新たなる―――地球の代表が―――決まった・・・
その事を受けて、至急「評議会」が開催され、それに伴ない「東西南北」の「評議員」が、一堂に召集されました。
そして改めて「新たなる代表」の顔を見た時、或る者は歓喜・喝采に湧き―――また或る者は失意・落胆に陥るのでした。
それでは、賛否両論のある「新たなる代表」の「顔」とは―――・・・
イ:リリア姉さま―――姉さまが、新しき地球の舵取り役を担われると云うのですね。
大丈夫・・・姉さまならきっとやれます!
私―――姉さまの事を信じていますから!
リ:あ〜〜そ・・・(信じてくれるだけなのねw)
それより・・・なんだ、ユリアさんは歓迎してくれていないみたいだな。
ユ:(・・・)そう・・・見えますか―――
ですが、そう思われても仕方がありませんわね。
なぜジョカリーヌが、後事をあなたに託したのか・・・わたくしは未だ以て不思議でなりません。
けれど、それがジョカリーヌの意思ならば仕方のないこと・・・あなたへの応援を惜しまないようにしましょう。
リ:ふぅん・・・(ま―――そうなるだろうな・・・)
で〜〜ルリさんは・・・
ル:私は―――飽くまで中立の立場を貫きたいと思っています。
確かにイリスさんやユリアさんは、あなたやジョカリーヌ様への依存度が高いから、そうだと云えるかもしれない・・・
だからこそ私は、なるべく第三者の立場となって物事の推移を見守りたいと思います。
リ:(そうきましたか・・・)
あ゛〜〜あとそれと・・・ソフィア、何か云いたいこと・・・ある?(・・・よ、ねえ〜〜その顔わ―――)
ソ:(・・・)ないように見えますか。
全く―――あなたときたら・・・急に「シャクラディアに来てくれないか」の一報を入れたら、すぐに切ってしまうのだから・・・
戻ってきたのなら、「戻ってきた」―――って、どうして最初に云えないの? そんな簡単な事が判らないあなたではなかったのでしょうに。
リ:(るっさいなあ〜〜判ってるよぉ―――いちいちそんな説明なんかしなくたって・・・)
仕方がねぇだろが・・・おまいらが思ってるほど、単純じゃなくなって来てるんだから―――・・・
ソ:はい? 何をそこでぼそぼそと―――云いたい事があるなら、もっと声を張りなさいな!
リ:(あ゛〜ん゛! もう〜〜面倒臭ぇ〜!!)
あ゛〜〜ハイハイ、判りました!
自分が、器量よりも大きな仕事を任されようとしている―――
何もその事は、リリアを新しい地球の代表に据える事に否定的になっているユリアでなくとも、リリア本人が一番よく理解出来ている事でした。
それに、宣言までは「第三者的立場を貫きたい」と称していたルリにしても、どこか不満の色は隠し切れるモノではなく・・・
ですがやはり、この内で一番の不満を感じていたのは、
急遽リリアに呼び出され、心の準備もないままに「南の評議員」の席に座らされた、ソフィアではなかったではないでしょうか。
ソフィアは前日―――遠く地球を離れていると云う幼馴染からの一報に、本当は嬉しくありました・・・。
リリアの知人で、自分以上に仲良くしている人物を知っているだけに―――そんな人物より先んじて、自分に連絡を入れてくれるなんて・・・
しかしその内容は・・・
『悪ィ―――ソフィア・・・明日シャクラディアに来てくれないか?』
なんと云う、簡潔にして明瞭―――まさに一切の無駄が省かれた、用件だけの連絡に・・・ソフィアには断る権利すらありませんでした。
だから翌日に、顔を突き合わせるのと同時に、云ってやりたいことが山ほどあったのに・・・
ですが―――それは、自身が「南の評議員」の席に着き、「評議長」の席に着いた幼馴染の顔を見て、その気が収まってしまったのです。
しかし―――私情と公務とは、また別の話し・・・
疑問に感じた事があるのなら、すぐさま追及をする―――
それは、「一政治家」と云う、ソフィアの別の顔が覗いた瞬間でもあったのです。
するとその質問に、何ら臆することなくリリアは―――・・・
リ:急に戻ってきた事は、本当に済まないと思っている・・・。
イリスやその他―――私を慕ってくれている者達に関しては、申し訳のない思いでいっぱいだ。
ただ・・・そこで「説明を尽くせ」―――と、云われても、多分あんた達でも半分以上は理解して貰えないだろう。
なにしろ私本人でも、未だ何が何やら・・・さぁ〜っぱり!―――なんだからな。
ソ:リリア! あなた―――・・・
リ:まぁ落ち着いてくれ―――ソフィア。
それにジョカリーヌさんが、後任に私を択んだんだから、「南の評議員」の席が空いちまうだろう?
だから〜〜お前なら、私の代わりを十分に果たしてくれると思ったんだがなぁ・・・。
自分の幼馴染が、また急にどこかへと失踪し―――気の向くままに戻ってくる・・・
そしてその・・・どうしてその行動に至ったかまでの動機も、その場では釈明されないまま・・・
ソフィアは、自由気ままな幼馴染の気質は、充分に知っているつもりでしたが、
今までにも、どんなに無謀な行動を起こしても、その事後にはちゃんとした動機の説明義務を果たしてきたからこそ、リリアを批難して来なかったのです。
ですが・・・今回ばかりは勝手が違いました―――
自分勝手な行動の、釈明・・・並びに説明義務を果たさないばかりか、自分達に大変心配をさせて来ておいて、
挙句・・・「何も知らない」とは―――・・・
その事に、ソフィアの怒りは爆発しそうになりましたが―――
しばらく沈黙を護っていた「東の評議員」―――ユリアは、現「評議長」と現「南の評議員」が争議をしている最中、
まるで見計らったかのように、「動議の発動」を提起してきたのです。
第二百六十一話;「評議会」の崩壊
ユ:議長―――僭越ながら、動議の提起を致しとうございます。
リ:あ―――ああ・・・なんだ、ユリアさん。
ユ:あなたが―――今までの間、どこにおられたのかと、その動機について・・・明確なる説明を頂きとう存じます。
リ:(〜〜)だからあ〜〜それは〜〜・・・
ユ:ならば―――未だに以て説明の義務を果たさないと云うのでしたらば・・・
その人物は―――前代表と、深い契りを交わした間柄・・・
だから一般的に見て、「保守的」な見解は大いにあるのかもしれない・・・と、誰しもが疑いませんでした。
なればこそ、その場にて提起され、答弁に苦しむ「新たなる代表」を見て、現在の態勢では限界を感じてしまったのかもしれません・・・
ユ:わたくしは―――栄誉あるこの職から、身を退きたいと存じます。
リ:(・・・)「辞めたい」―――てか・・・。
ま、引き留める理由も、これと云ってありはしないけど・・・もう少し考えてくんない? 私も何かと心細くってさあ。
ユ:(・・・)お断りを申し上げます―――
「その理由を・・・」と、云われますのならば―――今のあなたのその答弁・・・このわたくし達如きで手古摺るようでしたらば、
どうしてか宇宙の海千山千共と渡り合えるでしょうか、そこの処に一抹の不安が過らざるを得ないからでございます。
リ:(・・・)ま・・・ご尤もなご意見だ―――
それで? 後任には誰を推してくれるんだ。
ユ:スターシアを・・・スターシア=ラゼッタ=アトーカシャならば、わたくしよりも良き判断をしてくれるものと、そう信じております。
リ:スターシアさん・・・ねぇ〜〜はは、こりゃ下手な手は打てんな―――ww
判った―――辞退の申し出、受理するよ。
イ:(!!)姉さま―――?!
ソ:リリア??
あまりにもな唐突な申し出に、他の三人は呆気にとられるしかありませんでした。
しかし、そう思っても差し支えのなかったのも無理のない話し・・・
恐らくは、政治的能力に関しても、ジョカリーヌに次いで高いのは、ユリアであるのは誰しもが認めている処でしたが、
その彼女が、なぜかこの機をして、「評議員」の席から外れる事を決意―――
その事を受け入れたリリアも、程度の説得を試みては見るモノの、「本人の意思」と云う事で、余り深くを追及して来なかった・・・
けれど、そこを―――ルリにはどこか引っかかって感じたのでした。
彼女達のそのやり取りは、何かこう―――事前に打ち合わせたかのよう・・・
それに、辞意の真意を確かめるべく、一足先に議場を後にしたユリアに追いつき―――・・・
ル:(あっ・・・)ユリアさん―――待って!
あなた・・・本気で―――・・・
ユ:ルリさん・・・
今までの事、本当に感謝をしています。
願わくば―――リリアさんの後押しを・・・
ル:どうしてそれを―――あなたが・・・為されないと云うのです?
(ま・・・まさか、この方―――??)
違う―――この方は・・・本当は、私と同じ様に先人から託された思いを、後人に預け・・・一緒に盛り立てて行こうとしていたに違いない―――・・・
だけど、知ってしまったのだ―――
この方は、あの・・・僅かな答弁の内で、リリアさんが何を知り得て来ているのかを・・・
そして、旧き仲である私達にも内緒で、転任をされたジョカリーヌ様の・・・転任先の事を―――
けれど、私達は知らない―――
ジョカリーヌ様が転任された、彼の地の事を・・・そして、その先にある者の事など
けれど、この方は知っている―――
永き間、宇宙を席巻した事によって、耳にした事くらいはあるのだろう・・・
そして、もっと早くに気付くべきだったのです―――
そうだ・・・今、別れ際に見せたこの方の眸こそは、
その昔・・・私の国を襲い来た「もう一人のこの方」―――『オプスキュリテ』との死闘を決意した、『アヱカ』の時のモノではなかったか・・・と
嗚呼―――また・・・
また私達は、尊い犠牲をして、その生を勝ち取ろうとしている・・・
またこの方は、憎まれ役を請け負い、その存在すら賭けようとしている・・・
そんな私は・・・これから死地へと赴かんとする、この方の背を・・・
涕なくして見送る事が、できなかったのです・・・
=続く=