第一話 次元ノ調停者
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ここは・・・『次元の狭間』、
別称“空間のよどみ”
とも呼ばれている、非常に不安定な場所・・・・。
光も、
時間も、
その一切が遮断、
閉鎖された、
まさに
“虚無”
の空間・・・・・
(その、空間の不安定な場所に、何かしら話し合いをしている人影が、三つ確認されるようです。
しかし・・・よく見ると、その者達、見かけは人型をなしているようですが、その影は、いづれも龍をかたどっているようです・・・・。
そう・・・彼らこそ、あのエリアと同じ種、『竜人族』のようなのです。
かつて・・・太古に、神話の時代から、有史へと移る時に、絶滅したはずの古代種がなぜここに・・・?
それは・・・・彼らは、決して好き好んで絶滅したわけではなく、あまりに強大すぎた自己の能力を有効に行使しようと、
一時的に、この誰も知るべくもない場所へと、身を潜めたに過ぎなかったからなのです。
そして・・・どうやら、手に宝珠を掲げた、魔術師風の女が、背に大斧を負った男に話しかけているようです。)
魔:ただいま確認をいたしました。 やはり現世に復活していた模様です。
斧:ふぅむ・・・意外に早かったな。 では、手はずどおり動くとしよう。
(すると、それに反発するように、大剣を携えた若者風の男が・・・・)
若:それよりよぅ・・・・団長はどこへ行ったんだ? あんの人がいなけりゃあ、動こうにも動けやしないぜ。
斧:そうぼやくな、 ゼクス 。 あやつの気まぐれたところは、今に始まった事ではなかろう。
ゼ:ケッ!!これだからな・・・・。 まっ、そういう事なら、こっちも好きにさせてもらうぜぇ。
じゃあな・・・。
(ゼクスと呼ばれた男、その場を去る・・・)
魔:・・・・いいのですか? グルカ 、いえ・・・副団長。 彼を一人にしておいて・・・。
グ:まあそういうな、 ヘカテ 。 やつの短慮は珠にキズだが、腕のほうは立つ。
へ:そういうことでしたら・・・。 では私達も、現世での肉体のリンクを急ぎましょう。
グ:うむ、では・・・
“永劫なる炎よ、汝は我らと共にあり・・・”
へ:
“我らは汝と共にあり・・・。”
それでは、お先に・・・。
(ヘカテと呼ばれた女性、消えるように闇へ・・・・)
グ:・・・・。(果たして、今度はどう出るかな? ガラティア よ・・・・。)
(そして・・・この、同じく『次元の狭間』の、またどこか違う場所にて・・・・
藻掻き蠢いている魂が一つ・・・・、それは良く見てみると、以前にエリアの怒りに触れ、現世からの消滅を余儀なくされた、
カミイラ=エイデル=ゲーリング
のもののようであるようです。
そんな・・・・彼女の魂に・・・近寄る少女の影が・・・・)
カ:畜生・・・・畜生!! なぜ・・・・なぜに私がこんな目にッ!!
少:あら?どうしたの? あなた・・・・誰にそんな激しいまでの怨みを?
カ:う、うるさい!おまえのような小娘如きに、分かってたまるか!!
少:あら、そう。 せぇっかく、あなたをあっちへと連れて行ってあげようと思ったのに・・・・じゃあね?(プィ)
カ:あっ・・・・な、なに?それは・・・・本当なのか?それは!? なッ、ならば・・・待て、待ってくれ!話してやろう。
前までは、旧知の友であったが・・・今は、お前みたいな小娘風情の憎ッくきヤツだ・・・・!!
少:(ふぅん・・・) ・・・・じゃあ、そいつの名前は?
カ:たっ・・・確か・・・おぉ、そうだ! エリア だとか言っておったな。
少:ふぅ〜〜ん・・・・そう。 じゃあ、約束どおり連れて行ってあげましょう。 それから、ついでに、あなたの肉体も・・・ね?
シャ・・・ララ・・・・ン〜☆
カ:(お・・・オォぉ!肉体だ・・・!! しかも、あの時のように、醜い少女の体でなく・・・・魔力の充実していた頃の・・・成人の軆だ!!)
あ・・・ありがとうございます! 私は・・・ カミイラ=エイデル=ゲーリング と申す者です!!
少:そう・・・。 ならば、私は・・・・そうね、とりあえずは “キリエ” と、でも呼んでおいて。
カ:ははぁぁ〜〜ッ!キリエ様!!
キ:(ウフフフ・・・・。)
(なんと言うことでしょうか。 この、キリエという少女、事もあろうに、カミイラに現世復活を約束しただけでなく。
肉体、(それも、かつてジョカリーヌと覇を争った時の、成人時の肉体)までも与えてしまったようなのです。
これから・・・何事も起こらなければ良いのですが・・・・?)