「成功者」の、不可解な死の真相を巡って、その妻は、ある有名な「暗殺者」と接触を図り、その依頼は受けられました・・・。

 

それも・・・妻自身の命を賭して―――・・・

 

そして、この依頼を受けた「暗殺者」・・・『ピース・メイカー』こと、フランソワ=エヴァ=ベアトリーチェは、

「成功者」の「謎の死の真相」を探るべく、ある人物の下を訪れ、半ば強引に協力をさせていたのでした。

 

けれど―――・・・

粗方(あらかた)の事は調べて来て判ったので、その人物をそろそろ解放してやってもいい・・・と、思っていたのですが―――

なぜかその人物・・・『クリューチ』であり、又、「ディーヴァ」の『サラスヴァティ』である、ジゼル=ぺルラ=オーチャードは、そうはしなかったのです。

 

 

 

フ:あら、今日も早いのね。

 

ジ:―――お早うございます。

  まあ、これが日課の様なモノですから。

 

フ:ふぅん・・・それで?

 

ジ:―――「彼ら」の動き(スケジュール)は押さえておきました。

 

フ:(・・・)「彼ら」?

 

ジ:―――ええと・・・どちらから話しましょう?

 

 

 

半強制的に協力させてきた期間を終え、本来ならば、身の安全を保障された状態で、ジゼルは自宅に戻らされていた処でした。

 

ですが・・・未だフランソワの別荘の一つに居着いていると云う事は、「それ」自体が現在のジゼルの意志であり、

それにまた、フランソワや・・・自分の仲間達の為にもなる事をしていたのです。

 

だからこそ・・・の、「二面性」のある言葉―――

 

その時ジゼルか云った、「彼ら」・・・と、云うのも・・・

 

 

 

ジ:―――では、「一つ」は間違いなく、今回あなたが標的(ターゲット)としている二人の人物・・・

  「宇宙会議」の大物議員・・・ロムスカ=コレサト=グーベルシュタイン―――

  「ロイド保険会社」の会頭・・・メサイア=ウィルヘルム=ロイド―――

 

  現在ロムスカの方は、会期中でもあるので公私ともに忙しい身ではある様ですが・・・

  この一週間後―――ロイドと会う約束を取り付けています。

 

フ:(・・・)でも―――・・・

 

ジ:―――その通りです。

  臆病で用心深い「彼ら」は、密室で・・・しかもそこに行き着くまでにも、SPやボディー・ガードで固めながら・・・

  ですから、付け入る隙もないと思います。

 

  ですが、その後―――ロムスカは、遊説の為に惑星アルレシャの「スター・グランツホテル」最上階にある、ロイヤル・スゥイートに宿泊する予定の様です。

  そして、ロイドの方は・・・「いつも」の様に、カード・ゲームに興じる予定の様です。

 

フ:フフフ・・・あなたにかかっては、「プライベート」も、あったもんじゃないわね。

 

ジ:―――それは、褒め言葉として取っておきます。

 

  それから・・・あともう一組の、「彼ら」の事なんですが・・・

 

 

 

「宇宙会議」の与党、『自由憲民党』の大物議員ロムスカと、「ロイド保険会社」の会頭ロイド・・・

つまり、フランソワが請け負った依頼の「標的(ターゲット)」の、ここ最近の詳細な「行動(スケジュール)」―――

それが、「一つ目」の、ジゼルが握っていた情報なのでした。

 

しかし―――・・・気になるのが、「もう一組」の「彼ら」・・・

 

それは―――・・・

 

 

 

ジ:―――差し出がましいとは思ったのですが・・・

  今回のあなたの依頼に、ヘレンを使おうと思っているのです。

 

フ:(!!)それは、本当に差し出がましいわね・・・。

  でも―――・・・

 

ジ:―――はい・・・勝算なら、充分にあります。

  が・・・尤も、ヘレンが素直にこちらの言い分を聞いてくれるか・・・それが今回の鍵ともなってくるでしょうね。

 

 

 

ジゼルは・・・今回、フランソワに半ば強引に協力をさせられた時から、ある「計画」を練り上げていました。

そしてその「計画」に、今回全くと云っていいほど脈絡のないヘレンを起用しようとしていたのです。

 

それにジゼルは・・・ヘレンが、フランソワの事を異様に嫌っている事も―――そして、自分には辛く当ってくる事も、承知していました。

 

しかし・・・今回は、ヘレンと―――そして現在彼女と一緒にいる(であろう)『バンデット』なくしては、語れない・・・とも思っていました。

 

だからこそ・・・の、「起用」―――

 

「都合のいい」ことは、ジゼルも・・・またフランソワも判っていました。

 

けれども、「彼ら」の働きの「ある」と「なし」とでは、結果が全く違ってくる事も、また承知していたのです。

 

 

そして・・・もちろん結果は―――

 

 

 

第二百四十四話;非(?)協力者

 

 

 

ヘ:あ゛あ゛? なんだって―――? もう一辺云ってみな!ジゼル!!

 

ジ:「―――至極・・・判り易い内容だと思ったのですが・・・」

 

ヘ:私はねぇ・・・そんな事を云ってるんじゃないのよ!

  なんだってそこにいる女に―――・・・

 

 

 

陽を見るより明らか・・・モニターを通じての連絡だっただけに、ヘレンの目の前には、フランソワと一緒にいるジゼルの姿が・・・

そして、次にジゼルから申し出てきた言葉が―――「少し私達に協力をしてくれませんか」・・・

 

元々ヘレンは、フランソワの事を気に入らなかっただけに、同じ仲間であるジゼルからの要請でも、受け入れることは出来なかった・・・

 

けれども―――「第三者」である「バンデット」の方は・・・

 

 

 

ビ:ちょいと待ちな―――旨いしそうな話じゃねぇか・・・聞かせて貰おうか。

ヘ:ちょっとビリー・・・あんたねえ!?

 

ビ:ぃよう―――お久しぶり・・・「ピース・メイカー」、何か用かい。

 

フ:「話しがあるのは私ではないわ、彼女からのあなた達への依頼が、将来的に私に関係があるかもしれない・・・それだけのことよ。」

 

ヘ:(・・・)だったら、なおさらこの依頼―――

 

ビ:オーケー

  聞くだけ聞こうじゃねぇか・・・。

 

 

 

ビリー=バンデット=マッコイには、ヘレンとフランソワとの間にある軋轢の事など関係ありませんでした。

だから、「旨いしそうな匂いのするこの話し」を、聞き逃す事などなかったのです。

 

しかも・・・これから自分達が受けようとする、「依頼の内容」と云うのも―――・・・

 

 

 

ビ:ん? なんだ、そいつは―――

 

ジ:「(・・・)機能の事までは良くは判らないのですが―――とにかく「これ」を、この建物が見えるこの位置へ・・・取り付けて貰いたいのです。」

 

ヘ:ハンッ―――! そんなワケの判らないモノを、取り付けさせるだけだなんて・・・それにどうせ―――

 

ビ:ま・・・事情はともかく、「高く」つくぜ―――

 

フ:「(・・・)1000万―――」

 

へ:(!!)

ビ:(!)随分とまた、ふっかけられたもんだな―――

  それほど「こいつ」が、重要ってなことなのかい。

 

 

 

見かけの上でも「小型機器」―――しかしヘレンとビリーには、その「小型機器」が、どう云った働きをするのかが判りませんでした。

 

ただ・・・知っているのは、その「小型機器」―――『コンパクト・テレポート装置』・・・を、

製造者である「Dr」こと、ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイドから受け取る現場に居合わせた、フランソワとジゼルだけだったのです。

 

けれど、フランソワが請け負った依頼内容までは、ヘレン達には関係がなかったので伏せられたまま・・・なのですが・・・

 

そこで、ヘレン達に持ちかけられた依頼内容―――

この「小型機器」を、ある建物・・・この一週間以内にロイドが催す、「ポーカー・ゲーム」をする、「ロイドの別荘」が見える「アパートの一室」に、仕掛けるだけ・・・

たったの「それだけ」で、破格の報酬(ギャランティ)を提示され、厭な顔をする者などいない―――と、そう思えば・・・

 

 

 

ヘ:(・・・)ちょっと、フランソワ―――あんた、また何か隠してるわね・・・

  あんたはいつもそう、自分の胸の内をひたすら隠して、心配する者のことなんか考えてない・・・

  あの時だってそうだったじゃない―――隊の副長だった私にも話さず、副指令の粛清を、あんただけで決行したのは・・・

 

ビ:―――その話し、初めて聞くなぁ・・・

 

ジ:「―――私も・・・今初めて知りました。」

 

フ:「(・・・)もう過ぎた事―――終わっているのよ・・・」

 

ジ:「―――でも、どうしてフランソワが副指令を?」

 

ヘ:そいつはねえ―――敵に、あらゆる情報を横流し(ディープ・スロート)していた疑いがあったのよ。

  そして・・・その決定的な証拠を握った私達の隊の部下を、辱め・・・闇へと葬った―――

 

ビ:そいつはひでぇ話しだなぁ・・・。

 

へ:その事を私は・・・司令に直接直訴しようとしたんだけど―――・・・

 

ジ:「―――その直前に、ヘレンの動きを察したフランソワが・・・」

 

フ:「けれど、総ては推測・・・証拠となるモノは何もないわ。」

 

へ:でも・・・あの時、直訴に奔ろうとした私を、背後から何者かが襲い―――その同じ日に、副指令が殺害をされたのと同時に、こいつも隊から失踪したのよ・・・。

 

 

 

今・・・初めて明かされる、ヘレンとフランソワの確執―――

けれどもそれは、部下(ヘ レ ン)の身を案じた隊長(フランソワ)の、「すれ違いの思いやり」でもあったのです。

 

しかし、ヘレンの方でも、後日―――フランソワがそうした行為に及んだ理由が判ってはきたのですが・・・

自分にも相談をしないままに、そうした行為に及ばれた事に、どこか悔しさだけが残っていたのです。

 

しかし―――・・・

 

 

 

ジ:「(自分のことは棚に上げて・・・それにしても―――)」

 

ビ:だぁが・・・それとこれとは、オレにゃ関係ないなぁ―――・・・

 

ヘ:ちょっ・・・ビリー! 私の話しをちゃんと聞いてたの?!

 

ビ:聞いてたさ―――だとしても、関係ねぇよ・・・

  それよりも「ピース・メイカー」成功報酬は、ちゃんと払って貰えるんだろうなぁ。

 

ジ:「―――金払いは良い方ですよ。

  とは云っても、私は現物支給の方で―――丁度、新しいHDが欲しくてね・・・」

 

ヘ:ジゼル! あんたどっちの―――

 

ビ:オーケー、オーケー、こっちは「了承した」だ・・・

 

フ:「判ったわ―――」

 

ヘ:ちょっ・・・ビリー??!

 

ビ:まあ・・・いいじゃねえか―――

  それに、お前との「こう云った関係」も、そろそろ「終わり」にしたいし・・・な。

 

ヘ:(へ??)それ・・・どう云う意味―――??

 

 

 

ヘレンが、フランソワの事を気に入らない理由は、どことなく判ってきました。

・・・が―――その事は、ビリーにしてみれば全く関係がない事だったのです。

 

過去の確執だけに捉われて、みすみす「旨い話し」を取り逃がす―――だ、なんて・・・そんな莫迦げたことは考えられない。

 

それに、ビリーが強引に、ジゼルからの依頼を受け入れたのにも、「ある理由」があるからなのでした。

 

その「理由」と云うのが、ヘレンとの「関係」を、この際「見直そう」だと云うのですが―――・・・

 

 

そんな「話し」を、急にビリーから持ちかけられた時、ヘレンの思考は止まってしまいました―――

 

自分との「こう云った関係」を・・・そろそろ「終わり」にする―――???

 

その事は、得てして半ば「同棲関係」にあった事を、「終焉にする」・・・と、云う意味にも取られました。

 

けれど、どうして―――・・・

 

自分では、今まで結構「巧く」やってきたと思っていたのに・・・

 

それが、なぜ―――・・・急に、「別離(わ か れ)」を告げられなければならないのか・・・?

 

しかし―――ビリーは、そうした意味でその事を紡いだわけではなく・・・

 

 

 

ビ:ん〜? ま・・・それだけありゃ、お前との結婚資金にゃ十分過ぎるだろう―――

 

ヘ:(・・・)へ?え?? ケッ・・・コン?

  誰と・・・誰が―――・・・

 

ビ:お前とオレとに決まってるだろうがww

  それに・・・証人もいることだしなぁ―――

 

フ:「お似合いのカップルではありませんか―――

  では私は、神の御名に措いて、祝福を・・・」

 

ジ:「―――それにしても、思い切りましたね・・・」

 

ビ:あん? ああ―――まあ・・・「ある人」からも、よくよく云い聞かせられてた事もあったことだし・・・な。

  これも「好い機会」だと思えばいいさ。

 

ヘ:ある・・・「人」? 誰よ―――

 

ビ:ん〜? お前の方がよく知ってるだろ―――ミリヤさんだよ。

  あの人曰く、お前を繋ぎとめとくには、「お金がかかる」―――と、云われてたもんでなぁ。

 

 

 

「なんて失礼な・・・」と、ヘレンは思い、少しムカついてきましたが、

この男性とは結構「巧く」やっていたので、ここで何も「良縁(い い)話」を反故にするのもないので、

敢えてここは「ぐっ」と(こら)え、フランソワの手伝いをすることとなったのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと