<さん>
(すると、木陰より、菅笠を被った僧形の男が二人・・・・・・一人は大柄で、もう一人は、その男よりは小柄である・・・・・・・・が姿を現す)
婀:(おや? あの大柄な方・・・・もしかすると?)
阿:これでよろしかったのかしら? ステラーバスターさん・・・にしても、そちらの方はどなたですの?
団:ワシは、こいつの『窓口の男』です、以後お見知りおきを・・・・(ニッ)
婀:や・・・・やはり、団蔵殿?! こ、これはどういう事?! そなたは杜下の手の者ではなかったのか?
団:いいえ、こいつは単なる“バイト”でやすよ、それに、あんた方が思っている程、ワシらのお給金高くないんでねぇ。
ま、おかげで食うには困ってやせんがね。
それと・・・おめーら、さっさと出てきたらどうなんだ?! 我矛羅・真沙螺!
阿:え?! あ・・・・ッ! お前達! あれほどついて来るなと言っておいたでしょう?!
我:お、お叱りは、ごもっともですが・・・ 真:万が一、姫様に何かございますれば・・・・
阿:言い訳はよい! 全く・・・・もぅ。
我・真:も、申し訳ございませんっ!!
婀:姫君、この者達も姫君の身を案じての行動なのです、そう咎められますな。
阿:ん・・・・・・ぅんん。 まぁ、公主様がそう云われるなら・・・。
団:ふふ、命拾いしたのぅ?! 我矛羅・真沙螺。 おっ?! どしたんじゃい真沙螺、そんな怖い顔をして?!
真:いずれ、責任とってもらうかんな・・・兄ィ。 団:はぁ? 何の事じゃい・・・
真:とぼけるんじゃあね〜よ! あたいのジュンジョ〜奪っといて!!
団:(ズル・・・・)あ・・・アホか! お前は!! ありゃあ、任務じゃったんじゃろ〜がぃ!!
こ・・・こっちだって・・・キ・キス・・・する相手選べんかったんじゃ!!
真:何を〜〜?! こんのぉ〜〜!## (ハッ!!)
団:ふん、やっと出てきやがったか・・・このねずみ共が。 さっきからプンプンにおうとったんじゃ! さっさと姿をあらわしな!!
紫・睦・波:・・・・・・・・・・・・・・。
阿:あなたは、樹雷生徒会執行部員の一人・・・・
紫:ええ、そうです。 ですが・・・今は、杜下の“暗部”の一人『紫怨』<シオン>と申し上げます。
婀:そして、お前が、妾のところの医師団員の一人・・・・・・
睦:その通り、同じく“暗部”の『睦』<ロック>と申す!
団:そして、お前が、ワシらんとこの・・・・・
波:そう・・・・『波流狗』<ハルク>と申す。
団:ほほう、んで、一体何をしにここへ?
紫:知れた事!! 睦:我等が暗部のする事はただ一つ!! 波:姫君、公主殿、そして、そこに居る、胡散臭い男の計三人の命!!
阿:ええっ?! 一般人は関係ないでしょ?! 波:さて、そいつはどうかな?
婀:ど、どういう事じゃ!! 紫:それはですねぇ・・・・こういう事さっ!!
ビシュッ!
カキーン! カキーン!―☆
(紫怨、ステラーバスターと名乗る男にクナイを投げる・・・・が、団蔵が、そのクナイを弾き返す)
婀:(な・・・何と? 一般人を・・・・杜下の手の者であるあの男が、身を挺して??)
団:今回のこのバイトは、割合がいいんでねぇ、この男を殺させる訳にはいかんのじゃ! それより、我矛羅・真沙螺! 何をしとる!
公主様と、姫君をお守りせんかい!!
我・真:は・・・・・ハッ!!
我:さ・・・・・姫様、こちらに・・・ 真:初めまして、あたいは真沙螺って申します、公主様。 さ、こちらへ・・・・
睦:そうはさせるか! 我等三人の面が割れたからには・・・・“一人一殺!”
団:おィ・・・我矛羅・真沙螺、間違っても殺すなよ、こいつらにゃ、聞きたい事があるんじゃからな。 ただし、再起不能にはしとけよ。
我:ム・・・無茶言うない! 兄ィ!! 真:そ、そうだよ! こいつら選り抜きの暗部なんだよ?!
婀:ふふ、なんとも頼りのない。 阿:では、わたくし達が手を貸して差し上げますわ?
我:な・・・・・そ、そんな・・・・ 真:勿体のない・・・・・・・
阿:公主様、サポートの方、宜しくお願い致しますわ? 婀:引き受けました。
(と、ここで婀陀那、その辺に落ちている棒を拾って構える)
婀:さ、いずこからでもかかってこられよ。
(この間、阿恵華気を練り始める)
波:く・・・・ッ! なめたマネを! なれば、こちらも二人がかり(ツーマンセル)だ! いくぞ! 紫怨!!
我:そうはさせるかい! 真:あたい達を忘れてもらっちゃあ困るね!!?
紫:ちょこざいなっ! 喰らえ! 『龍炎陣』!!
我・真・婀:く・・・・・っ!
阿:今ですわ! 『包護』<コート>!!
(その瞬間、我矛羅・真沙螺・婀陀那・阿重霞・団蔵・ステラーバスターの周りを薄い保護膜が張り巡らされる)
婀:こっ・・・・・これは?!
ス:(ほほぅ・・・・・) 団:あんの姫さん、やりおるのぅ・・・
我:ひ・・・姫様!! 真:あまりご無理をなされては!!
婀:どういう事じゃ?!
阿:ふふ、これはわたくしが最近会得した術、ですから、効力があるのはほんの僅かな時間でしかありません、さ、彼らの攻撃が通じない今のうちに!!
婀:かたじけない、お主等、覚悟せよ!! つぇぇええりゃ! むぅんっ! せいっ!!
団:さすがじゃのぅ・・・・公主さんは、どうかね? もうこうなったら尻まくって逃げ失せた方がいいんじゃあないのかい? ぅん?
睦:ふん・・・・あやつらはほんの捨て駒に過ぎん。 団:はんっ! じゃろうなぁ、オヤジよぉ・・・・・
我:え・・・・っ?! 真:なんだってぇ?! 兄ィ!!
睦:ふ・・・・・ふふふ・・・・・ククク・・・・つくづく小賢しぃのぅ・・・
忠:いかにも、ワシが忠兵衛じゃ・・・・・・・・・
我:え? じ、じゃあ、あの時殺されたのは? 団:身代わりじゃよ、あん時死んだのは睦の方じゃ。
波:な、頭! 一体どういう事だ!! 紫:わ・・・私達を騙したのですか?
忠:ふんっ! ヤツは今回のこの一件には、反対だったのよ、だから始末した、ただ、それだけの事よ。
阿:な、なんて血も泪もない。 婀:(バ・・・・・バカな・・・・忠兵衛が・・・・・)
忠:おいッ! 何をもたもたしておる! さっさとそっちを片付けてしまえっ!!
波:く・・・・・ッ! 俺は、下ろさせてもらう!! 紫:私もだよ・・・・
忠:(ちっ・・・・)睦のヤツといい、役立たずどもめ・・・・・まぁいい、お前らはもう用済みよ!! 死ねィッ!
(と、瞬く間に忠兵衛の姿が消え、瞬時に波流狗の背後に回り)
ザスッ!!
波:はぐぅっ!! 紫:は・・・・波流狗!!
忠:まず一人・・・・
(そして、同じような事が紫苑の身にも!! と、誰もがそう思った瞬間、阿恵華が、手をかざす)
バシィッ!!ジィ・・・・・・・・ジィ・・・・・・・
紫:か・・・・会長!! 阿:勘違いしないで! あなたには、まだこれから聞かなければいけない事がありますから。
忠:ちぃィッ! なれば、本命を狙うまでよ!! 死ねぇいっ!!
(と、何と忠兵衛が向かった先は、以外にも、ステラーバスターであった)
団:あ、危ねぇ!! 忠:邪魔だてするでないわぁ!!
ザシュッ!!
(何と・・・・忠兵衛、団蔵・ステラーバスター共に斬り下げる・・・・・・・・だ・が??)
団:・・・・・・・・・・・・・・。 ス:・・・・・・・・・・・・・・。
真:だ・・・団蔵兄ィ〜〜!! 阿:え・・・・ッ?!
忠:な・・・・何いっ?! こ、こっ・・・・これは・・・・幻像?!!
フヒュ・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・ン
団:・・・何をそんなに驚いているんでやす? オヤジ。 まさか、このワシが、幻術の使い手であった事・・・あんたが知らねぇはずもねぇでしょう。
え? どうなんだい、忠兵衛・・・。 いや! オヤジに成りすました誰かさんよぉ!!
我:な・・・・なんだって?! 婀:(や・・・・やはり・・・・・(ホッ))
真:一体どういう事なんだい?
忠:ふっふっふ・・・・クックック・・・・はぁ〜〜っはっはっは! まったくもって小賢しい・・・・というより大したものよ!
舞:この、ワレの正体を見破ったのは貴様が初めてだ、褒めてやるよ。 桐賀・・・・いやさ、“三十八代目加藤団蔵”!
その通りよ・・・ワレの名は『舞踏蜘蛛』<タラントゥラ>、この程、杜下に雇われし者よ。
婀:や・・・やはりそなたは・・・!!?
団:申し訳ありやせんねぇ、公主様。 その通りでやすよ、別に騙すつもりはなかったんすが、どうもすいやせんねぇ。
真:あ・・・・兄ィ。 我:ま、まさか・・・兄ィが・・・・あの?!
団:どーしたい! 我矛羅も、真沙螺も、ハトが豆鉄砲喰らった様なつらぁして! 今はワシの正体より、こいつの始末の方が先じゃろが!!
舞:フッ・・・・・ふふふふ・・・・・まさか、おのれら程度の使い手で、このワレをどうにかするハラか? 冗談にしても甚だしい。
団:冗談かどうか、見せてやれいっ! 我矛羅、真沙螺、オヤジの仇撃ちじゃ!!
我:おうさ! ぬぅおおお! 喰らえい! “死忌咬み”! 真:われらが師の仇! “胡蝶幻影”!
舞:ンぬふふふふ、効かぬ、効かぬわ!! うぬら如きの術なぞ、児戯にも等しいわ!
団:何しろ、オヤジをその身に取り込んで、術の強化を図ったんじゃからなぁ。
真:な・・・・・ 我:なんだってぇ?!
婀:ひ、人ではないのか? 阿:そ、そんな・・・・・
団:いいや、人ですよ、公主様。 ただし、頭のほうに“悪魔に魂を売った”となりやすがねぇ。
舞:ふん、つくづくお喋りが好きなヤツだ、先にお前から黙らせてくれるわ。
シェ・・・・・ッ!
団:返り討ちじゃ!
ブバッ!
団:な・・・・・に? (フェイク?) し・・・しまった!!
真:(ブ・・・・・ッ!)あ・・・・・(ゴ・ゴフッ!!) 我:ま、真沙螺ーッ!!
舞:・・・・二人目。
阿:く・・・ッ! この下郎が! 封じてくれる!! 舞:(ニタリ)
婀:、危ない! 姫君!! 阿:なんのっ! 『防御結界』!
団:い、いかん! 公主様! ヤツはあんたの後ろじゃ!! (ま、間に合わんか??!)
カァキーーーン!―☆
ブバッ!
(と、ここで、今まで静観していたステラーバスター、身を転じて彼女達を助ける・・・・が、自らも背中を斬られてしまう)
阿:ああっ!!
ドサッ!
婀:ああっ! 姫君! お主、何・・・・を? (何だ? こやつのこの背の傷、ま、まるで龍が伏せたる様は?!!)
ス:下がっていろ、怪我をする。 団蔵・・・・・・。 団:(コク)
(そして、団蔵俄かに跳び上がり、煙幕弾を投げつける・・・・・そして・・・・・?)
舞:ちいぃィッ! 猪口才な!! (ぅんッ!?) 何だ? 逃げも隠れもせんとは、どういうつもりだ。
団:ふ、単なる目くらましの為よ。 ま、これでもお前には十分過ぎたようじゃがなぁ。
(そう、そこには一見すると、煙幕を焚く前と変わらない光景があるのみ・・・・・・・ではある・・・・が??)
舞:ふん、単なる子供だましか、笑わせおるわ。
団:(御前、ここはいったんお引き下され、後はワシが・・・・・) ス:(コク)
ザッ!!
舞:フンッ! 逃がすかぁ!! 団:させん!
ガキィィィイイン!!
舞:ならば、そこの女二人から片付けてくれん。 団:我矛羅! 身を挺してお守りしろ!
(我矛羅、すばやく阿恵華、婀陀那の元に駆け寄る)
舞:邪魔をするな! 小童!!
ビューーーーン・・・・・・・
(タラントゥラ刃を思いざま横に引くが、手ごたえがない・・・・?)
フヒュ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・
舞:ちっ! 幻像!!? (まさか・・・) ならば! こいつに止めだ!!
ザス・・・ン
(タラントゥラ、近くにいた真沙螺に止めをさす・・・・・だが・・・・・・)
フヒュ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
舞:やはり! こいつも幻像!! 団:だから言うたじゃろう、お前にゃあ、これで十分だ・・・・と!
舞:ならば! ワレの背後の男は違うな! 見つけたぞ! 『杜下 驍』!!
阿:えっ?! “杜下”・・・・? 婀:あれは、我が雷鳳の一年の!!?
団:(ニタリ) 婀:団蔵殿! お主の主上はあちらであろうが! 何をしておる?!!
団:果たして・・・・そうですかねぇ・・・・公主様・・・・ 婀:なに?
団:まぁ、見ていてくだせぇ・・・・
舞:死ねえぇぇいっ!!
フヒュ・・・・ ・・・ ・・・・ ン・・・・ ・・・・
舞:な・・・・っ? こっこれも幻像?! 団:今です! 御前!!
ス:緋刀“貮蓮”<ひとう・にれん>!
ズビュ・・・・ン! ズビュ・・・・・ン!
舞:な・・・・・にいっ?!
ス:その身に受けるがいい! 天籟示現奥儀!『推連』<すいれん>!!
ズビュッ・・・!ズドシュゥッ!
舞:ぐぼぁあ!! ス:成敗!
阿:な・・・・・・ 婀:お・・・、お主が・・・・・
(しかし、ステラーバスター耳を貸す風でもなく)
ス:団蔵、そっちはどうだ 団:傷は深いですが、死ぬような事はありやせん。
真:あ・・・・、兄ィ、面目ない。 団:ふ・・・、柄にもねぇ、いつもの負けん気はどうした、ぅん?! 真沙螺。