取り上げましたが、今回はそれとは真逆)
しかし本来、約束していた時間よりも早く来過ぎてしまったからか、このただ広い施設の内にいる特定の一人を探し出さなければならない事に、
早くもテンションが下がり気味になっていたのです。
・・・が、ひょんなことから、自分の後をついてくる小さな存在に・・・
リ:(あり? 誰だこいつ・・・
それより私って、よくよくこう云うのに縁があるよな〜ははは・・・)
「そう云えば」―――と、リリアは、あの二人との最初の出会いを思い出していたのでした。
初対面の筈なのに、自分達の後をついてきた、「しの」と「たまも」・・・
けれど、そのお陰もあり、現在では彼女たちとも親しき仲となれた・・・
ならば―――今回も、「やはり」・・・と云う想いで、声をかけてみた処―――
リ:いや〜ははは・・・な、なんか用っすか?
小:・・・。
リ:(反応は、なし・・・ね)
そ〜れにしても、なんか莫迦みたいに広い処っすね、ここ―――
小:・・・。
リ:(な、なんか云ってくれよ〜〜
でねぇと私、「危ねー奴」じゃん!)
やはり、あの時の二人と同じ・・・最初は口も利いてはくれなかった―――
しかしあの時とは違い、今回は衆目もあると云う事で、リリアは、自分が大きな独り言を云っている様に見られているのではないか・・・と、危惧していたのです。
(けれど、これはこれで、リリアやレヴェッカ達を、警戒しているから・・・とも思えなくもないようですが??)
すると・・・?
小:ほむ。
ここはもんこをひろう あけはなてり、ありとあらゆる ちしきがつどうところで ありければ。
リ:(喋った?!! 〜にしても、何云ってんか、意味不明・・・)
あ・・・あははは〜〜そ、そ〜だったんすか!
で〜・・・あんた何者?
第二百九話;Dr
自分に害意を加える存在ではない事が判ったのか、その小さな存在は、その幼き形に似つかわしくない事を云ったりもしたのでした。
それにしても、「挨拶」程度のやり取りのはずなのに、こうも緊張しなければならない道理が、どこにあるモノかと思っていれば、
自分の後ろをついてきているモノと思っていれば、ここの職員と見られる者に捕まり、その者とすっかり話しこんでいると見られるリリアを見て、
引き返してきたレヴェッカが発した言葉とは・・・
レ:リリアちゃん―――こがぁなとこで迷うたら、後の一生わてらと会えんようになる・・・
なんなら―――来ちょるんなら、来ちょる〜ゆうて、早う云うてくんないや。
リ:へ??
小:そういう、おまえさんも かわらじでなにより ではあるな―――レヴェッカ。
リ:は??
エ:お久〜「Dr」
D:(!)「愛とぉ〜」
エ:(!!)「友情のぉ〜〜」
「勝利っ―――!」
「・・・あれ? この兼ね合い―――なんかどっかで見たぞ?」
それもそのはず、今しがたエリーゼと謎の小さき存在が交わしたやり取りこそは、エリーゼが連載している作品にある、とある展開での一コマ・・・
―――と、云う事は、この謎の小さき存在こそが、これから自分達が会おうとしていた「Dr」である事が判ってきたのです。
それにしても、何と云う偶然なのか―――
これから、この惑星や、この惑星とリンクしている場所に足を向かわせ、虱潰しに探し出そうとしていた人物が、
自ら自分達に会いに来てくれていたとは・・・
―――ところが??
エ:キャ〜♪ うち嬉し〜♪ ルーシアちゃんとコラボ出来た〜♪
ル:ほむ。 じょうだんはさておき―――
レ:あ゛〜〜・・・なんかその様子じゃ、判っとったみたいなの―――わてらが早めに来るの・・・
ル:さりとて―――「先月号」のてんかいをみゆれば、かならずやネタに こまったこやつめが、わっちをたよるモノである・・・とな。
エ:しぃましぇ〜ん、ごみんなちゃ〜い。
ル:まあよい。
これも「いつも」のことなりければ。
リ:「いつも」??
ル:ほむ。
こやつのさくひん のネタは、「八割方」わっちが ていきょうをしておる。
リ:は・・・ち割―――つて、それじゃほぼあんたの作品じゃねぇの。
てぇ〜ことは・・・あんたの専門って、ひょっとして「お笑い」?!
ル:―――・・・。
リ:あ・・・れ・・・なんか拙い事でも云ったですか・・・
ル:・・・ほむ―――
どうやら、「今上の后」は、いとゆかしきなり。
その人の口から紡がれる単語の一つ一つが、自分達が暮らす俗世よりかけ離れた場所に、永く居続ける人物のモノとは、リリアは思いも寄りませんでした。
ですがしかし、この場所が、俗世から離れた場所に居ながらにしても、総ての情報に精通出来る場所である事を、追々理解していくのです。
だからこそ、この人物―――ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイドについた「二つ名」が・・・
「博識」「モノ知り」を現す「Dr」―――それにルーシアこそは、「哲学」を専攻する者達を「教える」立場でもあったのです。
リ:はあ〜〜へえ〜〜あんたすっげぇのな!
レ:あ゛〜〜そらそうと、早速なんじゃが―――
ル:(・・・)おい、そこの おろかなりしもの よ、おまえさんの、「蚤の心臓」より うつはのちいさきのうみそで、なきちえをしぼりださぬか。
その小さき存在が、その言葉を口にした途端、現場は凍りつきました・・・
いくら旧知の仲とは云え、親しき仲とは云え・・・或る程度の礼節はあってしかるべきモノ―――
それが、打ちのめして来るまでに、叩きつけてくる「罵詈雑言」の数々に、流石のリリアも聞いていられなくなり・・・
―――すると??
リ:あ・あ・・・あのさぁ〜云いたくなる気持ちも判るけど―――ち、ちょっとそりゃ・・・あんまり・・・
エ:の゛・・・お゛お゛お゛・・・あ゛あ゛あ゛〜〜〜っ!!
で・・・出るぅ〜―――! 湧いてくるぅ〜―――!!
こ・・・こうしちゃおれん・・・ぺ、ベンと、紙〜〜それに、みかん箱〜〜!!
リ:う゛・う゛え゛っ?! な、なんだあ〜?!
レ:ひっひっ―――w 難儀なやっちゃでのう〜w
こんないつはの、他人から罵られりゃ罵られるほど燃えてくるタイプなんよ。
更に云やぁ、自分が苦境に陥ったり、不幸になりゃなるほどに・・・のうw
リ:(そう云うのも・・・なんだかなあ〜〜)
・・・て、うわ―――すげ! 両手にペンを持って、それぞれに枚数上げてる?!!
そ・・・それに―――はみ出してる個所も・・・ない?!
ル:あれこそは、あやつのもてる「秘技・原稿二枚返し」―――
あのみわざが あるかぎり、あやつめに「原稿落ち」はあらざりけるなり。
今にして思えば、エリーゼの姉であるレヴェッカが、なぜあのような事を云っていたのか判ったような気がしてきました。
原稿を仕上げる速度が、通常の作家よりも速い・・・。
しかも、「ベタ」などの「はみ出し」で、「修正」を加える箇所が(ほぼ)皆無―――とくれば、
ただ「ネタ作り」こそが、エリーゼの短所である事が知れるのです。
閑話休題―――本来の、「アカデミーにDrを訪ねた」その理由が、明かされるわけなのですが・・・
レ:それよか・・・のう―――Dr・・・あんないつらのことなんじゃが・・・
ル:(・・・)きになっておるのか―――はや、ぞくせとは えにしをたったと ききおよびしが・・・
レ:そんなん・・・ええもんじゃなあよ。
それよりも・・・のう―――
ル:ほむ・・・『過去に、その者の師であった「マーリーン」を封じ込め―――』
リ:な、なんだあ?? これから何が始まるんだ?!
ル:「伝説」―――それも、「とある聖剣」にまつわる・・・な。
レ:フン・・・なるほどのう―――
つまり、今のあんないつは、過去の自分じゃった「師」を超えた、「第一の魔女」じゃと云いたいわけよ。
ル:てごわいやもしれぬぞ・・・
レ:云われぇでも判っちょるわい。
過去の不始末は、いずれ誰かがつけにゃいけん―――云う事よ。
そもそもレヴェッカが、自分の妹であるエリーゼと、現在の「天帝の后」であるリリアを伴い、「アカデミー」を訪れた理由こそ、まさにそれでした。
そう・・・彼女達は知っていたのです。
過去には、「交流の仲間」でもあった「ある人物」が、なんらかの「きっかけ」をして暴走を起こしてしまい、
なんとか鎮めたモノの・・・そのほとぼりが冷める機会を待って、今日、自分達に仇なす為に徒党を組み始めた・・・
それも、過去の自分達に当てつけるかのように、「七人の魔女」を再編成して・・・
過去に、その人物が、交流サイトで名乗っていたのは「マーリーン」・・・
「とある聖剣」に関わる物語に登場する、「大魔法使い」・・・
しかし、この度より名乗り始めたのは、「マーリーン」の直弟子にして、美しき魔女として知られる「ヴィヴィアン」・・・
それに「ヴィヴィアン」は、師である「マーリーン」を封じ込めるまでに魔導を極めたのです。
そうした「故事」に准え、以前の自分と、仲間との決別の意味を込め、
その人物は「師をも凌ぐ魔女」として存在を始め、過去には為し得る事が出来なかった自分の計画を、
時を隔てた「現在」に持ち込み、「闇」や「混沌」を招かんとしていたのです。
=続く=