ル:ナオ・・・ミ―――?

 

 

 

反乱を起こした者達への、生命(い の ち)の交渉の為、戦場へと出向いた女王ルリを・・・

その生命(い の ち)を、ただ狙う為に放たれた兇刃は、当時ルリの護衛の一人であった、ナオミの(くび)を落としたのでした・・・

 

 

 

セ:ナオミ―――! おのれぇ〜〜この外道が!!

反:ち・・・しくじったか・・・

  フ・フ・・・しかし、このオレ様のした事、無駄ではなかった・・・よう・・・だ・・・

 

セ:(〜〜)・・・くっ! それよりナオミは―――?!

 

 

 

ナオミは、その身に課せられた使命を全うし、女王ルリを護って果てた・・・

モノと思われましたが―――?

 

それは、普通の・・・生身の人間だったらば―――の、話し・・・

 

そう・・・彼女は―――・・・

 

 

 

ナ:いっやあ〜〜参っちゃったよな。

  とんだところで、ヘマこいちゃったよ。

ル:(・・・)ナオミ??

 

ナ:ああ―――ルリ、無事だったか・・・

  ヤレヤレ、一安心だ。

 

セ:はあ〜〜ビックリさせないでよ・・・心臓に悪いわ。

ナ:へへ―――お陰さまでw

  それにしても、奴も不憫なモノだな・・・まさかこの私が、こうなっていても((首と胴体が離れた状態でも))、生きているモノとは思わなかったろう・・・

  そこを思えば、奴のした事とは、無駄なことなんだろうに・・・な。

 

 

 

そう・・・彼女(ナ オ ミ)こそは、この世界に措いて唯一存在する、『ノヴァ・ハーツ』を内蔵した「人形(アンドロイド)」だったのです。

 

その事は、マグレヴの人間や、(ふる)くからナオミの事を知るセシルには、周知の事実の筈・・・だったのですが、

こうも永く人間臭い生活をしていれば、そちらの方が習慣となってしまい、ナオミを一人の・・・「人間の女性」だと認識したモノだったのです。

 

だからこそ・・・不意に、そうした「人形(アンドロイド)」としての一面を覗かせた時、また驚きもし・・・安堵もしたモノだったのです。

 

ですが―――・・・ではなぜ、「こうした昔語り」をしなければならなかったか―――・・・

 

お判りではありませんか―――?

 

Odysseia(こ  の  お  話  し)」になって以降、彼女(ナ オ ミ)が出演してもおかしくない場面が、幾つも用意されていたと云うのに・・・

それであるにも拘らず、彼女(ナ オ ミ)が出演して来なかった理由―――

 

そう・・・彼女(ナ オ ミ)は―――・・・

 

 

反乱が収まり、防衛としての面を危惧したルリからの要請を受け、セシルはルリの参謀として、マグレヴの首都「アーク・ゼネキス」に留まることとなりました。

しかし・・・ナオミは―――・・・

 

反乱が収まってから10年経った頃、やはり躯体の一部に受けたダメージが(もと)となり、ある日突然・・・動かなくなってしまったのです。

そうした、永らく自分の身を護る為だけに存在した、「友」の・・・そうした表情を見てルリは―――・・・

 

 

 

ル:ナオミ・・・永い間、ご苦労だったわね―――・・・

  それにしても・・・まるで眠っているかのよう・・・

 

セ:そうね・・・「痛い」とも云わず、また「苦しい」とも「辛い」とも云わず・・・静かなまま逝けるなんて・・・

  幸せな半面、不憫だとも思えるわ・・・。

 

  だって、ナオミは・・・こんなにも「生きている」・・・って主張しているのに、人間ではないんだもの―――!!

  ねえ・・・どうして? どうしてなの・・・どうしてナオミが、人間ではないの?!!

 

 

 

そうしたセシルの疑問は・・・やはり、ナオミを(ふる)くから知る人間達の間でもありました。

 

そして、その事を一番強く感じていたのは、一番(ふる)くから付き合って来たルリ自身だったのです。

 

そう・・・ルリは、実はナオミの出自と云うモノを、一切知りませんでした。

ただ、マグレヴ王家古来より伝わる、「人形」として、「ナオミと云う存在」があったわけであり・・・

ルリ自身が幼い時分に、王家の誰しもが解けなかった「封印(パスワード)」を、解いてしまった事が、彼女達の数奇な出会いの始まりでもあったのです。

 

それに・・・ルリには、「XANADO(以 前 の お 話 し)」でもあったように、「天才プログラマー」の才能もあった・・・

しかも、そうした才能を伸ばすのには、うってつけの練習台があった・・・

そう、その当時の「ナオミ」は、ルリからのプログラミングにより、一部の兵装に「封印(ロ ッ ク)」を施されており、

そうした危険性を排除されてはいたのですが・・・

 

 

第二百二十二話;それでは、「ナオミ」は一体どこから来たのか・・・

 

 

実は―――その問いに対する(こたえ)は、既に出ていたのです。

 

それでは・・・お話しの時間軸を「現在」に戻し―――・・・

 

「天帝の后」であるリリアを襲った者達を退(しりぞ)かせた後で、「Dr」と呼ばれるルーシアが呟いた、あの一言・・・

 

そう―――「ナオミ=サード=アミテージ」こと、「Project_No,2501」は、ルーシアが未だ「アカデミー」在籍の頃に開発した、卓越した「殺戮マシーン」であり・・・

その当時、その倫理性に嫌疑がかけられ、泣く泣く手放してしまった―――・・・

そして、その「投棄先」にあったのが、地球の―――マグレヴ王家の祖が、偶然見つけ、拾い上げていたのです。

 

それから時は巡り・・・奇妙な引き合わせによって、「天才プログラマー」が、永い間眠りについていたシステムの解凍に成功し、

自分の「(マスター)」を認識した「殺戮マシーン」は、システムの一時的停止になるまで、「(マスター)」の生命を護り抜いた・・・

 

そしてまた、時は流れ―――・・・

再びシステムが凍結をしてから360年の月日が経ち、このシステムの創造主が、この惑星へと降り立ち、「回収」の行動を取り始めたのです。

 

そして―――その時の「コード」が、なんと・・・

 

 

 

ルー:『コード・アッセンブル』

 

リ:(ん??)ちょっ・・・とぉ?

  その掛け声―――って、確か・・・

 

ルー:ほむ・・・「ディーヴァ」とか もうせしものたちのこと なりにけり・・・

   されども うつつに わっちがとなえしは かのものたちに 「そうしろ」と めいじたよしにあらじ―――

   「我が下に集結せよ」―――この「命令(オ ー ダ ー)」こそは わっちがつくりし「ノヴァ・ハーツ」が いかでかむつかしことなりけれども(いかなる 困難な状況下に 置かれていようとも)

   かならずや はたせむしめいなりにけり

 

 

 

コード・アッセンブル(集     結     せ     よ)』は、云うまでもなく「ディーヴァ」集結のコードでもあったのですが、

この時ルーシアが唱えたのは、自分が創造をした「マシーン」の、「起動コード」でもあったのです。

 

そして・・・現在、リリアやルーシア達がいる地点から、離れること約6000Km―――・・・

場所は、マグレヴ国、首都アーク・ゼネキス宮殿にある、地下格納庫・・・

 

 

『ピーッ』

『「起動コード」ヲ発生サセタ 音波ノ発信源ヲ 探知』

『コレヨリ 再起動ヲ 行イマス』

 

何からの要因で、起動を停止してしまった存在が、「それ」を促す「コード」を受諾(う け い)れ、再び起動(う ご こ)うとするのですが・・・

 

 

『起動デキルダケノ パーツ破損 コレヨリ自己修復ヲ 行イマス』

『ナオ 修復ニ要スル時間ハ 360時間ト ナリマス』

『再起動デキルダケノ パーツノ修復ヲ 短時間デ 終了サセル為ノ 検索開始 ・ ・ ・ アト160秒デ 終了シマス』

『再起動デキルダケノ 動力源ハ 確保』

『検索終了―――最短デ再起動スルニハ 二時間ヲ要シマス』

 

 

やはり・・・再び起動(う ご)くには、その為のパーツが破損しているのが支障の原因であり、

しかし完全な自己修復を完了するには、長い時間を必要としていたのです。

 

ですが、自分を起動させるのを促した「コード」を発信させたのが、自分を創造した「(マスター)」だと認識したのか、

「完全」ではないまでも、すぐにでも起動して「(マスター)」の下に馳せ参じるだけの能力を最優先させた処、「可能」ではあったようなのです。

 

 

しかし―――・・・こうした、地下格納庫内で起きている事態を、現在の躯体所有者であるマグレヴ女王が静観をしているモノなのか・・・

 

そこで私達は、もう一つの奇蹟と云うモノを、見ることとなるのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと