『拳帝神皇』が放った強烈な闘気と衝撃波により、『テレジア』の存在は掻き消されました・・・。

そしてここに、今まで正体不明だった、「現在」の「七人の魔女」・・・その残りの一角が判明し、崩されたのです。

 

 

そのまた一方のこちら―――「アカデミー」に来たスターシアとヘレンは、この施設にいると思われる『ロクサーヌ』と、

自分達に協力をしてくれるはずの『博士』を探していたのです。

 

しかし・・・この施設に来てみて、改めて実感した事があったのです。

そう、それは・・・

 

 

 

ヘ:(・・・)な、なんか、ちょっと変じゃない?ここ―――・・・

  今、世間じゃ(もっぱ)ら「奴ら」の事で騒がれていると云うのに・・・

ス:ああ・・・全くだ―――な・・・まるで俗世の喧騒とは、関わりのないかのようだ。

  だからこそ・・・なのかも知れんな、「ここ」に―――「その内の一人」がいるはずもないとしているのは。

 

 

 

今現在、全宇宙で騒がれ出している「七人の魔女」・・・

そんな喧騒とは、全く無縁の日常が、「アカデミー(そ      こ)」では展開されていました。

 

ここにいる総ての者が―――皆、何かに熱中し、没頭している・・・

それは「学術」であったり、「発明」であったり・・・と、様々なのですが―――

どこか無機質で、生き物らしさを感じられないのも特徴の一つでもあったようです。

 

「だからなのかもしれない」・・・

よもや、俗世から隔離されたこの場所に、今現在、誰もが注目をしている「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」―――

その「過去」と「現在」のメンバーが、いると云うのを、「知らない」・・・と、云うのは。

 

すると、スターシアが導き出した論理を、褒め称える声が・・・

 

 

 

誰:ほむ よきところを つくものなり

  まずは いたれり―――と いふべきか

 

ヘ:・・・へ? なんだ、あんた―――

ス:(!)まさか、あなたが「博士」・・・「Dr」ですか!?

 

ル:いかにも では すぐにでも あないすべし

 

 

 

背丈も小さく、白衣もダボついていて動きづらそうに見える存在―――それが「Dr」こと、ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイドなのでした。

 

それにしても、「すぐにでも案内する」・・・とは―――その事に疑問を抱いたスターシアは。

 

 

 

ス:(・・・)どう云う事ですか、それは・・・まるであなたは、その存在・・・『ロクサーヌ』の事を知っているかのようだ。

 

ル:ほむ しりており

  そもそも『ロクサーヌ』とは 「軍事」「経済」「生物学」「物理学」「数学」「宗教学」のそれぞれに うるせしものたちが うみだせし わざものの「プログラム」なりにけり

 

ヘ:(!!)なんだって・・・すると、じゃあ―――そいつの配下だったって云う「ロムスカ」や「ロイド」は・・・

 

ス:フ・・・なんとも皮肉なモノだな。

  「使いこなす」はずの我々が、逆に「使いこなされて」いたとは・・・

 

ル:まあ・・・それもまた 「選択の可能性」で あったやもしれぬかな

  さなりとて―――あいては なかなかに ちはやぶるなり かくごはよろしいかな

 

 

 

そう・・・ルーシアは、その存在の事を知っていました。

あらゆる複合分野の「秀才(エリート)」達が、自分達の知識の欠片を寄せ集めて作り出した「プログラム」―――

それが、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の実質上のNo,2である、『ロクサーヌ』の正体だったのです。

 

 

しかし、この「プログラム」の、元々の「理念(コンセプト)」とは―――「生きとし生ける者の役に立つ為に」・・・でしたが、

ではなぜ、この「プログラム」・・・正式名称を『オメガ・スクゥエア001342666(以下『オメガ』)』は、突如暴走を始めたのか・・・

 

その理由は意外に簡単でした。

 

とは云え、総てを説明し切れるまでには、簡単ではなかったのですが・・・

 

それではどう云う事なのか―――

それは・・・

 

無機質な「プログラム」が、「人格」を持ってしまった―――・・・

 

よく「虚構の世界(フ ィ ク シ ョ ン)」では、ありがちな設定にして展開ではありましたが、それが「現実の世界(ノン ・ フィクション)」だとどうなるのか・・・

 

しかし、これが「現実」―――

 

現に、『オメガ』は人格を持ち始め、『オメガ』を開発した者達を「洗脳(のっとり)」始めた・・・

そして今では様々なコンピュータにアクセスをし、自分の支配下に置いていたのです。

 

そんな「化け物(いきものではないもの)」と、どう対峙(むきあえ)ば―――・・・

 

すると、「今回ばかりは―――」と、「過去」のメンバーの『ジェノヴァ』であるルーシアも協力する運びとなったのです。

 

 

元々『オメガ』は、そんなには容量(メモリー)を持たない「プログラム」でした―――・・・

だからこそ「軽快」―――

 

実際には、複雑な作業を要する「プログラム」などは、結果として「動作環境」などが「重く」なり、

その性能が優れている半面、よく「フリーズ」等の不具合を生じさせる要因ともなり得ていたのです。

 

そうした「問題」を、解消した「プログラム」―――それが『オメガ』なのでした。

 

なのに・・・その『オメガ』が、開発当初の理念(コンセプト)―――「生きとし生ける者の役に立つ為に」・・・活動を開始するモノと思えば、

それがいつからなのか、『オメガ』自身が、自分達に対し反感を抱き始めた・・・

 

その原因とは、やはり一人の「プログラマー」でした・・・

 

その「プログラマー」も、『オメガ』の開発に当初から関わっており、そして「何か」を仕掛けた・・・

而して、その「何か」とは、紛れもなく・・・潜伏性のある「バグ」なのでした。

 

しかも、その「プログラマー」は、開発期間中に「謎の死」を遂げており、「アカデミー」の方でも、そう報じられたモノでしたが、

この「謎の死」に関しても、後日の調査で、この「バク」を仕掛け終えた後に「自殺」をしたモノらしく・・・

そうすると、最早この「バク」を止められる者はいなかった・・・

 

この「バグ」によって、『オメガ』は突然、人格を持ち始め、挙句に自分を「神」だと錯覚し始めた・・・

その時点で、すでに「生きとし生ける者」の運命など、決まったも同然だったのです。

 

が―――・・・

なぜか、一両日の内に、そうはならなかった・・・

 

その原因を解明していくと、その延長線上には、ルーシアの存在があったのです。

 

その事に気が付くのが遅かった・・・

『オメガ』自身が、世界(げかい)に対し、自己の持てる能力を如何なく発揮しようとした処・・・

「何か」に阻まれてしまった―――・・・

 

その「何か」こそ、ルーシアが組んだ「電脳防衛抗壁」だったのです。

 

しかしそう・・・普通の「電脳防衛抗壁」ならば、「外」からの「侵入・侵略」に対し、その効果を発揮するモノでしたが、

この時ルーシアが組んだモノとは、それを逆の効果・・・つまり、「内」にあるモノを「外」に出さないようにした・・・

 

それは、ある意味で『オメガ』の危険性を察知していたルーシアだからこそ、出来た業だったのです。

 

けれど・・・『オメガ』もこのままでは終わらなかった―――・・・

「外」に・・・自分が出れないのならば、「内」から操作をするまで・・・

 

すると、自分と同じ様に、「生きとし生ける者」の事を憎み、滅ぼそうと云う考えを持つ者の存在を知った・・・

 

それも、「生きとし生ける者」の(なか)で・・・

 

それが、云うまでもなく、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」のNo,1・・・『ヴィヴィアン』だったのです。

 

そこで『オメガ』の方でも『ロクサーヌ』を名乗り、次々と心の弱い者達を籠絡し始めたのです。

 

特に、権力思考が強い者や、業欲な者―――地位・名声を求める者達が多かった為、

「ロムスカ」や「ロイド」のような、『オメガ』にしてみれば操り易い者達には事欠かなかったのです。

 

そして今度こそ―――自分に与えられた「指名」を果たそうとした時・・・

 

 

 

ス:ここがそうか―――・・・

 

ル:いかにも そしてここが こやつの「夢の跡」と なるるかし

 

ヘ:(開かずの間かよ〜〜・・・)

  〜にしても・・・不気味な―――わっ?!!

 

 

 

「またしても邪魔が入ったか・・・それによく見れば、私を封印してくれた者に、仲間と見られる者達・・・」

「いいだろう―――これもまた何かの機会・・・この私を封じてくれた者共々、滅してくれん・・・」

 

 

その空間こそは―――かつての「『オメガ』開発室」・・・

しかしそこには、人の気配など微塵に感じられませんでした。

 

代わりとしてあったのは、無数の亡骸・・・それも恐らくは、『オメガ』開発に(たずさ)わっていた、当時の開発者たち全員の、「それ」・・・

 

けれどヘレンが驚いたのは、そんなモノにではなく・・・

目の前にあった巨大モニターが急に作動し、そこには画面一杯に、「或る存在の顔」が・・・

 

しかも、それこそは―――・・・

 

 

 

オ:「フッフッフ―――ようこそ・・・ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイド・・・」

  「いや、もう一つの呼び名「Dr」か・・・それとも「過去(オリジナル)」のメンバーの『ジェノヴァ』・・・それとも、「もう一つの名」で呼んだ方がよろしいかな・・・」

 

ヘ:(に・・・人間の顔―――? ・・・にしても、(でか)っ!! ・・・じゃなくて!!)

  それにしても・・・なんだって、一個の「プログラム」であるはずのあんたが、「そんな存在」を「模す」のよ!

 

オ:「なんだ・・・貴様は・・・この私が「プログラム」だと? 戯れも大概にせよ―――私こそは、お前達の上に立つべき・・・」

 

ス:「神」・・・とでも云いたいのか―――

  フ・・・聞いて呆れる、自分のコトを何一つ知らないお前が、「神」であるはずがない!!

 

オ:「それこそ違うな・・・貴様達は、未だに貴様達自身が何であるかを定義し切れてはおらんではないか。」

  「それでいて・・・私に反論するなど、片腹が痛いわ!!」

 

 

 

第二百五十一話;見誤った存在

 

 

 

それこそが『オメガ』の正体―――・・・

自分を、「生きとし生ける者」よりも「高位・上位」とする「神」・・・だと見誤った存在―――・・・

 

しかし『オメガ』は、様々な「知識」をプログラミングされているお陰で、理論には長けていました。

 

そして、これで最早・・・「話し合い」では通じあわない事が、判った―――・・・

 

だから急激に緊張が高まりだし、先に仕掛けてきたのは、なんと―――・・・

 

 

 

ス:最早、議論無用!! 一気に片を付ける!

  『ブルーティッシュ・ボルト』――――!!

 

オ:「(!)やはりそう来たか・・・貴様のパーソナル・データは、最早照合済みだ!!」

 

 

 

スターシアが種族特有の鎧を身につけるのと同時に、『蒼雷』を解き放った・・・

しかしその事は、既に『オメガ』の方でも調査済みと見え、素早く―――その雷が届かない範囲に逃げ込み、回避したのです。

 

しかし・・・この事で、ある事が判ってしまいました―――

そう・・・つまりは―――

 

 

 

オ:「フッ・・・フフ・・・いかが―――かな?」

  「この私の最大の弱点「雷」に着目した点は、称賛に値する・・・しかも、それが故での「貴様」なのだろう―――」

  「だが・・・それも(あた)らねば畏れるに足らず、違うかな・・・?」

 

ス:(・・・)ああ―――そうだな・・・確かに云う通りだ・・・

へ:(!)ちょっ・・・あんた―――

 

ス:(・・・)『インベンター』が・・・な―――

 

オ:「(!!)ナニ・・・なぜ貴様如きが、その名を―――」

 

ス:判っていて、尚、私はしたのだよ―――

  お前が、どの位の早さで、私の雷から回避するのかを・・・な。

 

  それにここは、「限定空間」だ、逃げ切るのも限りがあるだろう・・・?

 

ヘ:(??)あんた達・・・何を話して―――・・・

 

 

 

『龍皇』スターシアの「雷」でも、『オメガ』を捉えきるのは出来ない―――

そのことは、『インベンター』なる者の説明により、既に理解済みでした。

 

ならば・・・一体どのくらいの速度で、雷を回避するのか、出来るのか・・・

その事を検証する為、敢えてスターシアは雷を放ったのです。

 

しかも、この空間は「限定空間」・・・

永遠に、どこまでも、逃げ(おお)せ切れることはできない―――・・・

 

そう・・・『オメガ』は既に、ルーシアから封印された時点で、消滅させられることが決まっていたのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと