<後>
(そして、それから30分経ちまして・・・)
婀:姐上、昼食の準備が整いましたので・・・。
お:ありがと、もう少しで行きますわ・・・・。 これはこれでよし、では行きますか。
(そしておひぃさん、受付にいたコみゅ・乃亜も食堂に来まして・・・・)
コ:ぅみゅぅ〜〜〜ん、いい匂いみゅ♡
乃:・・・・・・・親子丼みぅ・・・・・・・・。
お:皆さん、どうもすみません、遅くなりまして。 あら、珍しいわね、蓋つきの丼だなんて・・・。
それに、ちゃんと、お豆腐のお味噌汁も添えてありますし。
それではいただきましょうか。
いっただっきまぁ〜〜す!
(誰もが失敗だと思われた、その『親子丼』のお味・・・とは?)
サ:へへーッ、さぁっそく、いただきまぁす。(パカ)んもぁ・・・) んふー、いいかほり・・・。
(ガツガツ!)う゛〜〜ン!! こいつはうんめぇぜ!!
・・って、あり? どったの? あんたら・・・・食べねぇの??
お:い、いえ・・・・それより、これ・・・・キレイ・・・。
サ:はぁ? キレイ?
婀:う、うむ、具や黄身の上に白身が透けて見えて・・・・
臾:そうや・・・まるで・・・・ガラスで覆ったような・・・・
J:・・・・。(そりゃ当然だよ、だって・・・・これ、 生 なんだもん)
ぱく・・・
J:え? 婀:うん?! お:こ、これは・・・
ス:(^-^)〜♪
J:(そ、そんなバカな・・・) でも、どうして??
こ、これ・・・って、 生 のはずなのに・・・・。 ちゃんと火が通ってる???
婀:し、しかも、その卵が割り下をたっぷり含んだメシにまとわりついておって・・・。
お:お、おいしい・・・。
婀:それに、一番のからくりは、この丼の温かさ・・・。
あれだけグラグラ煮立った湯の中につけておいたとは、とうてい思えぬ・・・・。
サ:あぁ、俺が最初に思ったのもそれだぜ、冷めるどころか、手に持っても丁度いい頃合いなんてな。
臾:言われてみりゃ、そやんなぁ。
J:あ・・・・あぁ!
(出来立ての熱々じゃあ、絶対こうはならない・・・。 ハッ! そ、そうか! それであんなに湯を?!)
お:さて、お次はお味噌汁〜♪(ズ・・・) あ、あら・・・・?
婀:どうかされましたか? 姐上。 この味噌汁が何か?
お:い、いえ・・・別に・・・。(気のせい・・・かしら?)
ス:なぁ、Jokaちん。
J:はい。
ス:この味噌汁・・・仕上げに、醤油がひとたらし、入ってるね?
お:え!?
婀:なんと!!?
J:!!
ス:どうなの? Jokaちん。
J:そ、そうだけど・・・、それが何か? 隠し味にそうすると、汁の味が ぐっ と引き立つって・・・。
ス:ふぅん・・・・、ま、仕方ないね・・・。(ズズ・・・)
J:(ムッ!)ちょっと! それどういう意味ですか?!
し・・“仕方ない”って!! いくらステラさんでも赦せませんよッ!?
ス:そういうものは、時と場合。 鵜呑みは禁物。
せっかくいい材料で、きちんと出汁をとって、丁寧に拵えたシンプルな豆腐の味噌汁にゃ、
却って邪魔なもんなんだよ・・・醤油の味ってなぁね。
J:え・・・?
ス:それに、そういう事をしちまうと、誰が拵えても同じ味しか、してこなくなるもんなんだよ。
J:・・・・・。
ス:本日の教訓! 隠し味にゃ頼らんねぇ。
料理ってな、まっすぐなのが一番なんだよ。Jokaちん。
J:はぁい・・・・わっかりましたぁ・・・。
お:ま、味噌汁をJokaちゃんが作ったとして。 この親子丼、一体どこの出前を取ったんですのっ?!
婀:あ、姐上・・・、実はそれは、ステ・・・うい゛っ?!
ギュウウゥゥッ!!
(ここで、婀陀那の席の近くのステラ、おもっきしツネル)
婀:(イった・・・)何をするのじゃ! お主は!!
ス:あれ? ワシなんかやった??
婀:こ・・・っコノ!!(イタタ・・・(ジンジン・・・)
ス:(ズズ・・・) (ステラ、何食わぬ顔で味噌汁をすする)
お:(おかしな婀陀那ちゃん・・・) どうなのです? 一体どこの・・・、もしかして、『蜆亭』?
ス:やっ! バレちったかぁ〜、さっすが、いいもん食いつけた、いいとのお嬢の舌にはかなわんねぃ?
お:(ジロ・・・)おだてても無駄ですよっ。
大してお給金、高くもないのに、あんなお店のを取るだなんて・・・。
臾:あんな・・・“お店”でっか??
婀:(ヤレヤレ・・・そうきたか)
妾の家、姐上の家、そして驍様の家。 つまりは『ビック3』御用達の料亭なんじゃよ・・・。
サ:ええ゛っ?! でもこれ、こいつ・・・・
婀・J・ス:じと・・・・
サ:・・・が、とったんだっけかなぁ。(あは、あはは・・・)(サヤ、この三人の厳しい目線に、つい本当の事を言いそびれる)
臾:(何も三人してから、そないな目で見ぃひんでも・・・・(-フ-;;)
お:ま、この御代は、あなたのお給金から、さっぴかせてもらいますからね?!
ス:う゛ぃ〜〜・・・しょんなぁ〜〜。
婀:まさに、“下手な考え休むに似たり”じゃのう・・・。
(さて、自分が作ったのに、なぜか高級料亭の出前物、と言い張るステラ・・・。彼の真意とは一体?
謎が謎を呼びつつも、ここで幕であります)
―――了―――