この宇宙の存亡を賭けて、「不和と争いの女神」であるエリスの勢力と、激しく火花を散らす者達・・・
しかし、相手側も一枚岩とは言い切れなかったようで、自分達と実力を拮抗する仲間を、使い捨ての消耗品並みに扱った・・・
そんな「サトゥルヌス」に対し、激しく怒りを覚えたモノでしたが―――
同時に・・・その「サトゥルヌス」の存在に、疑義が浮上してきたモノだったのです。
それはそうと―――無事、自分の幼馴染を奪いに来た者達を、見事迎撃したリリア達は・・・
リ:ふわぁ〜あ・・・これでようやく、一段落は、終わった・・・か。
―――んじゃ、そろそろ・・・
ソ:やはり・・・行ってしまうの?
リ:ん〜〜? うん・・・・
私が、やんなくちゃいけない事らしいから・・・な。
ソ:・・・でも―――
リ:そんなシケた顔するんじゃねぇってww
なにも死にに行くわけじゃねえんだからwww
ソ:それじゃ、あなたは―――・・・
リ:話し合う・・・つもりさ、とことんな―――
それに、判って貰えると思ってるんだ。
蓮:(??)しかし―――相手は・・・
市:(!!)まさか―――顔見知りの方・・・なのですか?!
リ:(・・・)そう思うんなら、一緒に来てくれるか、蓮也に市子。
先程からの「軽いノリ」とはまた別の、少し引き締まった表情を見た時・・・
市子に蓮也は、実は今回の件は、余程重要である事を知るのでした。
そして・・・一方の、エリスの下へは―――・・・
ジ:須らく・・・終わらせてございます、盟主・エリス―――
エ:然様・・・か―――
それで・・・? 次に汝が狙いしは、妾の馘なるか。
ジ:(!)何をお戯れを・・・わたくしは、あなた様に―――
エ:ほ・ほ・ほ―――戯れておるのは、汝ではないかえ?
それとも・・・妾が汝の事に、気付かぬほど凡愚―――と、侮っているのではないのか・・・ヱニグマ。
ジ:(!!)
現在―――「サトゥルヌス」を模しているヱニグマは、エリスの看破に内心「ドキリ」としたモノでしたが、
こうした手口は、いつも自分も使っていた為、あたら鎌を掛けられても、すぐには「はいそうです」と云う愚は避けたのです。
今、大事なのは、来るべくの「時機」の為、彼の者を待ち受ける事・・・
それが喩え・・・かつての「共有者」の下であろうとも―――・・・
けれども―――・・・
エ:それでも尚、白を切り通すつもりか―――
判ってはおらぬようじゃな、かつての汝の「共有者」と「同化」した事で、妾は既に見抜いておる・・・。
汝が、「サトゥルヌス」を、その身に取り込み成り済ましておる事など・・・な。
だが―――それにしてもよく妾の言いつけを守ってくれた・・・あたら知り過ぎし者には、消えて貰わねばのう・・・。
「全く、違う」―――・・・
ヱニグマは・・・ユリアは、「サトゥルヌス」の姿をしながら、そう思いました・・・
そう、「全く、違う」―――・・・
ユリア自身が知るジョカリーヌは、こんなにも無情・・・非情な事など云わなかった・・・
それがどうして―――・・・
しかし、思えば得心がいく点もありました。
「そうだったのですか・・・だから、「分別かたれた」―――・・・」
「善」と「悪」とが同居し、「宇宙」の為に「必要悪」として殉じようとした時―――
かつての想い人が、それを阻止しようとして消耗し―――疲れた果てに「賢下五人」によって、存在を割かれた・・・
一方の「悪」であるエリスは、その名を冠する「監獄」に封印したけれども、
一方の「善」である女禍は、事の経緯を不憫に思った「哲学士」がその身柄を引き受け、養育することで他の「賢下五人」を説得した・・・
それが・・・今はエリスの封印が、その効力を失った事により、「存在は一つ」に・・・
しかしそこには・・・「善」であった女禍の存在は、欠片として見る影もなく―――
ただ―――「宇宙」を壊し尽くそうとしている、「破壊の化神」でしかなかったのです。
しかも―――・・・
エ:そう云えば・・・よくよく考えれば、「汝も」「知り過ぎし者」・・・よ、な―――
ならば、消えて貰うのが道理というモノ・・・
ジ:お・・・お戯れを―――!!
エ:また・・・先程と同じ―――か・・・
だが、やはり戯れておるのは、汝であろう―――
それに、汝の戯れに、付き合ってやるのも、もう飽いだ・・・
ジ:(!!!)
エ:そうら―――・・・化けの皮を、剥いでつかわそう・・・
―――=エターナル・エクリプス=―――
「これが・・・あの方をして、「禁忌」としむる『蝕』の顕現―――!!」
『蝕』・・・それは、その事象が一度起こりうれば、総ての活動が休止しむる・・・とても危険な「顕現」―――
それを用い、総ての活動を休止させ、神々の内に潜む「邪」なる存在を、知らしめようとした―――・・・
けれど・・・自身が、その顕現に覚醒め、酔い痴れてしまった時―――・・
自身のしている事が間違いだ―――と、かつての想い人である『勇者』が、自身の前に立ちはだかり、間違いを諭そうとしてくれたモノだったのに・・・
もう既に・・・その時には・・・手遅れだった―――・・・
もう・・・何も聞こえない―――・・・
それが喩え・・・かつての想い人の声、だったとしても―――・・・
それに、『勇者』も、やはり躊躇いは隠しきれなかったモノと見え、「悪」の権化となってしまった『巫女』に、その刃を振り下ろせず・・・
逆に深手の傷を負わされ、ほうほうの体で逃げ延びたのです。
ただ―――・・・その場には・・・「勇者の剣」が、突き立てられたまま・・・
そして再戦の機には、五人の「歌姫」を伴い、現れたモノでしたが・・・
エリスは前回、ソロンガ自分の前より逃亡を計った時点で、気付いておくべきだった・・・
ソロンが―――『勇者』が、逃亡を計る際、その場に突き立てられた剣こそ・・・「勇者の剣」―――
そしてその後、誰彼と云うでもなく、その剣の事を―――『覇蝕の剣』・・・そう呼んだのです。
そう・・・その剣は、突き立てられた「あの時」から効力を発し、エリスの顕現である『蝕』の機能を削っていたのです。
そして今度は、「五人の歌姫」の、それぞれの「歌」の効力によって、総てのパラメータが抑えられてしまった・・・
しかし・・・それでも・・・ソロンは、エリスを討てなかった―――・・・
「あんなに弱々しくなってしまった彼女を、ボクには討つことなんてできなかった・・・」
それは、意気地のない一言―――と、そう云ってしまえば、そうかも知れませんでしたが・・・
「彼」と「彼女」は、互いの事を昔から知っていたのです。
神々の内でも、一際異彩を放つ顕現を持つ『巫女』を―――やはり神々は「異端」だとか、「魔女」だと、云い貶めていました・・・
そして、そのことは『勇者』も―――・・・
神々の内でも、一際異彩を放つ「強さ」故に、神々より忌み嫌われていたのです・・・
つまりは・・・どこかよく似た者同士の、「彼」と「彼女」―――・・・
それが「運命」だと云うのならば、彼ら二人が出会うのもまた、「運命」―――・・・
『勇者』と『巫女』は、互いの存在を分かち合い・・・そして恋に落ちた―――
それは、必然的な出来事だったのです。
ところが、周囲りがその事を赦すはずもなく、またしても「運命」は「宿命」へと塗り替えられ、
彼らを悲劇の舞台へと引き上げたのです。
そして・・・現在の『勇者』と『巫女』は―――・・・
第三百九話;『勇者』と『巫女』の物語り
エ:遅かったな・・・『勇者』―――
市:(!!)そ・・・んっ―――な・・・あの方は??!
蓮:ジョカリーヌ・・・殿―――ではないのでござるか??
市:こっ・・・これは、これは一体どう云う事なのですか? リリアさん!!
リ:どうもこうも―――見たまんま・・・そう云う事なのさ、市子に蓮也。
ああ、そうさ・・・これが、これから私が相手しなきゃなんない、「エリス」の正体なんだよ。
蓮:し―――しかし・・・そなたはジョカリーヌ殿の事を・・・
リ:早まんじゃねえ―――蓮也・・・相手は「もう」、あの人なんかじゃねえんだよ。
そう云う事で、いいんだよな―――「話術師」さんよ。
こうなる時の為に、予め手渡されていた「転移装置」を使い、一瞬にしてエリスの下に現れたリリア達・・・
そして、市子と蓮也は、今回の相手と云うのが、あたら自分達の知る、「あの」ジョカリーヌだと云う事を知り、躊躇いを生じさせてしまったのです。
その事は、やはりジョカリーヌに恩を感じているリリアも同じ・・・かと思いきや、
予めこうなる事を聞かされていたかのような態度だったのです。
ですが・・・そう―――
リリアに、「事の真実」を伝えた人物は、事もあろうに事象点のすぐ近くにいた・・・
そして、その人物がどうなるかを、その人物自身も・・・リリアも・・・そして―――ジョカリーヌも知っていたのだったのだろうに・・・
またしても「彼ら」は、同じ歴史の繰り返しを、演じてしまうのでしょうか―――・・・
=続く=