この度、新しく生まれ変わった、自分達の国―――「テラ」。

元はと云えば、「サライ」と「オデッセイア」と云う二つの国が、相互の理解の(もと)に一つとなった国でした。

 

そして、その国を治めることになったのは、「女王様」・・・

「サライ国」の君主でもあった、ソフィア=エル=ホメロスだったのです。

 

ならば、もう一つの国―――「オデッセイア国」の、あの人物は・・・?

 

 

 

蓮:リリア殿、お呼びだとか。

リ:おお、蓮也、来たか。

  私は、またしばらく国を空けようと思う。

  それで―――だな・・・お前も来るか。

 

蓮:拙者を・・・構わんでござるが。

リ:フフ―――そうか、そう云ってくれると思っていたが、私は嬉しいぞ。

 

 

 

元・オデッセイア国の姫君だった、リリア=デイジィ=ナグゾスサールは、自ら王侯貴族の特権を返上し、この「テラ国」の一市民として存在をしていました。

けれど彼女は、その代わりとして、或る意味では、「国王」よりも発言権が強いともされている、「ある役目」を担っていました。

 

その「役目」とは・・・リリア達の国、「テラ国」が所属している「南の大陸」、「エクステナー大陸」の意思・意見などを、一つに纏める「評議員」。

でも、普段通りにしているのならば、そんなに大層なことではない・・・一般の市民と、そう変わりはなかったのです。

 

それよりも、彼女は今回、気の合う仲間の一人である蓮也を伴って、どこかへと出かけようとしていたのです。

 

 

 

蓮:リリア殿、つかぬ事を伺いますが―――

リ:これから行こうとするところか?

  う〜ん、そうだな・・・まあ、蓮也になら話してもいいだろう。

  この惑星―――地球の北にある大陸、「エグゼビア」って処さ。

 

蓮:「北」・・・?

リ:ああ、どうも私達は、「北」ってのに縁があるらしい。

  それに、南方である私達の大陸が定まった今、残す処はそこだけらしいからな・・・。

 

蓮:それは判り申したが・・・ならば、出立する前に、ソフィア殿にご報告をば―――

リ:その必要・・・ないかもよ。

 

 

 

リリアが蓮也を(いざな)って、これから向かおうとしていたのは、昨今話題になりつつある「エグゼビア」と云う大陸―――

しかし、一地域の評議員が、他地域へと赴くなど、実は異例中の異例でもあったのです。

 

ガルバディアやロマリア、ランド・マーヴルの様に、定まった地域ならばまだしも、未だ政情が不安定なエグゼビアに、単身で乗り込むなど無謀中の無謀と云えました。

それに、もしそこで評議員のリリアが遭難などしてしまう事態になってしまったら、また次の後任を選出する時間が必要となってきてしまう・・・

贔屓目ではないにしても、リリアほどの人物が出てくるのは、「奇蹟」か「偶然」の確率でしかなかったのです。

 

だからこそ、そんな無駄とも思える時間を割きたくはないとした、上からの意向もあったからなのか、これからリリアと蓮也が出立しようとする際に、

詰まる話し・・・リリアを監視する役目だと見られる、ある人物が、リリアの邸宅の戸口に立っていたのです。

 

それに、もしかしなくても、その人物とは―――・・・

 

 

 

リ:ご苦労な事だな、市子。

  一体誰から頼まれたんだ。

  もしかしなくても・・・ソフィアからか。

 

市:はて―――なんの事を申されているのか、判り兼ねますが・・・

  私は、ご機嫌伺いに寄らせて頂いたまででございますれば。

 

リ:ウソ()けぇ〜だったら、なんで旅装束なんだ。

 

市:これは偶然もあったモノですね。

  私もここへと立ち寄った後、北方へと向かう予定でしたので・・・

  それに、どうやらリリアさん達も、行先は同じ―――ならば、ご同行いたしましょう。

 

 

 

なんとも、小気味がいいまでの理由を、これほどまでに並べ立てられたのなら、流石のリリアも断り辛く、首を縦に振るしかなかったようです。

 

ともあれ、遙かな北を目指して、旅は始められるのですが・・・

云う程に、その道程(みちのり)は、単純かつ平坦・・・短くもないのです。

 

それに、そうそう「ご都合主義」が(まか)り通る程、世間と云うモノは、そんなに甘くは・・・

 

 

 

マ:ニャ〜ハハハ―――w それが、通ってしまう程、甘かったんだよな〜ww

  マキちゃん、参上―――♪

 

 

 

申し訳ありませんw もう少し捻れば善かったのでしょうが、作者の頭では限界のようでしたw

それに、一度楽を覚えてしまうと、どうにもそちらに(すが)ろうとする傾向もあったようで、得てしてそこは、人間の弱い部分が露呈してしまったようです。

 

 

第六十話;北の大地

 

 

そんなこんなで、緊張感もないまま、「北」の「エグゼビア大陸」に着いたご一行は・・・

 

 

 

リ:ここがそうか―――思ってたより寒いな・・・

蓮:それに、大地も白く、木々の枝も葉を付けてはおりませぬな。

 

 

 

自分達が、嘗て体験した事のないような環境―――

彼らの服飾のままでは、「痛い」とさえ感じる程の、凍えた大地に空気・・・

 

この世に、こんな過酷な環境があったとは―――

 

でも確かに、リリアの出身である大陸にも、「北」と云うモノは存在はしていましたが・・・

それは所詮、「南の大陸」の中での「北」に過ぎず、この「北の大陸」にある「南」で、こんな有り様だとは、予測だにつかなかったのです。

 

しかし、ここで―――・・・

 

 

 

マ:ニャッハハ〜ンw こんなこともあろーかと! あたしがいいモノあげるヨン♪

 

リ:・・・なんだ、コレ? 随分と面白い形をしてやがんなぁ・・・。

 

 

 

またしても出してしまった、「ご都合主義」の第二弾。

それと云うのも、こんな過酷な環境で、満足に動けるはずもないと思われたからか、マキが気を利かせて便宜を図り、

リリア達が不自由なく動けるように・・・と、「あるモノ」が交付されたのです。

 

そう・・・それは、見かけの上では、「魚」や「爬虫類」の「鱗」の(なり)をした、あのアイテム―――

 

 

 

マ:それはだね〜〜「蒼龍の鱗」と呼ばれてるもんなんだヨン♪

  そんでもって―――ここで良い子の皆に、解説をせねばなるまい!

  この「蒼龍の鱗」は、生物界の頂点に君臨してるとされる、「龍」のモノホンの鱗にして、大概の魔物だったら、その存在を感じただけで寄りつかなくなっちゃうと云う〜

  それに、軽傷程度なら、この「鱗」自体が持つヒーリング効果によって、立ち所に治せてしまうんだな。

  それとあともう一つ、特筆すべきなのは〜寒さからも守ってくれるのた〜♪

 

リ:ふぅん・・・あっ、ホントだ―――少し和らいだような・・・

市:それにしても・・・どうしてなのでしょう。

 

マ:あたしは、そこまでは付き合っていないんだけど〜

  なんでもさ、ある人達が、この惑星にある「五大峰」を征服する際に、この「鱗」にそんな機能が含まれている事が判ったんだって。

  本人達がそう云ってたんだから・・・まず間違いないよ。

 

 

 

それこそは、ある人物の―――もう少し特定してしまえば、「ハイランダー」の「鱗」なのでした。

しかもその人物は、ある契機をして、またも「世界の屋根」を目指し始めた・・・

常に危険とは隣り合わせだと判ってはいても、頂上に立った時の、達成感や征服感・・・また、爽快感は何物にも代えがたい―――

それに、自分と同じ志を持つ仲間もでき始め、この上ない後押しともなったモノでした。

 

そして、次々と成し遂げる偉業―――

この地球に点在している「五大峰」―――その四つまでは征服できた・・・。

あと残すのは、奇しくも「北」の最高峰のみ・・・

 

而して、ここまでの偉業を成し遂げた人物とは―――

「キリエ=クゥオシム=アグリシャス」と、「ユミエ=イクス=ペルサス」―――

 

彼女達は、様々な困難と難関を乗り越え、今や「アルパイン・スタイル」の権威ともなっていたのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと