一つの問題性が浮上し―――それはそれで解決することができたのですが・・・

また新たな問題性も浮上してしまったのでした。

 

それが「サイレン」―――

自分達も耳にした事がない、その正体不明の何者か・・・の正体を探る事が、

今後の彼女達の新たな任務だと云えました。

 

それよりも・・・

 

 

 

ヘ:しかし―――それより、「アンフィス・バエナ」とか云う連中が、こう云う奴らばかりとは・・・

マ:(?!)あら・・・ジゼルからのメールだわ。

  なになに・・・『急遽、救援されたし』―――これ、救難要請のモノだわ??

バ:そうか・・・では、お前達はそちらの件を頼む。

  私は、例の一件をジィルガ様に直談判する。

 

 

 

また新たな問題性の急浮上―――・・・

それは、「ディーヴァ」の一員でもある、「サラスヴァティ」ことジゼルからの、緊急の・・・救難要請のメールだったのです。

 

しかし・・・そう―――マリアやヘレンは、直近にジゼルが何をしていたかなど知る由もなかった為、

現場に急行しようにも手立てがなかったのですが・・・

 

ふと、ある事を思い付いたヘレンは―――・・・

 

 

 

へ:あ、そーだ・・・人探し程度なら、あいつに協力させよう・・・

マ:は? 「あいつ」・・・って誰の事なの?

 

ヘ:ビリーよ、あいつ、ここ最近「良い仕事が入らない」ってぼやいてたし・・・

  ああ―――ビリー? ちょっと頼みたい事があるんだけど。

 

ビ:『あ゛あ゛? 何だ・・・ヘレンか』

  『で・・・なんだって? オレに頼みたいこと? いいけど―――そんなに安かぁないぜ・・・』

 

ヘ:ちょっとお〜連れない事云うんじゃないわよ。

  あんたここ最近、仕事が入ってないって云ってたでしょ?

 

ビ:『あ゛あ゛? ・・・ああ―――まあな・・・』

 

ヘ:だったら、私の云う事を聞きなさいよ。

  実は、人探しなんだけどさ―――私達「ディーヴァ」の一人で、ジゼル・・・てのを探して保護して貰いたいんだけど・・・

 

 

 

その・・・ふとヘレンが思い付いた事とは、ジゼルの捜索を、自分の良き理解者(・・・と、ヘレン自身は思っている)である、

ビリー=バンデット=マッコイに協力させようとしたのです。

 

すると・・・連絡先に出たビリーは、丁度寝起きだったのか、(すこぶ)る機嫌の方が悪く、連れない返事しか返してこなかったのです。

 

そんな彼の・・・余り頂けない態度に反応をするヘレンでしたが・・・

最近の彼の弱味を握っていた事もあり、このヘレンからの依頼は、すんなりと収まるか・・・に見えたのです。

 

ところが―――その内容を聞いた途端・・・

 

 

 

ビ:『へえ〜〜お前の仲間・・・ねえ〜〜』

  『そいつはちょいとばかし、報酬を弾んで貰わないと―――な。』

 

ヘ:な・・・っ、ちょっとあんた―――こっちの足下見ようっての??

 

ビ:『おっ・・・と、それじゃこの話しは、なかった事に・・・』

 

ヘ:(〜・・・)判ったわ―――それで? 一体いくらなら受けて頂けるのかしら?

 

ビ:『オレが「今」欲しいのは、金じゃあねえ・・・』

  『そうだなあ・・・「ランカータ」でも一本付けて貰おうか。』

 

ヘ:な・・・! ちょっ・・・あんた「ランカータ」―――って、簡単に云うけど・・・

 

ビ:『いいんだぜえ〜? オレは別に、「ランカータ」が欲しくて云ってるんじゃねえ―――』

  『ただこいつは・・・オレの希望―――なのさ』

  『じゃあな・・・愉しみに、待っているぜぇ。』

 

 

 

どこか・・・通話先の向こうで、にやけた面が見えたように感じましたが、

背に腹は代えられない・・・と思ったヘレンは、少し考える余裕が欲しい―――と伝えると、通話回線を切ったのでした。

 

そして―――・・・

 

 

 

ヘ:ああ〜ん、もう・・・あいつったら簡単に手に入らない事が判ってるから、あんな無茶を云いやがってぇ〜〜!

 

マ:(・・・)それにしては―――少し変だったわよねぇ・・・

 

ヘ:はあ? なにが・・・

 

マ:いえね? あんた達のやり取りの一部始終を聞かせてもらったんだけど・・・

  あんたが、ビリーへの依頼の内容を話した時から、どこか彼の様子が違って聞こえたのよ。

 

ヘ:(??)どう云う事・・・それ―――

 

マ:うう〜ん・・・なんて云うのかなあ・・・

  喩えて云うなら、どこかジゼルの居場所に検討が付いているかのような・・・そんな抑揚感を彼の声に感じたのよ。

 

 

 

さすがに・・・「猟犬」と呼ばれた事のある親友の鼻は、衰えてはいなかった・・・と、云うべきか―――

それとも、種々多様に居る犯罪者達の「偽証」を看破る為に、自然と鍛えられ備わってきたのか・・・

 

マリアは、無意識のうちに、「声」に出てくる「抑揚」等の複雑な「感情」を、瞬時に聞き分ける事が出来ていたのです。

 

そしてその時には、通話先のビリーの声が、やけに弾んでいるように聞こえた・・・

つまりこれは、こちらが探しているジゼルの現在位置を知っているからこそ、

余り市場に出回らない・・・出たとすれば、数百万単位からがオークションのスタート・・・と云う、プレミア物の一点を強請(ね だ)ってきたのではないか・・・と、そう推察したのです。

 

 

第二百九十話:ヘレンの嫉妬

 

 

そして事態は―――意外や意外な方向に展開することとなり・・・

 

そのすぐ数時間後、ビリーの住居の施錠されている出入り口が手荒く空けられ・・・

乱雑に闖入(ちんにゅう)してきた者は―――・・・

 

 

 

ビ:(?!)なんだ―――なんだ―――

  (!!)げ・・・ヘレン―――

ジ:あっ・・・ヘレンさん?

 

ヘ:(!!)ジ・・・ジゼル〜〜!

  ん前ぇ―――他人の男の家に居る・・・っちゅうのは、どう云う事か・・・

  説明せんかいや―――くるぁあ゛!!

 

ジ:ひいぃっ・・・ご、誤解ですぅ〜〜!

  これにはちゃんとした事情が・・・

 

ヘ:それがお前の遺言か・・・上等だ!

マ:ちょっと待ちなさい―――って。

  ヘレン、もう少し冷静に・・・

 

ヘ:これが冷静になれるか〜っちゅうんじゃい! くぅおんのお―――っ!

ジ:あ・・・痛っ――― ひえぇ〜ん・・・暴力反対〜〜

 

 

 

・・・とその前に、少し状況の説明を―――

「住居の施錠されている出入り口が手荒く空けられ・・・」とは、ヘレンが持参しているビリーの家の合い鍵を、普段通りに使用した―――と云うのではなく・・・

どこか、上記の様な状況が想定され、それで焦って少々乱暴に開錠してしまった経緯であり・・・

(実はこの仕様・・・銃をぶっ放して開けた―――とか云う、物騒なモノではなく・・・強く足蹴にして開けた程度のモノ)

そのあとの「乱雑に闖入(ちんにゅう)してきた」と云う状況も、直前の傾向が如実に表れていたから、そうなったわけであり―――

 

・・・と云うより、その内では、(マリアが)想定していた通りの有様だった―――

 

先程ビリーが、通話口で強気な態度に出れたのも、自分達が探している仲間が、自分の家に来ていたから・・・であり、

しかも、間の最悪な事に、どこからどう見ても「誤解」の一文字しか浮かんでこない様な状況だった―――

とすれば・・・「浮気をされた」と思うしかなかったヘレンは、当然の様に怒り狂い、

これからジゼルが話そうとする「事情」にも、耳を傾けない有り様だったのです。

 

しかも、ヘレンが一番嫌いなタイプ―――まるでブリっ子で萌えた仕草をする、(変化前の)ジゼルにまたもや怒りを覚え・・・

 

 

 

へ:こ・ん・のヤロウ・・・ん前ぇ―――その手口で、他人の男を(たら)し込んだんか!!

ジ:ええっ?! い・・・一体なんの事―――

 

ヘ:ムッカァ〜〜 私はな! そう云う・・・男に媚びる女が大っ嫌いなのよ!!

  もー一発・・・喰らえぇ〜い!!

 

マ:あっ―――またひどい事を・・・

  ヘレン! ジゼルが何をしたって云うの??

 

ヘ:充分したじゃない・・・この女、澄ました顔して私のビリーを私から奪おうとしてるのよ!

 

ジ:それ、誤解ですってえ〜〜何度も云っているじゃありませんかあ〜〜 ええ〜ん・・・

 

ヘ:ほほぅ・・・そーやって、まぁだ私を挑発するんかい・・・

  いい度胸してるじゃないか―――ジゼル・・・

 

マ:(あっ、銃を・・・)待ちなさいヘレン! あんた一時(ひととき)の感情で・・・

 

ヘ:感情で動いてなにが悪いのよ゛!

  こいつは・・・この女は〜〜

 

ビ:まあ―――まあ―――少しは冷静になってくれ、ヘレン・・・

 

ヘ:(!!)あんたも・・・よくも私を―――

ビ:ま、「コレ」でも飲んで、気を落ち着かせてくれや。

 

ヘ:(・・・)ナニ?「コレ」―――

  なんで「ランカータ(こ ん な も ん)」が、あんたの家に―――・・・

ビ:ああ、悪ぃ悪ぃ、ちょっとお前をからかってみたくてな。

  それに「ランカータ(こ  い  つ)」は、このお嬢ちゃんから「匿って欲しい」て頼まれた時、持参してもらったヤツでよ。

  まあ〜こんな高級品、持参してもらった日にゃ無下にも断る事は出来んだろ。

 

  だから―――よ、ヘレン・・・お前も、もちっと・・・て―――ヘレンさん??

 

 

 

ビリーもよせばいいのに、まだこの上ヘレンを焚きつける様な事情を公表してしまい、

最早手のつけられなくなったヘレンが―――w

 

そしてこうなってしまった以上、マリアも「ドゥルガー」に変身(トランス・フォーム)するしかなくなり、

それでも乱闘は小一時間続き、ようやく収まらせる事が出来たのです。

 

それにしても、どうしてこんな事態になったのか―――・・・

それは、ジゼルからの証言により、次々に明らかとされてきたのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと