紆余曲折があり、この国には、様々な種が、肩を寄せ合って生活をしている事を知った市子達は、
引率していた侯爵・マキによって、今度こそ本当に、シャクラディア城・玉座の間まで導かれました。
その―――刻を同じくして・・・
ジ:ふぅん・・・この子達が、そうなんだ―――
ミ:どうなされたのです、一枚の映像データに、何が集約されていると。
ジ:ミトラ、ほら、これを見てご覧、ユリアから送られてきた、転送映像を・・・
ミ:うん? なんですか、これは・・・なんだか、随分と違和を感じますね。
ジ:それだけじゃないよ。
そう云えば、今日、接見を申し出ている人達の事は、知っているよね。
ミ:ああ―――確か・・・「南方」のリリア・・・とか云っていましたな。
ジ:―――で、晴れて審査を通過して、ここへと入った時の映像・・・
シャクラディア城の自分の部屋で、ジョカリーヌは、同志であるユリアから転送されてきた映像データと、
今回、自分に会う為に来訪してきた者達の、最新の映像を見比べることによって、これから愉しくなりそうな予感がしてきていました。
すると、偶々、ジョカリーヌの側に居合わせた、総統のミトラは、自分の友がなぜそんなに愉快そうにしているのか気になり、軽く訊ねてみた処・・・
ジョカリーヌから見せられた、話題の映像データ―――
それは、最近撮られたモノらしく、着飾っている服飾などは、貴族などが召す様な立派なモノだったのですが・・・
なにかが・・・どこかが―――様子が可笑しい・・・。
なぜだろう・・・と、疑問に思っていれば、その疑問を解き明かす為の、鍵となるモノを、ジョカリーヌから見せられたのです。
すると今度は・・・この国に、入国する為の審査を受けた時の、リリア達の映像―――そこでようやく、先程自分が感じていた違和を拭う事が出来たのです。
そう―――この、ユリアから転送されてきた映像データの娘は、どう贔屓目に見ても「東洋風」・・・
それに、リリアに同伴している男女も、「東洋風」・・・と、云う事は―――?
ミ:ユリアの奴・・・もしかすると?
ジ:さてね・・・彼女がどこまで知っているのか、そこは興味の対象になってくるけれど。
ミ:それにしても、この女の児童・・・
ジ:やはり君も、そこへと目が移ったようだね。
そう・・・恐らくは、ユリアから転送されてきた映像データの娘と、今回リリアに付いてきた、この女の児童が関係あるに違いない・・・
ミ:しかし、それでは推理の飛躍のしすぎでは―――?
ジ:そう思う? では・・・どうして、この男性と、盲目風の女性―――なんだろう。
彼と彼女については、以前ヱリヤとエルムを、リリアの国に遣わしたことがあるから、報告に上がった事はあるけど、
その時には、この娘と、女の児童については、口の端にさえ出てくる事はなかった―――
・・・と―――云う事は・・・だ、つまり、この二人に関しては、それ以後新しく築かれた関係だと思うのが、自然な流れだと思うんだ。
けれど、今現在の状況から察するに、この二人は、自分達の意思とは関係なく、別の行動を取ってしまっている・・・
そこで―――再会の場所が、「ここで」だとしたなら・・・?
ミ:フフフ―――なるほど、もうすでに、そこまでのシナリオが出来上がっていましたか。
確かに、コレは想像しただけでも、愉しくなってきましたかな。
ジ:では―――至急、ユリアにはその旨の返信を・・・それと、いい機会だから、マグレヴのルリも召喚ことにしよう。
期せずして―――の、このタイミングの良さに、ミトラはユリアの企んだ事ではないかと疑いましたが、
そこは、ジョカリーヌの反論する処となり、ミトラの疑問も改まる処となったのです。
しかし、それでも拭いきれない部分はあるとし、その矛先を、現在リリア達と行動を共にする、謎の女児、たまもに向けてみたのです。
するとそこでジョカリーヌは、これから起こりそうな事を、ある程度予測して見せたのです。
現在、リリアとユリアの下にいるそれぞれ―――たまもとしの・・・
この二人こそが、何らかの深い関係を持っているのではないか・・・
その根拠として、以前までは話しの端の方にもかからなかったのに、どうして突然、こんなにも急に浮上してきてしまったのだろう・・・
きっとその答えは、自分の友人の一人でもある、ユリアも同じのはず・・・
だから、そこでジョカリーヌは、これから起こりそうな出来事を、更に愉しくなるように―――手を加えてみることにしたのです。
それが、二つのメール・・・
「一通」は、今回の契機にもなってくれた、東の大陸―――「ロマリア大陸」の評議員、ユリア宛・・・
もう「一通」は、西の大陸―――「ランド・マーヴル」の覇者、「マグレヴ王国」の、現国王にして評議員である、ルリ宛・・・
それに、今、パライソ国には、期せずしてリリアも来ている・・・
そこでジョカリーヌは、「評議会」の開催も、同時に視野に入れて、その旨を文中に盛り込んだのです。
こうして、「評議長」を兼務する、大皇からの通達を受け取った、マグレヴ王国では―――・・・
ル:(あら・・・あの方からだわ―――)
・・・まあ、「評議会開催」のお知らせだわ。
でも、変ね・・・話し合う事なら、この二週も前に催したばかりのはずなのに―――
側:―――どうしたのです・・・。
ル:あっ、セシル―――いえ、実はね・・・ジョカリーヌ様から、「評議会開催」のお知らせをいただいて・・・
セ:この時期に? ・・・何かあったのでしょうか。
ル:そうかも知れませんね―――あっ、ひょっとすると、「南」の評議員の方が、お決まりになったのかも。
セ:今まで先送りにされていた、あの案件ですか―――!?
それは有り得ますね。
ル:ウフフ・・・だとしたら、一体どんな人なのでしょう。
少し興味が湧いてきましたね。
セ:では―――・・・
ル:ええ、勿論「出席」を・・・それと、あなたも同伴をお願いしますね。
「ランド・マーヴル」のマグレヴ王国では、やはり、時期外れの「評議会開催」の知らせに、意見が飛び交っていました。
現在の、マグレヴ王国の統治者―――国王である「ルリ=オクタヴィアヌス=ガーランド」は、同時に「西の評議員」を務めており、
これまでにも、この惑星・・・「地球」を、善き方向に導く為の話し合いである「評議会」に、幾度となく出席を重ねていました。
その彼女が、元は主従関係でもあった方から、拝み倒されて、ようやく就くことになった役目・・・「評議員」。
この―――自分達が住んでいる惑星の行く末を決めようと云う、とてつもない重要な役目に就いてから、500有余年の時間が経とうとしていました。
そう・・・この「お話し」は、彼女達が活躍していた、「あの時代」から、更に500もの歳月が経っていたのです。
それに、この事実を知ることによって、数々の疑問が浮上してきたことでしょう。
その最大の疑問が、現在のルリとセシルの存在―――いや・・・彼女たち二人だけではなく、
以前のお話しで、垣間に出てきた、タケルと婀娜那の夫婦も、実はそうなのですが―――・・・
結論のみを先に述べてしまうと、ヴァンパイアとなったマキはいざ知らず、
これまで・・・そして、これからも出てくることになるであろう、「過去のお話し」に出ていた、「人間」としての「彼ら」は―――
やはり、「過去のお話し」にて、活躍をしていた「彼ら」そのもの―――・・・
そして、ここで「一つの真実」を話すとすると、
実は、この時代に措いても、「人間」の平均寿命は、100歳を越えるモノではなかったのです。
では―――・・・既に、その倍以上もの年齢を重ねている「彼ら」は・・・?
そのことには、何かしらの、未知なる科学技術の介入があった―――と、考慮に入れにければならないことだったのです。
第五十四話;流れゆく月日
=続く=